2017年1月20日金曜日

アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)の予想前・出走予定馬まとめ

2017 1/22(日)
第58回 アメリカジョッキークラブカップ(GII) 中山芝外2200m
予想用・出走予定馬一覧・まとめ記事
アメリカジョッキークラブカップ2017の予想用・出走予定馬一覧


アメリカジョッキークラブカップ(AJCC)の有力出走予定馬まとめ


ゼーヴィント

 まあ戸崎に関しては良くないところもあるんだろうけど、今の中山って馬場が読みにくくて仕掛けが遅くなりがちだから戸崎みたいな合わせるタイプだと難しいんじゃないかな。田辺や松岡みたいに仕掛けられる騎手でないとなかなか勝ち切れない傾向だと思う。ダートに関してはアレだけど。余談から入ったが、まあこのメンバー構成なら勝ち切れるかどうかが焦点かなとは思う。大きな不安材料がない馬で、ペースが上がってもやれるしそのうえでコーナーで動いていくだけの器用さを持っている馬。中山2200に適しているし特に先行馬が揃った今回は流れても緩い流れでもある程度の位置で対応できる、動ける、長く脚を使える総合力を持っているというのは強み。


●ラジオNIKKEI賞(GIII) 1着 16頭1枠1番
福島芝1800m良 1:47.0 47.2-47.4 M
12.4 - 10.6 - 12.3 - 11.9 - 12.4 - 12.4 - 11.8 - 11.5 - 11.7

 まずは初重賞制覇の舞台となったラジオNIKKEI賞から。レースレベルについては今更言うまでもないが福島記念3着のダイワドレッサーや京都金杯2着のブラックスピネル、ここにも出てくるミライヘノツバサ辺りを完封している。ペースは平均、ラップ推移から福島らしく2角過ぎの上り坂で中弛みからの3F戦。内枠からまずまずのスタートを切ってじわっと下げてから3列目、余裕をもって入っていく。2角過ぎからの中弛みでも我慢しながら3列目のポケットで3角。3~4角で前がじわっと加速していくという流れの中で我慢をしながら出口で外に出して3列目で直線。序盤でそこから追いだされるとしっかり反応するが前のダイワが少し寄れてくるので若干不利。それでもそこからL1できっちりと突き抜けての完勝だった。この辺でもそうだが1800らしく流れての中弛み、そこでギアを下げて要所でしっかりと動く、ギアを上げるという器用さが問われているし基礎スピード面もある程度問われてやれている。この辺から距離延長そのものは適応できそうだなと思ったし、最後にいい脚を使えていたのも器用なところを見せながらなのでこれも高く評価できる材料。


●セントライト記念(GII) 2着 12頭7枠10番
中山芝外2200m良 2:13.1(クビ差) 61.0-59.6 S^1
12.5 - 11.6 - 12.0 - 12.2 - 12.7 - 12.5 - 12.5 - 11.7 - 11.7 - 11.5 - 12.2

 夏を越しての初戦、セントライト記念では皐月賞馬ディーマジェスティ相手に食い下がった。まあディーマジェ自体が秋以降のパフォーマンスを落としているので何ともだが、それでも正攻法での菊花賞4着馬ではある。そこ相手にスローからの4F戦と割と長距離的競馬の中で一定の競馬ができたといっていい。外枠から好発を切ってじわっと内に切り込みつつ、それでも控える形で2列目の外。ただ内には入り切れない中で少し折り合い面で苦労しながらの競馬にはなってしまう。緩やかな3角地点で徐々に手が動きて前もペースが上がっていく中で仕掛けを待つ。4角で一気にディーマジェスティが動いたのでそこで追いだすと反応し抵抗しながら直線。序盤でディーマジェに食らいつきつつも前に出られる。L1ではディーマジェに手応え以上にしぶとく食らいついての2着だった。まあ3着のプロディガルサンは少し内に刺さった面とディーマジェに弾かれて不利もあったので何ともだが、それでもディーマジェの正攻法に対して前受しながら仕掛けのタイミングを待てた、また仕掛けてからの反応の良さは映像からも一目瞭然というところで、いかにも中山巧者っぽい感じを受けたかなと。またスローからの4F戦と長い脚を比較的要求される中でもL1でしぶとさを見せた。その点では距離にも目途を立てられたし後半特化になったとしてもそう不安はないだろうと。


●福島記念(GIII) 2着 16頭7枠13番
福島芝2000m良 2:01.0(+0.2) 61.0-59.8 S^1
12.3 - 11.3 - 12.0 - 12.8 - 12.6 - 12.1 - 11.8 - 11.6 - 11.5 - 12.8

