では出走馬の評価をしていこう。
1枠1番ピンクストーン
前走の名古屋でら馬SPではワールドエンドの2着と健闘、確かにこのレースを含めて800Mの実績は【4・2・0・0】と連対を外していない短距離ベストのタイプだが、重賞実績は名古屋でら馬SPの1戦だけで、この程度の実績ならば南関勢の船橋1000Mで勝ち負けしている面々とどっこいの印象で、長距離輸送に加えて初の左回りなどのクリアすべき課題が多いだけに今回は見送りが正解と思える。
2枠2番ユーセイクインサー
2歳時のライデンリーダー記念でピッチシフターにクビ差2着と好走、3歳になってからも新緑賞と笠松・クイーンCで重賞を勝つなどソコソコ活躍し、4~5歳時は自己条件を使い5勝を挙げて初の関東遠征となったエンプレス杯では序盤こそ先団グループに加わっていたが、2角過ぎに早々と脱落して9着と惨敗、マリーンC・かしわ記念・北海道スプリントCの中央や地方の一線級が集まったダートGでは何れもフタケタ着順の惨敗ばかり、2~3歳時の重賞実績だけで古馬になってからの重賞実績は皆無とワンターンの競馬向きかどうか以前に重賞で通用する能力が現時点であるかは正直疑問で静観が正解。
3枠3番アイディンパワー
中央時代は準OPクラスの格下馬だったが、13年3月に南関に転厩した事をきっかけに自身ベストのワンターンの短距離戦に特化して13年の習志野きらっとSP3着・アスター5スター賞2着に加え中央勢相手の東京盃でも直線勝負に徹して2着のテスタマッタとはコンマ1秒差の5着、昨年のクラスターCでも勝ったサマリーズからコンマ5秒差の5着と健闘しており、3走前の東京SPは久々の実戦、近2走は自身のベストとは言えないツーターンの競馬だけに度外視は可能かも知れないが、現在9歳と云う年齢になったアイディンパワーに重賞で好勝負した13年当時の能力を望むのは酷とも思え、積極的に買う気がしないが本音。
3枠4番サクラシャイニー
中央OPクラスから8歳の10月に高知へ転厩、年齢が年齢だけに売り切れての移籍かと思ったが転入初戦で2着に大差をつけての圧勝、続く黒潮マイルCSを勝利した勢いで臨んだ兵庫GTではサマリーズ・セレスハント・タイセイレジェンドの中央勢に地方のタガノジンガロを抑えて3着を確保、3月の黒船賞では地元のレースと云う事でヤネが張り切ったのか中央勢相手にオーバーペース気味の逃げを打ち玉砕し9着と惨敗したが、今年に入りその黒船賞以外は前走の園田FCスプリントを含めて4戦4勝と母のサクラフューチャーは96年のJRA年度代表馬のサクラローレルの半妹と云う一本筋の通った血統馬だけに9歳になっても元気一杯、今回は一部の馬を除けば重賞実績の無い馬ばかりが相手となるだけにソコソコ頑張っても不思議ではないが、兵庫GTは3着と云えども同斤のジョーメテオから5馬身も離されていただけに南関の重賞級とはやや分が悪い印象があるのも事実。
4枠5番クロスオーバー
3歳時は東奔西走の厳しいローテーションの中、佐賀・ル・プランタン賞勝ちや兵庫・のじぎく賞2着など各地の重賞で結果を残したが、佐賀のロータスクラウン賞勝ちを最後に失速、その後古馬相手の競馬では掲示板に載る事すら叶わない後方の侭で見せ場一つも作れない惨敗を繰り返し完全にアタマ打ち、ただレースを使うだけの馬場掃除の有力候補。
4枠6番カベルネフラン
1200から1500Mまでの距離で勝ち鞍はあるが、前走の川崎スパーキングSPを含め1000M以下の距離では【6・2・3・2】と13戦して掲示板を外れたのはスタートで後手を踏んだ13年5月の閃光SPの1回だけと云う事からも自身のスピードを遺憾なく発揮出来る1000Mの距離がカベルネフランにとってベターなのは間違いないだろう。
