2016年5月2日月曜日

天皇賞春 2016 レース回顧・結果:キタサンブラックと武豊、ユタカマジックが淀を支配、美しい3200mの逃亡劇は差し返しで終幕!

暴露王:NHKマイルC490_160


2016 天皇賞春(GI) 京都芝3200m
レース回顧・結果

3:15.3 13.0 - 12.1 - 12.4 - 12.2 - 12.1 - 12.0 - 11.6 - 12.9 - 12.6 - 12.6 - 12.7 - 12.5 - 11.6 - 11.4 - 11.7 - 11.9

61.8-74.4-59.1SS


 天皇賞春を観戦してきましたが、なかなかハードな旅となって回顧が遅れてしまった;さて、レースに関してだがひとまずみていた段階で武豊のレースだなとは思っていたんだけど、道中大きく緩めることがなかったこと、中盤若干息が入ったが3200mの距離で昨年同様13秒台を入れない流れ。捲れなくはないけども後ろから動いていこうという気持ちにはなりにくかったかな。そして流れているようで結局はスローで上手く支配した中、3角下りからの一気のペースアップでコーナー最速のL3最速戦。ここで外から来た馬に対して前の馬がロスなく進めることで直線ではやはり内につけていた馬が余力を残して進められ、圧倒的有利な展開になったと。恐らくだけど、武豊が後ろの馬に対して『スローだ』とか『緩めた』とかを感じさせない絶妙のペースを作りだしていたことと、レース全体の仕掛けすらこの馬が主導して3角下りで一気に勝負に行ったこと。この2つが完璧に合わさったかなと。あと割と淡々と進めたことで道中の隊列の変化がなかった。このことで外から内に入り込ませなかったということもあって外の先行勢はかなり苦しい展開になったかなと。


 1着キタサンブラックは1番枠から好発、じわっとハナを取り切ってからはペースを無理に引き上げずに序盤の位置はゆったりと入る。3角の下りでも少し緩めながら進め割と団子状態で一周目のスタンド前に入ってくる。道中もしっかりとペースを緩めずにスタンド前でちょっとペースを引き上げて1角で息を入れる形。そこから向こう正面ではペースを気持ち落として12秒半ばを連続させ、後続もじわっと取り付いてきて団子状態にはなるが仕掛けてくる馬はおらず、上手くここまでレースを支配。3~4角で一気にペースを引き上げて団子状態の好位外々から押し上げてくる馬に脚を使わせつつ直線。序盤で一脚を使ってしぶとく抜け出すがこれにカレンが食い下がってL1で一旦は前に出られる。しかし最後は菊花賞馬の意地か差し返す形になってカレンを何とか撃破した。レースメイクについてはこれ以上ないんじゃないかというほど完璧にできたと思う。武豊の神騎乗と言って差し支えないでしょう。ラップが出る前段階から淀みの小さいレース、中盤ちょっと緩んでいるかな?ぐらいの感覚だったがラップ推移的に見ても面白くて前半5F、中盤6Fで分けてハロン平均を見ると見事に12.4となる。つまり前中盤の2200m、多少淀みはあったが平均して12.4の範囲で進めてきていてスローなんだけど極端に遅いと感じさせるポイントを作らなかったのは大きい。そして恐らく息を入れた地点が1~2角、ここで息を入れて中盤ではそこまで遅くない流れを作っていた。そしてその流れから3角の下りで一気に引き上げる判断をするというのはなかなか難しいと思うのだが、好位列が雁行状態になっているのと、ゴールドアクターが動いてきたのを見てゴールドに脚を使わせるという選択を上手く取れた。まあ結果的に相手がゴールドアクターではなかったのでポケットでぴたりとマークしてきたカレンミロティックにあわやの場面を作られたわけだけど、結局トーホウジャッカルやゴールドアクターは3~4角のペースアップで決定的に苦しくなったわけでこれはお見事だったと思う。それと入りの3Fが37.5ということでこれは結構遅い。下りでペースが上がったのはあるが、入りの3F地点で上手くレースを支配してしまったことと各馬がキタサンマークに来るということを逆手に使ってゴールドアクターに対して内へのスペースを作らせなかったという要因は武豊の最序盤のゆったりとした入り方も大きかったかなと思う。完璧というか芸術的なレース支配だったなあと、ただただ感動した。馬自体はやっぱり仕掛け自体は早かったと思ったし、コーナーで脚を使う形で勝つことを考えるなら一番良いところで使ったとは思うけど、結局カレンにL2で詰められてしまったのはその辺りもあるかも。ただカレンも昨年同様使える脚そのものは一瞬タイプの馬なので、最後は同じようなタイプの2頭が使い果たした中で2段階目の減速地点、ポテンシャル面で勝るキタサンが差し返す形になったと考えた方が無難かな。ありきたりの発想だがキタサンの根性、前に目標がいるときに盛り返す脚というのも否定できないというような内容だった。しかし現地観戦で人が多すぎてサブちゃん祭りをしっかりとは見られなかったけど、あの空気の中にいられたというのは良かった。家でゆっくり観戦する方が性には合ってるけどね。香港、ドバイでは武豊の神騎乗を結構みていたけど、国内でこういう神騎乗を見せてもらえたのは嬉しい限りですね。しかし、キタサンの好走を見るとリアルスティールもサトノクラウンも出ていたらどうなっていたのかは興味深いなあ…。リアファルも故障がなければなあ、って感じでしたね。この世代はステイヤーが相当強い気がするなあ。ブライトエンブレムもこの路線でやってほしいんだけども。