 もう一戦、前走の福島記念を振り返る。ペースは1.2でややスロー、4F戦でというのもセントライト記念に近い。13番枠からここではやや出負けしたかなというぐらいの感じ、外枠でもあり無理をせずに中団外目から入っていくという競馬になる。道中もペースは遅いという中で中団外から動いていく形になって押し上げながら3角に入っていく。3角では外から手が動いてマイネルハニーの外から取り付いてくるが前もペースを引き上げて行くという中でなかなか差が詰まらないまま直線。それでも序盤でジリッと伸びてくるとL1までしぶとく伸び続けて差を詰める辺りは流石というところの2着確保だった。まあ緩い段階で前に上げられなかったし後半勝負の中で外から正攻法で押し上げてとなると簡単ではなかった。それでもL1まで上位のメンバー中でも一番の脚を維持できていたと思うし、強い2着だった。要所の器用さを活かしにくいスローロンスパになった中でしかも前で仕掛けを待てず、分散する形になったのも良くなかったと思うし本質的にはもうちょっと前半要素を活かしたい馬だろうと思う。


●2017アメリカジョッキークラブカップに向けての展望

 今回は先行馬がかなり揃った印象なので個人的にはこの馬としてはレースに入っていきやすいかなとは思う。流れて縦長になってしまえばポジションそのものはそう気にしなくていいと思うし、仮に流れたとしてもある程度の位置を確保して待つ立場から動きたいときにしっかりと動ける、というのは強み。基礎スピードを問われたラジオNIKKEI賞でも息を入れてから加速していく地点で内から捌きつつも反応できている。4歳世代の中でも総合的には高いレベルにある一頭。エアスピネルと比較すると総合力では一段落ちると思うけど、現状全体的な総合力で戦ううえでは4歳世代でも2番手グループには入ってくるだろうと。そのうえでL1も結構踏ん張れるのでこの距離で極端すぎない流れ、総合的な競馬になれば普通に中心視できるレベルかなと思う。前走はちょっとゲートが甘かったが、これまでのパフォーマンスを見てもある程度いい位置を取れる馬だし、戸崎とのコンビなスタートもいい感じなのでそこは良い材料かなと思う。戸崎自身の流れが非常に悪いのが気になるけど、馬自体はこのコース適性が高いと思っているので楽しみの方が多い。ミライヘノツバサなんかも動きは良いけど、じゃあ全体のペースが上がって基礎スピードが問われたときの危うさはあるし、タンタアレグリアはポテンシャル面はここでは最上位だがこの馬も2200でペースが上がった時に追走に不安が出てくる。リアファルは状態面でまだ多少の不安はあるし、このレースの好走馬の特徴として好位~中団…全体の半分よりも前で進められる馬の中では一番この馬がバランス的にも整っているかなと。後は前々でレースを支配してくる中で安定しているクリールカイザーとの比較になってくると思うんだけど、クリールもタフな馬場だとL1はちょっと甘くなる傾向なのでその点を踏まえると総合的にはこの馬かなあ、と今の段階では思っている。ドスローからのポテンシャル特化でもある程度やれるとは思うが、特化戦よりはバランスよく前後半平均ぐらい、少し息が入って仕掛けどころも待てるというような状況が理想だと思うし、前受、動き出しもなかなか速いから内枠が欲しいね。ただ、この舞台でこのメンバー構成なら枠などの条件にあまり拘らず勝ち負けには加わってほしいのが正直なところかな。



タンタアレグリア

 今回は多分消すと思う。中山芝外2200って基本的には縦長になりやすい、今回は先行勢が揃ってそれなりにペースを作っていきたい馬が多い。時計も掛かり気味で極端なスローにはなりにくい中で、基礎スピード的に苦しくなりがちなステイヤーはなかなか狙いにくい。この馬は今のところは典型的ステイヤータイプになるし、前半でいいポジションを取ろうとするとオーバーペース気味で後半の良さが削がれる可能性が高くなるだろうと思う。小器用なポジショニング、一定の基礎スピード、要所で動けるといった総合的な面が問われる中で、能力は認めるがどこまでやれるかは不安も多いと思う。半年以上の休み明けでセントライト記念でも物足りない動きだったことから、基本は消したい一頭かな。


●天皇賞春(GI) 4着 18頭6枠11番
京都芝外3200m良 3:15.6(+0.3) 61.8-74.4-59.1 S^3
13.0 - 12.1 - 12.4 - 12.2 - 12.1 - 12.0 - 11.6 - 12.9 - 12.6 - 12.6 - 12.7 - 12.5 - 11.6 - 11.4 - 11.7 - 11.9

 4着ではあるが昨年のベストバウトは天皇賞春だと思う。ペースは2.7の超スローで、まあ長距離戦なのでこんなもの。中間の1200mがハロン平均でも12.4、実際道中13秒台を刻んでいない様に中弛みが小さいという点ではペースバランスの感覚以上に流れていたともいえる。そこからの4F勝負でL3の4角地点が最速であると。上位を見ればわかるがここで外を回すとちょっと厳しい展開だった。ここではゲートはまずまずで、そこから様子を見ながらだが結局かなり下げる形になって後方で進めていく。道中も後方馬群の中で我慢をするしかない流れ、1~2角を過ぎて向こう正面でもまだ各馬が動けない武豊の術中にはまっているという中で後方馬群の中で我慢。3~4角でも後方の中目から立ち回って上手く外に進路を取れて直線。序盤でそこから追いだされてからジリジリと伸びてくると、L1でしぶとく脚を使って最後は勝ちに行ったトーホウジャッカルは差し込めたという恰好。シュヴァルグランとの比較でみてもこちらの方がロスの多い競馬だったしL3最速という点で考えても阪神大賞典で圧倒された相手にここまで善戦できた。このレースをベストバウトに挙げるのはその辺。少し湿っていたとはいえやはり軽い京都でもあったし、その辺りがこの馬にとって良さが出た…まあどちらかというとシュヴァルグランやアルバート辺りと比較して相対的にという側面は強いかもしれんが、こういう中間的な脚を連続的に使う競馬で良さが出ているなというのはあった。長距離レースでゆったりと進めてしっかりと脚を出し切る。典型的ステイヤー型の競馬だったかなと。