ただ、過去に控える競馬で勝利した事はあるが、この馬の持ち味が最も活きるのはハナへ行くか、2番手のポジションをキープして前々から積極策の競馬をした時と思えるだけに、如何に同型を捌いて自分の競馬を出来るかが勝敗のカギとなる。
5枠7番クリスタルボーイ
3代母のメイクンは少々古くなるが皐月賞・日本ダービーの二冠馬メイズイやスプリングSを勝ち皐月賞2着となったメイタイが半兄に居る千明牧場ゆかりの血統、中央ではダートの短距離を使ってOPクラスまで上がった馬で、13年1月に南関へ転厩し移籍初戦の準重賞ウインターSPでミヤサンキューティの3着と好走したが、その後は正直言って期待ハズレの成績が続き、13年11月に南関から東海へと再度転厩、それが奏功して東海地区では重賞の笠松・サマーCと園田チャレンジCで2勝を挙げ、ダートGの黒船賞とかきつばた記念で掲示板に入るなど重賞戦線で一応の実績を残しているが、昨年末の笠松GP以降大敗が続き一息入れて立て直しを図り、5月の東海クラウンから復帰するも良化が遅々として進まず結果を残せておらず、仮に体調が万全としても南関在籍当時の成績から勝ち負けするだけの能力があるとは思えず、まして体調に疑問が残る今回は軽視が妥当だろう。
5枠8番ナイキマドリード
今年で9歳の年齢となったナイキマドリード、かつては得意としていた浦和の1400~1500Mで結果を残せなくなった現状から衰えたのは明らかだが、船橋の1000Mでは12年の船橋記念から5連勝中と今のナイキマドリードにとっては最後の砦となっただけに負けられない一戦。
ただ、船橋1000Mの適性は認めても先日に書いた様に船橋記念は重賞実績が無い面々ばかりで相手に恵まれた印象があるし、昨年の習志野きらっとSPでは他地区から出走の実績馬は長距離輸送のハンデもあり、全ての実力を出せたか疑問だった事に対して輸送が無い地元のナイキマドリードに大きなアドバンテージがあったのは確か。
今年は南関勢から活きの良い3歳のルックスザットキルや短距離GⅠで連対したサトノタイガーなどの骨っぽい面子が出走するだけに5連勝中の船橋1000Mと云えども何れの走破時計は59秒台で、果たして58秒台の時計での決着になった際に対応可能は微妙だけに、これまでの様に楽に勝てるかは正直疑問だし、元々夏に弱いタイプだけにこの暑い時期の競馬で万全の状態で出走出来るかも疑問が残る。
6枠9番サトノタイガー
中央時代は芝の1800~2400Mの距離で実績があった馬だが、地方転厩後はダートの短距離からマイルまでを中心に使い結果を残しており、自身初となる距離1200Mのアフター5スター賞では入りの3ハ34秒1、1000M通過58秒2と飛ばして逃げるゴーディーを3~4番手のポジションから追走、厳しい短距離のペースに対応してゴール前で逃げ粘るゴーディーを捕らえて1分10秒8の秀逸な時計を叩き出して快勝、続く東京盃では中央勢相手に果敢な逃げを打ち直線失速したが、入りの3ハ33秒8、1000M通過57秒8のハイラップを踏んでのものだけに仕方なく、むしろ短距離向きのスピードを発揮した事を評価するべき。
事実、東京盃のあとに使った盛岡・JBCスプリントでは控える競馬を試みて2着を確保、その後古巣の中央への遠征となったカペラSでは勝ったダノンレジェンドにはチギられたがゴール前で鋭く伸びて2着を確保とホームの南関だけではなくアウェイの競馬でもキッチリと結果を残しているだけにサトノタイガーの競馬センスの高さには脱帽するだけ。