 2着カレンミロティックは3番枠から五分には出てそこから上手くキタサンの直後を取る形で完璧なポジショニング。3角の下りでもしっかりと折り合って進めながらキタサンとの間にスペースを置きつつ1~2角。向こう正面でも各馬の動きがなく上手く内内でポジションを落とさずに3角、3~4角でキタサンが一気にペースを引き上げる中でじわっと手を動かしながら追走、4角でもぴったりマーク、2列目の最内で我慢しながら直線。序盤でそこから追いだされるとキタサンが一瞬出し抜きにかかるがすぐに伸びてきてL1では一旦は前に出る。しかし最後の最後にキタサンも内から伸びてきて差し返されて無念の2着。しかし池添はミルコだけならいざしらず、武豊にも接戦であと一歩詰めきれなかったのは不運でもあるなあと。昨年はこれ以上考えられないぐらいに嵌ったと思ったんだが、今年もこれ以上考えられないぐらいに嵌った。池添的にはキタサンの直後につけた段階でもう9割5分は仕事終えた感じで、後は展開も特に動かなかったし豊が作る絶妙のペースメイクに3角下りで一気に仕掛け、ここで外外を回した馬には苦しい展開になってくれたしこちらはここで上手くロスなく進められた。それが上手く昨年同様直線序盤~半ばでの伸び脚に繋がっていたのかなという感じ。しかしやっぱりこの馬は逃げたらだめなんだろうね。明らかにパフォーマンスが違うからなあ。ただ秋以降全く結果が出ていないし、敗因はあったといってもここであわや勝つのか?というところまでというのはちょっと予想するのは難しかったかなあ。完璧に嵌るだけの条件は揃っていただけに、わかっていたけど強くは買えなかったって人が多かったような気はするね。その結果が13番人気という不当な人気薄だったように感じる。まあ魅力的な馬が多かったし新興勢力も台頭してきていたからね。この馬自身あまり語ることはないというか、昨年同様ポジションをとって3~4角しっかりとロスなく立ち回ったことが直線での良さに繋がったと。中距離では基礎スピードの幅を活かしていた馬が長距離に延ばしたことでポテンシャル面の良さを引き出してきた馬ではある。ただ過剰に人気が薄いとは思っても、ここまで強い競馬ができるとは思わなかったかな。参りました。