●セントライト記念(GII) 6着 15頭6枠10番
中山芝外2200m良 2:14.0(+0.2) 61.1-60.1 S^1
12.6 - 11.6 - 12.2 - 12.3 - 12.4 - 12.6 - 12.5 - 12.6 - 11.9 - 11.5 - 11.6

 まあここ4走が長距離戦だしそんなにリンクはしないだろうと思うのでセントライト記念を振り返る。秋初戦、休み明けで賞金的には足りていた立場ではあったので叩き台対決ではあったにせよキタサンブラックに完敗を喫した。着差は小さいがこのレースのレベル的にキタサンは叩き台というのもあったし2着以下との比較でみても物足りないかなというのは正直なところ。まずまずのスタートでそこから様子を見ながら下げて好位列の外目、という競馬を展開していく。道中もややスローでそこまで遅い流れではないのだが団子状態に近い形で好位外目で3角。3~4角で外から動いていく蛯名らしい仕掛け、徐々にキタサンらがペースを引き上げて行くという中で4角で2列目には取り付く。ただそこからの伸びが物足りずL1では甘くなって内の各馬に抜け出されての完敗だった。まあこの馬も休み明けではあったと思うし、実際菊花賞はそれなりにやれている。それでも中山2200である程度流れた中で脚を使って、しっかりと動ける形で伸び切れなかったというのは少々不満。ポテンシャル面に関しては菊花賞でも春天でも阪神大賞典でもそれなりのレベルにはあったわけで、ここは物足りん。


●阪神大賞典(GII) 2着 11頭6枠6番
阪神内3000m良 3:06.2(+0.4) 61.6-64.4-59.8 S^2
13.0 - 11.6 - 12.5 - 12.2 - 12.3 - 12.2 - 12.6 - 13.7 - 13.3 - 12.6 - 12.3 - 11.9 - 11.6 - 11.6 - 12.4

 まあ後一戦…どれを振り返っても微妙なので阪神大賞典を。2016年の2~4月阪神は総じて高速馬場立ったわけだが、この日は良馬場でも雨の影響が残っていてパンパンの良ではなかった。ラップ推移を見ても速いラップを踏んでいない、という中での4F戦。ポテンシャル戦に近いが春天と違って13.7と明確に緩んでいるのでその辺りを考えると後半要素を問われたウエイトは大きいかなと。軽く振り返るが五分に出てそこから無理をせずに少し離れた中団でというところ。道中も無理はせず、シュヴァルグランにマークは受けるが中団で我慢。3角でシュヴァルが様子をうかがいながらついてくる、それでも蛯名にしては仕掛けを我慢していて、4角でシュヴァルグランが動く中で仕掛けて抵抗しながら2列目で直線。序盤で一気にシュヴァルグランに出られてしまい、L1まで突き放されての内容だった。この辺からも天皇賞春(も若干雨は残っていたが)と比べて馬場が少し渋ってという中でイマイチ良さが出なかった面はあるかもなと。上がりで見ればはっきりと違いが分かるが、天皇賞春の場合はL1も11秒台の中で外から明確に伸びてきていてこの辺りを比較するとタフな馬場で、よりポテンシャルを問われたときにどうなのか、というのはあった。過去の実績を見ても基本的に高速馬場の方がパフォーマンスは高いと思う。


●2017アメリカジョッキークラブカップに向けての展望

 冒頭で消すといったけど、ひとまず冷静に見てもやっぱり消したい一頭には違いない。前半のペースが上がってどうかというのは明確に不安があるし、セントライト記念では動きは悪くなかったがL1の伸びが甘くなったところはなあ、という感じ。休み明けがイマイチという可能性があるが、その場合も今回は不安。また長距離で良さが出て、しかも高速馬場でよりゆったり運んで速い上りに持ち込んだ時の方が高いパフォーマンスを見せられているという点でも、今の馬場がどうか?というのはある。ゼーヴィントの場合は総合的に見ても隙が無いけど、この馬の場合はやはり前半要素…基礎スピード面が問われたときの不安があるのと、馬場適性の不安。この2つはどうしても出てくるかなあ。まあタフな馬場が全くダメってわけではなくて田んぼ馬場だったダイヤモンドSでも一定の競馬はしている。でも一定で、フェイムゲームらには惨敗だったわけで、比較としてみた時に長距離路線で春天・菊花賞が強い競馬というのであればやはり軽めの馬場の方が良いと思う。能力的にはもちろんチャンスはある馬で、スローからの4~5F戦というところであればだけど、このメンバー構成を見るとそういうペースが作られるかどうかだね。

