ハナへ行く可能性があった人気のアルビアーノはゲートをやや遅れて出る形で決して良いスタートを切ったとは言い難く、好発の岩手のホレミンサイヤと兵庫のトーコーヴィーナスの2頭がハナへ行こうと試みるが、押してハナへ行く気満々のホレミンサイヤを横目にトーコーヴィーナスが控える競馬をチョイス、ハナへ立ったホレミンサイヤにインからヴィグシュテラウスから並び掛けると2頭併走してレースを引っ張る、控えたトーコーヴィーナスは前を行く2頭から2馬身ほど離れた3番手をキープ、ダントツ人気のアルビアーノはトーコーヴィーナスの外へつけて4番手、それと差無くポムフィリア・スキースクール・ジェットシティ・トーセンマリオンらが一団になって5番手集団を形成、ホワイトフーガはその集団から1馬身ほど離れた中団の8番手に控える、1周目のスタンド前に入ると川崎の2100らしくガクッとペースが落ち13秒後半のラップが続くと中団待機のホワイトフーガが仕掛けて1角手前でハナへ立ち終始マイペースの競馬、3~4角で2番手以下とのリードを広げ、直線では完全に独走状態となり2着に時計2つ以上の大差をつけて圧勝した。
勝ったホワイトフーガは緩い流れになったスタンド前で先頭を奪い主導権を握るとあとは自分のペースでレースを進めて後続を翻弄、直線に入るとオイデオイデの競馬で2着以下を突き放し大差をつけての大楽勝、今回は途中でハナを奪って逃げ切ったが、本来はハナに拘らず控える競馬も出来る自在性があるタイプで、レース前に書いた様に芝はともかくダートのレースなら今年の中央所属馬の中で計算が一番出来る馬で例年の関東オークスならば抜けた人気になっても不思議ではない実績があるだけにこの結果も納得、確かに稍重の馬場で勝ち時計の2分18秒3は平凡だが、今開催の川崎も水準より時計の掛かる馬場だけに走破時計を気にする必要は無く、四代母のリングオブミュージックはラーイやシングスピールの半妹にあたる良血だけに先細りするとは思えず、今後のダート牝馬路線の中心馬として期待がかかる一頭。
2着のポムフィリアは好発を決めると5番手のポジションをキープ、中団より後ろからの競馬となった兵庫CSとは異なり今回は積極策を試み、レースが動いた1周目のスタンド前で人気のアルビアーノの直後につけピタリとマークする形で競馬を進め、直線での叩き合いでアルビアーノを競り落とすとゴール前でジワジワと渋太く伸びて3着トーセンマリオンに4馬身差をつけて2番手入線に成功、前走の兵庫CSと同様に大崩れせず堅実な結果を残すレース巧者だが、勝ったホワイトフーガから時計2つ以上も離されており、3着が中央・地方を通して1勝しか挙げていないトーセンマリオンと考えると評価は微妙、バテずに渋太い脚を使う反面、牝馬らしいスッパリ切れる決め手に欠けるタイプだけにオンナ馬限定のダート重賞でも今後勝ち切れない競馬が続くかも知れない。
3着のトーセンマリオンはゲートを五分に出ると中団のポジションにつけ、ガラリと開いたインへと潜り込み、流れが緩んだ1周目のスタンド前でポジションを上げて先団グループの一角に加わるも3~4角でやや置かれてしまい、直線で何とかアルビアーノ・ポムフィリアの直後までポジションを上げてバテたアルビアーノを交わして3番手に上がるもポムフィリアには最後まで並ぶ事は出来ず、道中ヤネが終始追い通しでズブいと云うよりズルいタイプの印象があるだけに長い距離は歓迎の口だが、今回3着と云えども人気のアルビアーノが勝手に歩いた事での繰り上がり、2着のポムフィリアに4馬身差もつけられていては評価の対象外、この結果だけで今後重賞で云々と軽々しく断言出来ない。
4着のアルビアーノはスタートが良いとは言えなかったが、砂を被る事の無いように外を通って4番手までポジションを挽回する事に成功、その後も外外を回りバテた馬を交わして3番手に上がり、3角手前で追い出して先頭のホワイトフーガとの差を詰めようと試みたが差を詰めるどころか逆に突き放されてしまい、直線でトーコーヴィーナスを交わして2番手に上がったが元々追って味のあるタイプではなく、直線の追い比べになっては分が悪く抵抗はここまで、残り100でポムフィリアに交わされると脚が止まり格下のトーセンマリオンにも交わされて4着に沈む。
今回の敗因は距離の2100が長かったと云う見方が大勢を占めるだろうが、1周目のスタンド前から13秒後半から14秒台のラップが続く川崎の2100はスタミナよりも道中折り合える事とスムーズにコーナーを回れる器用な部分の方が要求され、現実に過去の関東オークス馬はラヴェリータ・カラフルデイズ・エスメラルディーナのようなスピードタイプが勝利しており、この関東オークスが初ダートで5戦目とキャリアが浅いアルビアーノの敗因は距離適性よりも現時点のダート適性が顕著に出た印象、もちろん血統面から今回の結果だけでダートがダメとは断言出来ないが、血統だけでダートをこなす事が出来ない馬が多いのは事実で、フラワーC勝ちにNHKマイル2着など芝で結果を残していた馬のダート参戦は正直無謀な挑戦だった印象は否めない。
5着のサブノハッピーは道中インを通り中団よりやや後ろのポジションをキープ、向う正面に入るとヤネが仕掛けて徐々に前との差を詰めにかかり、3~4角では外を通り直線でジリジリと伸びて掲示板を確保、初の重賞挑戦に加えて遠征競馬や左回りの経験が無かった事を考えれば及第点の内容だろうが、これで南関牝馬重賞で通用するとは一概に判断は出来ず、今後のレース振りを見てから結論を出すべき。
3番人気の兵庫のトーコーヴィーナスは有利な内枠に恵まれて単騎逃げを打つ事が出来た浦和・桜花賞と異なり他馬にハナを奪われアルビアーノに外からプレッシャーをかけられるなど終始自分のペースで競馬が出来ない展開が堪えて4角手前で早々と失速し7着と惨敗、兵庫ジュニアGPで4角で他馬と接触する不利がり7着と敗れたが、仮に不利を受けなくとも脚色に勝ち負け出来るだけの余裕があったとは言い難く、地方所属馬ならともかく中央所属馬が相手では厳しい印象で、この関東オークスは実力負けと言える。
3~4角でホワイトフーガがリードを広げ、アルビアーノが2番手に上がった時にはヨシ!そのまま~とモニター前で絶叫したが、直線でアルビアーノがアッサリと歩いてしまい万事休す。
ダントツの1番人気だが初ダートのアルビアーノを絶対視せず、ホワイトフーガを上に評価してのは正解だが、ポムフィリアとジェットシティを天秤に掛けてジェットシティを取ったのが失敗の元だし、もっと言えば3倍チョイのアルビアーノからホワイトフーガの馬単を買うならばその分をホワイトフーガの単勝に回すべきだったし、アルビアーノを絶対視しないと言いながらも心のどこかでNHKマイル2着の実績が気になっていたのは事実、やはり芝とダートのパフォーマンスは別モノと云う自分の持論を信じ切れずにいた事に関して猛省する。
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