 3着シュヴァルグランは五分のスタートは切ったが先行勢と比べるとどうしてもポジション取りで苦労、凝縮する好位勢の壁の後ろで中団のポジションという形になる。ただ道中で上手く最内のポケットに入り込んでデウスの直後を確保。道中も淡々とした流れでなかなか隊列も変わらずそのまま進めていく。向こう正面でも岩田がカレンとの間にスペースを追いていたこともあってその直後で追走、外に出せる位置でもないので最内に絞って追走しながら3角。3~4角でデウスの直後に絞って追走、中団最内と勝負できる位置で直線。序盤でデウスが外に行ったところで空いたスペースをしっかりとついてくるが伸び脚は微妙L1でようやくジリジリと差を詰めてくるが勝負あったの3着だった。個人的反省としては、この天皇賞で本命を打てたとしたらこの馬だったと思うので3頭候補の中で最終的にはしっかりとこの馬に打てなかったのはちょっと反省かな。キタサンとカレンは評価してもなかなか本命を打ちにくい馬だとは思っていたので仕方ない。まあそれはともかく、今回の福永という観点で見ればやっぱり最序盤の意識がちょっと変わってきているよね、というのはあると思う。もうちょっと下げるかなと思っていたんだけど、最序盤で苦しみながらも抵抗してデウスの直後という勝負できる位置を確保できたのはまずまず評価できる。理想を言えばデウスの前を取れていたらというのはあったが、まあ岩田も必死だったし難しかった。コーナーでは内内を回しながら外を諦めて直線勝負にかけたという競馬は噛み合っていたし、結果的に3着だったけど勝負できる展開、位置にいたと思う。その中でシュヴァルグランが直線序盤で伸びあぐねたというのはこの展開ではやっぱりちょっと力的に足りなかったかなという感じ。L1ではポテンシャルで伸びてきていたんだけど、結局この流れの中で直線序盤でも減速地点ではあった、そこでカレンは伸びてきているんだけどこの馬はどうしても伸び始めが遅かった。外から前を向いてという競馬でどうだったか?というのはあるけど仕掛け全体が早かったわけだし、もうちょっと直線の早い段階で馬が動いてくれないとというところはあるかな。まあポテンシャルでかなり高いレベルのモノを見せてきていた馬なので、レースを壊す立場でも面白かったとは思うがけど、流れに沿ってという福永スタンスなら重要な最序盤のポジション取りはしっかりとしてくれたと思うし個人的には満足しているかな。ただ今回に関しては武豊を褒めないといけないしキタサンブラックを褒めないといけない。そしてシュヴァルグランはまだこの展開で突きぬけるほどではなかった、というよりはこの仕掛けでL1を11秒台でまとめてきている、というか4Fを46.6でまとめてきたキタサンを評価すべきといえるかもしれないね。思った以上に強い競馬をしているんだよなあキタサン。この馬自身はラストまでそんなに落としているわけでもないと思うしね。まあとはいえL1で最速ラップを踏む余力があったわけでもないし、完敗かな。菊花賞ぐらいの超ロンスパでどうだったかはこうなるとみてみたかったけどね。


 4着タンタアレグリアは11番枠、五分のスタートから好位雁行状態の中に組み込まれるのを嫌ってスッと差経て中団ぐらい。坂の下りの前にブレーキをしてコントロールを優先しながら1周目は後方と思っていたよりも後ろで進めるも内目を狙う。1周目のスタンド前では後方でジッと脚を溜めて内目に潜り込みながら1~2角。向こう正面でもレースが大きく動かない中で後方の内目で脚を使わずにじっと我慢。3~4角で各馬が動く中で後方っ馬群の内目でジッと我慢、直線にかけて上手く進路を取って中団で直線。序盤でそこから追いだされるとジリッと伸びてくる。L1までジリジリと伸び続けてL1の伸び脚はシュヴァルグランと同じレベルの脚、食い込んでくるが4着と馬券には絡めなかった。しかし淀の長丁場での蛯名の判断能力の高さというか…個人的にはこの競馬をサウンズオブアースがやった時にどうなるかが見たかったんだけど、サウンズとは対照的な結果になったなあという感じ。菊花賞でもポテンシャル戦で一定のレベルでやれていたこと、勝ったのが同じキタサンブラックでもあるわけだし、この結果はある意味妥当なんだけど、それでもやっぱり足りないんだよなあ。勝負するにあたってトプスピード戦ではレーヴミストラルに苦戦するしポテンシャル戦ではシュヴァルグランに見劣ってもちろん前にいたキタサンも強敵だったわけで、カレンも含めて完璧に立ち回られるとこちらもロスなく進めても決定的には食い込んでこれないと。器用だしどういう競馬でもできる、機動力もある方なんだけど特化戦ではダイヤモンドSみたいになるし、勝つイメージがなかなかできないなあという感じ。前半もう少しポジションを安定して取れるスピードがあればとも思うんだけど、レースでの立ち回りもキタサンほど抜群といっていい高いレベルの総合力を持っているわけでもないから…今後ももどかしい競馬は続きそうなんだよなあ。蛯名としてもレースの中で最善の選択をして、それに馬も応えてはくれるんだが結局どういう展開でも決定的な武器があるわけでもないから乗りやすいけど勝ち切れないってところなんだろうなあ。やっぱりパフォーマンスで見ても今回の相手で見ればシュヴァルグランと互角ぐらいだと思うし、枠の関係もあったので苦しかったにせよやはりキタサンとはレース全体で2段階見劣る感は否めんかな。総合力型のキタサンに対してどうなっても苦戦しそうなのは辛い。ダービーぐらいキタサンがオーバーペースになれば別だが。