 


クリールカイザー

 基本的には高速馬場の方が良いのは良いと思うのでそこはカギだが、この馬の場合どこかで息は入れたいがある程度全体のペースが上がっても対応できるのは魅力の一つかな。総合力は高いし、田辺から吉田豊に替わるのは不安もあるが前がある程度引っ張ってくれる中なら番手~2列目でもやれる。オールカマーだけやれれば粘り込警戒は必要。


●オールカマー(GII) 4着 12頭2枠2番
中山芝外2200m良 2:12.2(+0.3) 59.9-59.9 M
12.3 - 11.2 - 11.9 - 12.0 - 12.5 - 12.1 - 12.3 - 12.2 - 12.1 - 11.3 - 12.0

 このオールカマーは上手く乗ってくれた面もあるが、若干3番手よりで、3~4角で動いていく形になったのが噛み合い切らなかったかなと思う。とはいえ相手を考えると十分立派といえる内容。平均ペースだが離れた番手のこの馬の走破で大体61秒前後というところでスローといっていい。好発から積極的にハナを主張、最終的にそとからエーシンマックスが行き切ったので無理はしなかったが単騎のに番手ではなく3番手ととそう差のない位置。道中もその位置で無理せず進めていたが前も淡々と刻んでいるので3角まで前との差が詰まってこない。流石にマズイと思ったか3角以降は徐々に差を詰める形でここでじわっと加速しながら脚を使っていく。ただこれに後続も呼応してゴールドアクターやサトノノブレスといったところが一気に4角で動いてきたので仕掛けざるを得なくなって直線。序盤での一足を使っての抵抗は流石というところを見せたが、出し抜ききれず、L1では呑み込まれての4着だった。まあ全体として満足のいく騎乗だったけど、窮極的に言えば3角以降は主体的に前との差を詰めざるを得なかった。し、ゴールドアクターもそれを許さずに外から仕掛けてきたことで全体の仕掛けが早くなった。L2に入るまでにクリールが先頭に立っていたことを考えればL2以降はクリール、そしてゴールドアクターらが刻んだラップ。なので恐らくL3でそれなりに速いラップを踏む形になったかなとみていて、結果的に前との差を作り過ぎたこと、3番手以下との差が小さかったことで仕掛けのタイミングを早くせざるを得なかったのが噛み合い切れなかったと。この馬の理想は逃げでも番手でもいいが実質的に勝負する相手との差を勝負所までに作っておいて仕掛けを待ちたい。そのうえでの一足の鋭さを活かして出し抜く形。好走パターンは大体そうである。ただ、冷静に正攻法の形でゴールドアクター、サトノノブレス、そしてツクバアズマオーと強敵を相手に善戦できたのは一定レベル評価できるともいえる。


●アメリカジョッキークラブカップ(GII) 1着 17頭6枠12番
中山芝外2200m良 2:13.6 63.0-58.7 S^4
12.6 - 11.7 - 13.4 - 13.2 - 12.1 - 11.9 - 12.1 - 12.0 - 11.4 - 11.2 - 12.0

 ひとまずかなり前になるが一昨年、この馬が主役となったアメリカジョッキークラブカップを振り返っておこう。まあ見てもらえば一目瞭然だが超超スローバランス。ただそれは最序盤が異常に遅いというだけで、L7からは12秒前後を踏みながら1段階目の加速、そしてそこから3~4角にかけて加速していく2段階加速のL2最速である。これが逃げて途中で譲ったにせよ最終的にほぼ前にいたこの馬とミトラが刻み切っていることを考えればこの展開で後ろから差すのは困難、という流れだったのは間違いない。外枠からまずまずのスタートを切ってそこから主張、行けそうになってからはじんわりと内に切り込んでいきながらミトラを引き連れてペースをスローにコントロールする形を取る。2角でラインブラッドが絡んできたのでそれを行かせて控えての2列目という形だがここからのペースアップでも上がり切っていない、という絶妙の流れの中に入っていく。3角ではラインが内を空けていたポイントを上手く突いて一気に先頭に躍り出てここでまずミトラを出し抜く。4角でも後ろを見て仕掛けを待って最速地点の直線入りで更に加速。L1ではミトラも食らいつくがこれを問題とせず、後続の追撃も問題とならない完勝の競馬だった。この馬は非常に器用な馬で、ギアを複数持っているという印象。トップギアに入れてのトップスピードの質自体はさほどでもないんだけど、段階的に加速していけるし、この時みたいに7Fのロンスパという形で入りながらも3~4角で動きたいところで一気に動けてしまう。こういった機動力の高さというのがこの馬最大の持ち味だとは思う。まあここまできれいに嵌るのは流石になかなか難しいけど。なのでこの複数持っているギアを上手く使い分けながら段階的に引き上げて行く、しかもコーナー地点でという競馬ができるのが理想だと思う。そしてそれは次の話題につなげる。


●アルゼンチン共和国杯(GII) 7着 15頭4枠6番
東京芝2500m良 2:34.0(+0.6) 63.0-59.0 S^4
7.5 - 11.5 - 12.5 - 12.7 - 12.6 - 12.3 - 12.8 - 12.5 - 12.4 - 12.4 - 11.7 - 11.1 - 11.4

