それでは先週の回顧をしよう。まずはフェブラリーSから。
■ノンコノユメ【まだ100%の力を出しているわけじゃない】
前走もそうだけど、とにかく流れが向いた。ハイペースで前が潰れてくれたし、マークしていたゴールドドリームが先に先頭に立ってくれたおかげで、いい目標ができたものね。そういう意味では恵まれた面はあるものの、別の見方をすると、まだ力を出し切っていないと捉えることもできる。
どういうことかというと、実はまだこの馬は100%の力で走っているわけじゃないんだ。なぜなら、ゴールドに並ぼうとしたあたりで、すでにちょっと集中力を切らしている素振りを出したから。耳を絞っているし、内パク(内田博幸騎手)のムチもそのあたりで急に激しくなった。つまり、まだ本気を出し切ってないということ。であれば、まだ能力の底を見せていないというジャッジも可能だろう。ただ、「気を抜く面がある」=「どこかでコロッと負けてもおかしくない」ってことの裏返しでもあるから、馬券的な付き合い方はなかなか難しそうだね。
■ゴールドドリーム【スパートが一完歩早かったか】
ゲートの遅れは平常運転。後方外めで脚を溜めるいつものスタイルで、いい手応えのまま直線を迎えたんだけど、やはりちょっとスパートが早すぎた。東京の長い直線をあの位置から本気で追って、ゴールまで突き抜けるのはさすがに無理だろう。もちろん力は出し切っているし、この負け方はしょうがないところ。まだ5歳で成長もするだろうから、あと2年くらいダート路線を引っ張ってくれるかもしれないな。
■インカンテーション【ズルい競馬をした三浦騎手の好騎乗】
一番上手い競馬をしたのはこの馬。序盤は先行するかと思いきや、前が速いと見るとスッと控えて中団待機。脚を溜めることには成功しているし、ゴールギリギリまで頑張ったけど、やはりGIとなるとワンパンチ足りない感じだね。8歳ながら調教の動きも悪くなくて、まだGII~GIIIくらいなら十分チャンスがありそうだよ。
■テイエムジンソク【地方交流で見たい中距離ホース】
初の東京マイルだけが心配だったけど、結局すべてが悪い方に出てしまった。芝スタート自体は問題なくこなしたものの、あれだけのハイペースを前々で運べば、そりゃあ直線失速しても文句は言えない。やはりこの馬は、1800m以上で息の入る競馬が合っていると思う。となると、今回の敗戦はまったく気にする必要はないだろう。帝王賞とかJBCクラシックとか、活躍できそうなレースは地方交流に一杯あるから、そっちでホントの姿を見たいね。
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