 5着トーホウジャッカルは9番枠から五分のスタート、積極的に出していく形で好位列に入り込もうとしたが前が下がってきてブレーキ、窮屈になって掛かりながら3角に入って行く。3角の下りでも掛かりながら外に出される感じになって苦しい競馬を余儀なくされてしまう。スタンド前でもまだ掛かり気味ぐらいではあったが向こう正面では落ち着いて外目から取り付いていく。3角で好位列の外外を回される羽目になるが最速地点で抜群の手応え、4角では2列目に取り付いて直線。序盤で一瞬ゴールドアクターらにも出し抜かれ気味になるがそこからしぶとく伸びてくる。L1でもしぶとく抵抗して掲示板を確保する強い5着だった。う~ん、この馬はようわからんwというのが率直な感想で、ただ阪神大賞典の時とは別の馬が走っていたと考える方が良いだろうね。走り時を見つけるのは難しいけど、立て直してきたというのは間違いないと思う。それとやっぱりこの世代のポテンシャル最強はこの馬なんだろうなと。2014菊花賞が超高速馬場でのポテンシャル戦なので最内立ち回ったサウンズには食らいつかれたけど、それでもL1で差を広げたこととゴールドアクターを千切っていたことから考えてもこの世代ではやっぱりこの馬がステイヤー色という点では一番強かったんだとみるべきかな。今回3~4角で外々を押し上げながらの馬では実は最先着の馬になる。この辺りは流石菊花賞馬というところかな。宝塚記念の時もそうだったけど、この馬はコーナーで速い脚を使うのが上手い印象なので有馬記念に出てほしいんだよなあ。近年の有馬だとペースが上がり切らずに3~4角でもう一段階の2段階加速になりやすいんだが、その適性が高そうな感じは受ける。京都の外回りでこれだけ厳しいラップを踏まされているのに外から置かれていないからね。これは結構凄いことだと思う。負けはしたけど強い競馬をしていたし要所で内を通せていたら全然違ったはずだからね。この状態を維持できればまたGIを狙える馬になると思う。この世代の現役最強馬のはずなので頑張ってほしいな。ついでに酒井学で…といいたいところ。ミルコ自体とは合いそうだし、あの阪神大賞典の状態で乗せてしまったわけなので一度万全の状態でミルコというのも見てみたいけど。有馬だけはミルコとのコンビで見てみたい気もするが。