 これが前走である。確かに勝った時のアメリカジョッキークラブカップと同じようなペースバランスだが違いはラップ推移。3~4角の段階でもペースを上げていない、直線ヨーイドンに持ち込んでしまったのが敗因だといっていい。まあハッキリしているのでサッと振り返るが、好発を切ってハナを主張、そこから外に持っていきながら内外誰も行かないのでドスローに持ち込む。そのまま直線まで動かず団子で迎えてしまう。ギアチェンジは優秀なので各馬がトップスピードに乗るまでは良いのだがL2の最速地点で各馬が勢いに乗るとすぐに甘くなって最後は失速の完敗である。この馬はこれまでの上がりを見てもらえればわかりやすいが、本格化以降は上がり34秒台までしか出せていない。これは端的に言えばそういうことと思ってもらって結構だが、使える脚は小出しにできるけど、全力…つまりトップギアに入ってしまうと質はそこそこあっても持続力が足りない。だから3Fの勝負ではなくその手前のギアで段階的に加速しながら後続にトップスピード勝負だけに持ち込ませないうえで加速性能で出し抜くのが武器。このレースなんかはスローに落としたのは良いけどギアを段階的にでなく一気にトップギアに入れたことと3F勝負になってしまったことが全て。ペースが上がって仕掛けを遅らせるパターンならいいけど、ドスローで団子の直線ヨーイドンは流石に無い。たまにやらかす田辺のミス騎乗だという認識。


●2017アメリカジョッキークラブカップに向けての展望

 まあもともとこの馬は吉田豊とのコンビがほとんどだったので、戻ったという見方もできる。ただ少なくとも逃げる、番手で進めるという選択肢を持っているこの馬だと逃げての技術に関しては田辺の方が2段階ぐらい上で吉田豊ではそこは非常に不安がある。それでも今回が良い条件なのは他に逃げ先行馬が多いということ。その点ではこの馬は他を当てにしながら縦長の中で番手でついていく、結果的に実質的にレースを進めてくるタンタやゼーヴィント辺りに対して位置取りのリードを取っていけるというのは大きい。七夕賞からもある程度のペースまでなら対応できる馬だし、ペースが上がっても前を確保して仕掛けを待てれば問題ない。後半に一足を残す余力があれば基本は安定する、むしろ一足で勝負しようと思ったら他の馬に前半なり早めの段階的な仕掛けで脚を使わせる必要がある。そういった競馬が噛み合ってくるかどうか?というのを見極める必要があるかなと。吉田豊の場合はまずあまり積極的に逃げてというイメージがないし、それなら内枠の方が良いかなとは思う。要所で動ける、内からでもスッと反応できるので3~4角で外から勝ちに行く形はうまく進められたとしてもできるだけ避けたい。内目で2列目ポケット、前がある程度飛ばして好位列に対してしっかりとリードを取っていければこのメンバー構成なら一発まであり得る。ミトラ比較でみてもあのAJCCは運や神騎乗だけではないからね。それと、この馬は高速馬場も強いけど、少し渋ってポテンシャル寄りになっても良いというのも材料としては良い。ステイヤーズSでも結構良い競馬ができるぐらいだし、AJCC勝ちの時でも高速馬場とはいえ7Fのロンスパから最速11.2を引き出すのは楽ではない。ステイヤー型の割に基礎スピードも良いものを見せているので、後はとにかく要所までの進め方、仕掛けどころで我慢しながら瞬間的な脚を引き出すこと。この辺に尽きるかなと思う。オールカマーだけやれれば要所の良さを一番前で引き出せると思うし、ここは穴目としては拾っておきたいところかな。現時点では一応は連下から~内枠を上手く引いて隊列の想定次第では単穴…本命まであるかも、というラインで重い印を視野に入れてというところ。リアファル辺りとの比較をどうするかも難しいところではあるかな。



シングウィズジョイ

 前走のエリ女に関してはこれ以上ない程噛み合った。基本的にドスローからのトップスピード戦がこの馬にとっては好走するうえで重要な条件になるので、同じ2200でも今の様に時計が少し掛かっている中山でとなるとこの馬の良さを引き出すのは難しいかなと思う。今のところは狙わないつもりだ。


●エリザベス女王杯(GI) 2着 15頭5枠9番
京都芝外2200m良 2:12.9(クビ差) 61.8-58.5 S^3
12.5 - 11.2 - 12.8 - 12.7 - 12.6 - 12.6 - 12.5 - 11.9 - 11.5 - 11.2 - 11.4