その激戦続きの疲労が出たのか、今年に入り根岸S13着、フェブラリーS16着、東京SP7着、京成盃GM8着と不完全燃焼の結果が続くも、3~4番手で追走し直線半ばまで粘った前走のレース内容から復調の兆しを感じただけに、過去の実績からは一枚上の実力馬だけに近走の不振を度外視してアタマで狙う価値はあるはず。
6枠10番キョウエイロブスト
3歳時のクラウンCで3着した実績はあるが、ハナへ行って本領発揮のタイプだけに1200M以下の短距離向きのタイプなのは確か。
前走の川崎スパーキングSPではカベルネフランにハナを奪われながら2番手追走から食い下がり、最後突き放されたとしても2着を確保したが、今回はカベルネフランに加えてサーモピレー・ルックスザットキルなど前に行きたい馬も多く、ハナへ行かないと二束三文の価値しかないキョウエイロブストには厳しい展開が確実だけに見送りが正解。
7枠11番サーモピレー
スタート直後の不利にもめげず全国級の相手で3着と健闘した全日本2歳優駿や3歳時の東京湾C勝ちにクラウンC2着、東京ダービー・京浜盃で其々3着するなど2~3歳時は重賞戦線で活躍した素質馬で、久々の実戦となった1回船橋・チバテレ盃を快勝したが、その後は道中での折り合いを欠き5着と敗れた報知グランプリや3回船橋・4回船橋のOP特別では早い流れを自ら作ってはゴール前で止まると云うレースを繰り返している事からやや1本調子で3歳時より大きな成長を感じない印象が強く、前走の川崎マイラーズでは控える競馬を試みるも5着と敗れ、抑えて味があるタイプでは無い事を露呈しただけだった。
折り合いが難しく行くしか手のない馬だけに今回1000Mと距離が短縮する事はプラスと思えるが、多くの同型を捌いてハナへ行き最後まで踏ん張るだけの底力がサーモピレーにあるかは少々微妙。
7枠12番ルックスザットキル
前走の優駿SPを逃げ切って重賞初制覇に成功、その勢いを借りて初の古馬相手の競馬となるこのレースに出走を決めた。
前走の優駿SPの1000M通過が58秒8だから、時計的には初の古馬相手でも勝ち負けするだけのスピードは充分にあり、今回53Kと古馬から斤量貰いで競馬が出来る事は有利と思えるが、問題はゲートを出てからのダッシュ力があるとは言い難くハナへ立つのに時間を要する部分で、ここで無理にハナへ行こうと気合をつけるとスイッチが入りヤネがコントロール出来なくなり暴走する可能性がある難しいタイプに加え、また今回は初の遠征競馬・左回りと云うハンデもあるだけにここで勝つかに関しては正直半信半疑で、確勝の一戦と云うよりも今後ルックスザットキルが短距離戦線で通用するか試金石の一戦と捉えるべき。
8枠13番コアレスピューマ
嘗ては東京SPでセレスハントのコンマ1秒差3着と健闘した実績があるが、もう4年以上も前の遠い昔の話で、前走の川崎スパーキングSPでは3着と久々に馬券圏内に食い込んだが、今年で11歳になり衰えが顕著になったコアレスピューマに今回の面子相手に前走の再現を望むのは無理だろう。
8枠14番コスモフィナンシェ
4歳時に重賞のみちのく大賞典・すずらん賞を勝利したが、成長力がイマイチでその後はOP特別で2勝を挙げただけで重賞では栗駒賞2着はあるが未勝利と云う現実、その栗駒賞でコンマ1秒差の競馬をしたマイネルバルビゾンが南関のB級で苦戦を強いられている事から南関OP級では通用するとは思えず、7月11日に芝のレインボーCを使いここへ臨む無茶なローテーションからも買う材料は皆無。
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