 6着(6番人気番外)アルバートは10番枠から出負けして後方からの競馬になる。道中はシュヴァルグランの直後を取ってスムーズに進めながら中団やや後方。向こう正面でも外に出す選択肢はない位置。3~4角でも最内で我慢しながら直線。序盤でそこから追いだされるが反応鈍く伸びがない。L1でようやくジリジリと伸び始めるが決定的な脚は使えずの6着完敗だった。まあ人馬ともに不満かな。まず馬に関してだが勝ち負けができる位置、展開ではなかったのでこれは仕方ない。ただ、同型のシュヴァルグランに対してL1で伸び負けしていたというのは不満がある。少なくともポテンシャル型が脚を出し切りやすい展開にはなっているわけなので、もちろんそれでも前があのラップを刻み切る形なのでバテ差しまでは持って行けてないと思うがそれでもそれはシュヴァルグランも同じこと。札幌の時と違ってポジションが逆になったのもあるが、それでもシュヴァルグランと内容的に見劣ったのはやはり馬にもちょっとした失望はあるかな。まあもうちょっと時計が掛かる馬場の方が良いのかもしれんが、それでも当日の淀は昨年よりは時計が掛かっていたので条件は悪くなかったはず。もうちょっと良い競馬が欲しかった。ルメールに関してはこれがルメール競馬だよね、というしかないなと。内とりました、シュヴァルより後ろから動かしましょうって競馬ですよねと。上手く乗ったけど馬がね~って…つかシュヴァルより後ろになった段階で勝ちはないんだから何かしらのリスクを取れないもんかと。早い段階で内に絞っていたけど、動いていくしかない立場。内内で勝負しようと思ったら最低限シュヴァルグランの位置でないと間に合わん、つかシュヴァルグランでも間に合ってない。向こう正面でもじっとするしかないからね。こういう競馬になって前が46秒台でまとめてくる展開に持ち込まれてそれより4列も後ろでどうすんの?って話なんだよね。この馬の良さはステイヤーズSでぶっちぎったように長く脚を使っても最後まで落とさないポテンシャル。トゥインクルが捲るかもと言っていたからそれを期待したのかは知らないけど、それでもシュヴァルより後ろではシュヴァルを差すのは難しい。緩い地点でのアイデアが皆無だからなあ。福永批評の時によく言ってきたけど(どうも福永はこの落馬負傷の間にい競馬観を広げてきている感はある)競馬観が極めて狭いんだよね。結局フランス競馬のヨーイドンがまったく抜けきってない。奇抜な発想で合理的に走ってくるミルコとの比較で見るとやっぱり物足りない。まあ今回はアルバートも決してパフォーマンス的に良かったとは言えないけど、この競馬で勝負になる馬ではないんだから、やっぱり7~8Fの意識は持ってほしいんだけどね。内を通したことでロスはないけど、じゃあ直線で11.7-11.9を差せるだけの鋭い脚を使えるの?って話なんだよね。シュヴァルより後ろってのは結構早い段階で確定したんだからどこかで外に出して1~2角過ぎからの勝負を展開していかないととは思うんだけどね。やっぱポテンシャルタイプの騎手が甘いと前々の馬が支配しやすくなるね。去年の春のシップ横山典弘みたいな競馬ができる騎手でないと淀の長距離で純粋ポテンシャルタイプは難しい。