 まずは番狂わせとなったエリ女から振り返る。京都も馬場が読みにくいところはあったがマイルCSの前週となるエリ女の当日はそこそこ高速状態だった。ペースバランスは見てのとおりで3.3と超スロー、ラップ推移も京都外回りとしては仕掛けどころが遅いのが一目瞭然。L2の直線前半が最速である。まずまずのスタートを切ってそこからじわっと様子を見ながら逃げるプリメラアスールを行かせて少し離れた2列目で入っていくという感じ。道中も終始12秒半ばと遅いラップを踏む流れで上手く息を入れ、3~4角でも徐々に加速、それでもまだ余裕がある状況で2列目で直線。序盤で内から一気に出し抜く切れ味を見せる。しかしL1ではこれを追走して更に鋭く伸びてきたクイーンズリングに差し込まれて大番狂わせとまでは行かなかった2着だった。まあここまで噛み合えばというところ。ターコイズSなんかでも見せていたように、緩い段階から一気にトップスピードに乗せていくのが非常に上手く、窮極的なギアチェンジ型と言っても過言ではない。なので本来京都外回りだと3コーナーの下りからの競馬で合いにくいのだがこれが近年のエリ女。仕掛けが相当遅くなったことで直線入りでの反応が問われる競馬になったし見事に噛み合ったと。こういうレースは器用さが究極的に問われるのであまり参考にはしづらいというのはある。もちろんトップスピード戦になっていたというのも今の中山2200では?という面も大きい。


●中山牝馬S(GIII) 15着 16頭6枠12番
中山芝内1800m良 1:50.9(+0.6) 51.5-46.6 S^5
12.8 - 12.7 - 12.9 - 13.1 - 12.2 - 11.5 - 11.8 - 11.6 - 11.7

 一方でドスローならいいというわけでもないのが厄介なところである。この中山牝馬Sでは極端なドスローになった文だけ仕掛けが早く、L5から一段階目、そしてL4で2段階目がくるのが早くここが最速地点となっている。4Fのロンスパに近い中で、五分に出てそこからしっかりとドスローの段階で番手外を確保する。流石にドスローで掛かり気味だったがここまで遅いと当たり前といえるだろう。向こう正面でペースが上がった時に少しポジションダウンをしながら3角。3角では好位の内内で我慢、ロスも少なく運べているのだが4角で既に手が動いても反応できる感じではなく、直線序盤ではっきりと追い出されたが伸びない、少し狭くなったのもあるが最後は脚も無くというところだった。パトロールを見てもわかるが追いだされてから結構な時間前は空いていた。それでも動けなかったのだから余力がなかったというところだろう。エリ女みたいに余力があればあの間隙を割って入ってくる鋭い反応が持ち味。それがなかった、11.8-11.6と一応加速地点でできてないという点でも分散するポテンシャル戦は不向きだろうと。


●ローズS(GII) 14着 18頭3枠5番
阪神芝外1800m良 1:48.0(+2.8) 46.7-46.8 M
12.5 - 11.0 - 11.6 - 11.6 - 11.7 - 11.9 - 11.2 - 11.5 - 12.2

 かといってペースが速ければそれはそれで辛い。秋華賞なんかは2秒でかなりのハイだったのもあるし判断が難しいところだが、普通にローズSでは平均ペースでも崩れている。軽く触れるが、内枠から好発を切って押して押してハナを主張しきる。ドンキにプレッシャーをかけられる形になったので辛い展開ではあったがそれでもペースそのものは平均で収まっているし、まあ46.7と考えると早いけど無謀というほどでもない。少なくともついてきたドンキは崩れず粘っている。3角手前でドンキが前に出てこちらが外からついていく形に変わるがもう手が動く。4角の段階ではもう完全に一杯の状況でついていくのがやっと、そのまま失速した。この辺からもペースが上がると非常にもろいし、オークスのような2段階加速の展開になっても小足に脚を使えるというタイプでもない。本質的には恐らくU字の1800前後でスローが理想だろうと。スローからのトップスピード戦でかつ基本的にギアチェンジを要求される競馬でないと難しい。


●2017アメリカジョッキークラブカップに向けての展望

 個人的には穴人気しそうな今回はばっさり切るべきだと。少なくとも中山芝外2200向きの逃げ先行馬ではないと思う。もちろん要所の動き出しの良さが問われることが多いのは確かだが、この時期の中山で先週の馬場だと恐らく極端なスローバランスはまずないし、トップスピード戦になることも恐らくないだろう。前もそれなりにレースを作っていく馬が揃っているという中でこの馬の場合基礎スピードで強気になれないのはまず痛い。この馬場で61秒ペースだとして、後半も京成杯レベルでも60秒ぐらいでまとめるのがやっとという馬場。ついていくと持ち味のトップスピードを引き出せるかというのは疑問の方がはるかに大きい。使える脚が一瞬しかない馬は多いけど、そういうタイプならそういうタイプで基礎スピードの幅を持っていてペースを引き上げて一足を待って使うなり、クリールカイザーの様に良い脚は一瞬だけどロンスパ的に持っていきながら段階的に小足に使って行けるなり、総合的に見て武器が多数あれば戦える。だけどこの馬の場合はスローからのギアチェンジ戦に特化してきているので、基本的に難しいだろうと。この馬に関しては恐らく現時点での予想のまま、余程馬場が急に軽くなって高速化とかすれば別だが、先週の馬場を前後させる程度を想定として考えれば狙いは立たないかな。