 8着フェイムゲームは5番枠から出負けして最後方列からになる。そこから内内に入り込んで最後方に近い位置で進める羽目に。道中もある程度は流れていたのだが、結局ほぼ最後方の位置のまま変わらず。向こう正面で流石にちょっとは緩んだのでここで馬群は凝縮していくのだが、トゥインクルがある程度外から動いていく段階でこちらは内外狙える位置で進めるも3角まで動かず。3角の下りで結局内はダメだと判断して中目から外に誘導しながら勝負に行くが、4角最速地点で大外ぶん回す競馬になってもちろん押し上げられず最後方で直線。それでも序盤でそこから伸びを見せて流石の競馬をするんだがジリジリ。8着までだった。やっぱり淀の長丁場って知ってるか知ってないかだとは思うんだよね。例えるなら去年のキズナみたいな競馬になってしまった。逆に言えばフェイムゲームクラスのポテンシャルタイプでもやっぱりこうなっちゃうんだから淀で一番タブーの競馬なんだよね。ただまあ擁護するわけではないけど、流石に3角の地点でこれではまずいと判断しただけボウマンの方がルメールより考え方はマシかも。もっと速く判断できていれば違ったんだけど、結局向こう正面で12秒半ばで遅い方、3~4角が平均で11.6-11.4の11.5だから1秒速いんだよね。しかもコーナーでとなるとそれだけ遠心力で分散されるわけだし、距離ロスで押し上げるとなると当然11.4より速いラップを踏むことになればほぼトップスピードに入っていると。無酸素運動に近い形の中で押し上げられないわロスだけあるわ、このパターンは淀では一番やってはいけない。だからこのブログではいつも徹底して言ってきているけど3角までにいかに前目内目を確保するかで、向こう正面の段階ではせいぜい12秒前後、今回は12.5付近で進んでいたんだから仮に自身が12.0ぐらいのイメージで押し上げていくとしても距離ロスがないこともあってこちらの方がポジションを押し上げるのは合理的。だし3~4角の地点までに前目内目に入り込んで3~4角でペースが上がるようなら昨年のシップじゃないけどそこでは我慢すればいい。要は全力で押し上げるんじゃなくてMTでいう4速のイメージで押し上げていって5速を引き出すタイミングを遅らせる競馬が欲しいんだよね。ポテンシャルタイプの馬ってのは4速の脚が非常に長い。そこを上手く使ってポジションを押し上げちゃうってイメージかな。仮に向こう正面の捲りに前が反応してペースを引き上げてきたとすれば逆に3~4角で速いラップを踏めなくなるわけだから3~4角の外のロスがそこまで大きくなくなる。そういう点でもポテンシャルタイプがいかに向こう正面を上手く使うかってのが近代競馬では重要だと思うんだけどね。単純に同じ12.0でも直線地点で抜くのとコーナー地点で外から抜くのとどちらが脚を使わないで済むか?それが12.5の直線地点で抜くのと11.4のコーナー地点で外から抜くのとってなれば火を見るよりも明らかでしょう。いずれにせよコーナー地点で外々から無酸素運動状態といえるトップスピードにいれてしまうのは距離ロスが大きすぎて最もやってはいけないことになる。質はイマイチだがTS持続力は現役最強クラスのフェイムゲームでもL1ジリジリまでしか使えていないんだし、やっぱり4角の11.4の地点で大外ぶん回したのは影響が小さいわけがないからね。まあボウマンみたいに日本での騎乗歴が浅い騎手の場合はある程度仕方ないし、3角で流石に内内では拙いと判断できただけ個人的には擁護したいと感じるかな。馬はチャンスはあったと思うけど最序盤のゲートの拙さはやっぱり淀の長丁場では致命的になっちゃうんだよなあ。個人的にはここは反省材料。シュヴァルグランとの比較で今の福永ならシュヴァルグランを本命にすべきだったとは思う。これは騎手とかではなくやっぱりゲートとポジションの問題が大きかったというところからの反省かな。


 10着レーヴミストラル(8人気番外)は18番枠から出負けして最後方から。道中も一頭だけ離れた位置で進めていたがスタンド前でも軽く手を動かしつつも最後方でという感じ。向こう正面で徐々に取り付きながら3角に入って、3~4角では最内のスペースを追走、4角でも外か内か少し迷っていた感じだが結局馬群を捌く方を選択。序盤で馬群を捌くのに少し苦労しつつ外に持ち出す。ただL1で切れ味はなく最後までだらだらとなだれ込むのがやっとの10着だった。まあ乗り方的にはこれしかない。フェイムゲームやルメールのアルバートとは違ってこの馬の場合はトップスピードの質が最大の武器だから4角であれぐらいの差なら何とかなっちゃうレベルではあった。ただこの馬の上がりが34.4であることが示すように、いつもの切れを発揮できる余力がなかったと考えるのが妥当。中盤若干緩んだところで取り付けているんだし、トップスピードを引き出すために2200mを完璧に捨ててしかし4角の段階では辛うじて圏内は意識できる位置は確保できた(まあ日経新春杯みたいに33.1とかは現実的に無理にせよ、33秒台後半を引き出す余力さえあれば3着争いには食い込めた)。今回の馬場でこれだけのペース、仕掛けで脚を削がれてしまっていたと考える方が妥当じゃないかなと。川田は脚を使うのを最小限にしてくれたと思うし、直線までの持って行き方は一番ロスがない中でのジリ脚なんだから適性的に噛み合ってなかったと考えた方が良いと思う。ゴールドアクターもそうだけどやっぱり古馬になるとトップスピード型とポテンシャル型ははっきり分かれるんだなと思う。逆に青葉賞の反省なんだが3歳の内はあまり決めつけない方が良いような気もするし難しいね。4歳まである程度やってようやく分析の精度が上がってくる感じ。3歳時は適性で嫌うより絶対的なパフォーマンスの高さで評価した方が良いかもしれんなあ。