ルミナスウォリアー

 サムソン産駒の壁はやっぱり重賞。ここからが本当の戦いになるが、どこかで重賞に手が届く可能性はこの馬の場合は十分あるかなと思っている。ただ、今回はメンバー構成的には手強いし、今の競馬を続けているとラストは食い込めても届ききるか?というのは中山2200では特に感じるかな。

●ディセンバーS(OP) 2着 14頭3枠4番
中山芝内2000m良 2:01.0(+0.1) 61.5-59.4 S^2
12.8 - 11.4 - 12.7 - 12.4 - 12.2 - 11.5 - 11.9 - 12.1 - 11.7 - 12.2

 まずは前走ツクバアズマオー相手に最後まで伸びてきたディセンバーSから振り返る。ペースはかなりのスローでラップ推移的にもL5が最速、ロンスパ気味の中で3~4角ちょっと緩みつつL2再加速という競馬。2段階加速気味だけどコーナーでの減速もあって少し緩んでいて紛れていたかなという感じ。まずまずのスタートから控えて後方の内内でとかなり消極的な競馬になるがいつものこと。前がペースを上げない中で後方馬群の内内のまま進めながら3角。3角手前で団子状態の中内内で我慢、仕掛けを待ちながら徐々に外に誘導、上手くツクバアズマオーの直後を取って直線で外。序盤で少し伸びあぐねるがL1までしぶとく伸びてきて最後は差を詰めての勝利だった。3角以降は終始内なんだが3~4角の段階では11.9-12.1と徐々にラップも落ちていた中で、柴山にしてはスムーズに外に出していったのは良かったが、出し切れなかった感覚はあったかなと。というかもうちょっと言えばやはり最序盤ある程度前につけていく意識を持ってほしいなとも思う。この馬はサムソン産駒としては珍しく結構ポテンシャルで押していく馬ではあるが、減速しながらコーナーで我慢していたことでどうしても出口で外に出してからの反応でツクバアズマオーに見劣ってしまったなと。ツクバ比較で見ればそこそこやれたのは良かった。


●ジューンS(16下) 1着 13頭5枠7番
東京芝2000m良 1:58.1 58.9-59.2 M
12.8 - 11.5 - 11.5 - 11.5 - 11.6 - 12.0 - 11.9 - 11.7 - 11.5 - 12.1

 個人的にはこのジューンSが結構優秀だなと思っていて、サムソンの仔ってあんまり厳しい流れが得意な馬は少ないんだけど、この展開でエアアンセムを楽に撃破できたのは評価できる。ペースは流れていてその中で淀みもほとんどなくL2最速ではあるが基礎スピードを高いレベルで要求されている。ここでも五分には出ていてそこから無理せず控えて後方でという競馬。ただここではハッキリと流れていたのもあって少し離れた中団馬群の中目で我慢。3角手前で前の集団に取り付くような形になり、中団中目、4角でも中団馬群の中で待たされて直線。序盤でそこから進路確保、L2の坂の上りでスッと抜けると最後は外から来るエアアンセムを寄せ付けずの完勝だった。取り付いたといっても前もほとんど緩めていないわけで、後方集団も自力で動く必要があったのは間違いない。この馬の場合で見ても目視ではあるが1000通過が59秒半ばぐらいかなという感じなので恐らく59.5-58.6としてもややスロー程度では入っていると。前半ついていきつつ後半追い上げながら段階的に足を使ってL2で一足を使えているように流れた中で十分やれている。その点でも本来もうちょっと前でというのはこの辺りを意識してというところかな。


●新潟記念(GIII) 5着 18頭4枠8番
新潟芝外2000m良 1:57.8(+0.3) 58.8-59.0 M
12.8 - 11.0 - 11.2 - 11.4 - 12.1 - 12.0 - 11.9 - 11.7 - 11.5 - 11.9

 新潟記念も悪くはないんだが伸び切れなかったのはちょっと後ろ過ぎたという感じはある。単騎逃げ馬が平均で刻んだだけで実質は超スローだろうという競馬。この馬のバランスで見ても600-600だが3.6もスローであるし、トップスピード戦でとなるとそこまで長く脚を使えないというのはあるのかなと。やや出負けして無理せずじわっと入っていって中団やや後ろ目、馬群の中で折り合わせつつという競馬、ファントムライト辺りを見ながら進めていくが単騎逃げ馬が平均ペースで進める中でかなり離れた集団で3角に入り、大体1000通過も60秒半ば~後半というぐらいで遅い。3~4角で集団も流石に動いていくという中で中団馬群の中目から直線で追い出す。序盤でファントムライトの内から一定の伸びを見せL2では2列目まで上がってくる。それでもL1では伸び切れずに外差しに屈しての5着だった。実質的にはTS持続特化の競馬になったし、その流れの中では脚を出し切る形になっていると思うが結果としてTS持続では他に上がいたともいえるかな。まあ外差しがかなり顕著ではあったので何とも言えないがこの馬も十分外を回していたし。