 12着ゴールドアクターはこちら


 13着トゥインクル(9番人気番外)は2番枠から五分には出たが無理せずに下げて最後方近くから進めていく。向こう正面で外に出してと去年のシップをイメージするかのような競馬で動き出しを臭わせる。向こう正面でじわっと動いていくのだが本当にじわっとで一気にではなく前に脅威を与えきれないまま雁行状態の好位外で3角に入る。3~4角でもちろん好位雁行状態の一番外の中でペースが上がって行くので一気に置かれる。そのまま後方に下がって直線。そこからは何もなく終了だった。個人的に疑問なんだけど、何のために捲るか分かって捲ってるんだろうか?というのが多いね、最近の騎手は。ダイヤモンドSの場合は捲るといったってズブズブの13秒台の中での話で前も余力なく、恐らく馬が手応え抜群だったから勝手に動いていくような形だったんだろうけど、京都の場合はそうはいかん。緩んだといっても12秒半ば、そこで一気に捲るなら直線部分で11秒台後半ぐらいの脚を要求される。んだが、これを無茶と取るかどうかなんだよね。実際昨年の菊花賞でも11秒後半を7Fぐらい連続しながら最上位はもう一脚を使えている。本当の意味でのトップスピードを5F刻めというのは無理な話だが、有酸素運動地点なら別だし、しかもトゥインクルはそれが一番の武器。ただし脚の速さがあるわけではない。シップの時にも言っているんだけど、捲るってのはそこで仕掛けるんじゃなくて多段階的な仕掛けの第一段階、とみるべきだと。極端な話ゲートからポジショニングで脚を使うのと同じ、仕掛けの前段階での話だと。何のために捲るかって淀の場合はコーナー最速の度合いを小さくするために前にプレッシャーをかけて向こう正面の段階で分散させてしまうことが一点と、捲ることでポジションを上げて3角までに内に入り込むこと。だからできるだけ脚を使わないで済むように前がペースを落としたところで動くのが有効だしそこを感じながら進めないといけない。これをどちらもできていないんだよね、今回の捲りは。だから何の意味もないです。ちなみに去年のシップの方が捲るのは難しい展開だった。今年は武豊が神がかり的なレースラップを踏んでゴールドアクターら外の総合力型を苦しめる競馬に持ち込んだんだけど、この武豊の支配を打ち破れるとしたらトゥインクルの捲りしかなかったし、去年の田辺が刻んだ向こう正面でも落とさないラップの中でそれを穿つ捲りを果たしたノリとの比較で見ても消極的な動きであれならやらない方がマシなレベルだった。まあやったから勝ち負けになったかは別問題として、結局3角以降急激にペースが上がって速い脚を要求されるのにわざわざ外々のポジションになるようにすすめた意味が良く分からない、ということかな。もうちょっと騎手は何のために捲るのか?を意識した方が良いと思うね。


 15着サウンズオブアースは15番枠からまずまずのスタート、押して押して先行策なんだが結局内の各馬が入ってきたので諦めて好位列の外。出していった割には折り合って向こう正面の段階では3列目の中目と割と内に入って進めていく。向こう正面でも隊列変わらずに進めて3角。3~4角でも3列目の内目で進めながらだが出口でもう脚がなく少し置かれて直線。そのまま最後は失速、15着と惨敗した。う~ん…まあ藤岡的には前に行きながらかつそれなりに内目に入り込めたのでひとまずここはまずまず良かったと思う。ペースも全体的にはスローではあったわけなので、その中で15番枠からあそこを獲れたしそれによってゴールドアクターのスペースを埋めることができたのは全体的には良かったとは思うんだが…う~ん、確かにポテンシャル戦ではイマイチの馬だし、今年は高速状態より若干時計が掛かっている感じはあったのでそこが影響した可能性もあるが有馬では馬場は問題ないことを証明していたわけなのでそう考えるとやはりポテンシャル戦がダメなんだろうか、ということはあるかな。菊花賞にしても完璧に立ち回ってのあれでしかも超高速馬場。もちろんここまで崩れた理由にはならないんだけど、実際トーホウジャッカルは頑張っているからね。ここまで崩れた要因が何なのかというのは悩ましいところ。ただどちらにしてもこの展開では苦戦は仕方なかったかな。



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