●2017アメリカジョッキークラブカップに向けての展望

 現時点ではポテンシャルの高さが第一にあるなというのと、基礎スピードが問われて良さが出ていることが多い。新潟記念は字面は平均でも単騎のもので実質離れた番手ぐらいでは60-57.5ぐらいの緩い流れ。ジューンSの場合はある程度の位置で追走していたしこの馬の1000通過でも59秒半ばぐらい。そこから極端なトップスピード戦でない中で加速する地点でいい脚を使ってきていた。またサムソン産駒はL1が甘くなる傾向が強いんだが、ここでエアアンセムを全く寄せ付けていないというのも大きな材料かな。ポテンシャルと基礎スピード面のバランスは重賞でもチャンスはあると思わせるレベル。またサムソン産駒の良さと言っていい要所での動き出しはそこまで顕著ではないがそれでもジューンSでは一定のレベルのモノは見せてきていた。流石にコーナーで良い動きができるツクバアズマオー相手に後手を踏むと苦しかったけど、そこそこ器用だろうと。七夕賞や新潟記念のように特殊なケースでは甘くなっても、適度な流れの中でのポテンシャル戦ではまだ今のところ底を見せていないし、相手次第では重賞でもというところだが今回はゼーヴィントやクリールカイザーといったところ、リアファルも戻ってくれば強敵で適性が合うかはわからないがタンタアレグリアも重賞レベル。レースレベルそのものは結構高いと思うので、後は今のこの馬がどこまで通用するか、楽しみではあるがポテンシャルを活かしたい馬に柴山って基本的に微妙なところはあるし、今の段階では連下~3着ヒモでの押さえまでとしたいかな。




リアファル

 前走は悪くない…だけに今回扱いが難しいなという感じはある。ただ、長距離でかつ中弛みがあった菊花賞を除けば基本的にはスロー専用っぽい競馬の入り方をしているというのは少し気になるところで、特に神戸新聞杯、マレーシアCもトップスピード戦である。ここを考えた時に、今の中山の馬場でタフな中で平均的になった時にこの馬の競馬ができるかどうか。と言ってもできないかもわからないわけで…馬券的には扱いが極めて悩ましい一頭だろうと思う。穴人気しそうだしね。


●神戸新聞杯(GII) 1着 15頭4枠6番
阪神芝外2400m良 2:26.7 62.4-58.5 S^4
12.6 - 11.1 - 12.8 - 12.9 - 13.0 - 13.1 - 12.7 - 12.4 - 12.0 - 11.0 - 11.4 - 11.7

 まずまずのスタートを切ってそこからじわっと様子を見ながら、外の馬に対して内に入り込まずに行かせないという意識をもってゆったりと1角のコーナーワークで楽に取り切るという形。道中もドスローの流れに持ち込んでしっかりとコントロール。3角に入っても徐々に上げていくという程度、2列目勢が仕掛けてきた4角で一気に下りを利してペースアップ、直線に入る。最速地点の4角ではそうでもないがL2の直線前半の段階でグンと2列目を引き離してしまう。唯一くらいついてL1ではジリッと差を詰めたリアルスティールも問題とせずの完勝だった。前目でTS持続で押し切るタイプはマイルや1800路線では結構多いんだけど、この距離でってのは結構珍しいタイプ。まあ重馬場のマレーシアCでも重で分かりにくいが12.8 - 12.0 - 11.5 - 11.1 - 11.7とドスローからのトップスピード特化戦。そこでもL1で踏ん張れていたように、この馬のベストはTS持続を引き出し切る競馬だろうとは思う。


●菊花賞(GI) 3着 18頭8枠17番
京都芝外3000m 3:04.0(+0.1) 59.9-64.5-58.9 S^1(中弛み)
12.7 - 11.1 - 11.6 - 12.3 - 12.5 - 13.1 - 13.7 - 13.7 - 11.8 - 12.1 - 12.0 - 11.9 - 11.6 - 12.2 - 11.6

 この菊花賞では逃げこそなかったが積極的な先行策を展開、キタサン、リアルには敗れたものの3着と結果を残したといっていい。ペースは前半1000はそれなりだがそれでもややスロー、中間の1000mは65(ハロン13)に近いレベルなので中弛み顕著と言っていい。実際13.7-13.7と相当緩んでいる。ただそこからのロンスパの展開になり、7Fのポテンシャル戦の上でこの馬含めて上位3頭はL1で加速の余力があったという展開。大外8枠からまずまずのスタートを切ってじわっと外から主張、最終的には更に外のスピリッツミノルが強引に行き切ったので控えての2番手とBプランでの競馬になる。かなり出していった中で外から来られたのでコントロールが難しいかなと思っていたが、スタンド前では前にスペースを作りながらしっかりと折り合わせる辺りは流石ルメール。しかし1角手前ぐらいからスピリッツが一気にペースを落としにかかるのでそこからはまたかかり気味になるがこれはレースラップ的には当たり前。そこで向う正面捲ってきた馬がいたのでここでペースアップ、ロンスパの流れで2列目の内内で進める競馬で悪くない形で3角。3~4角では2列目のポケットで我慢しながらL3の11.6ではロスなく立ち回って直線。序盤で先頭のミュゼエイリアンがばてていてスペースがないのでここでちょっと詰まるが外に出す。そこからじわじわと加速、という流れの中で内外からキタサン、リアルに差し込まれての3着という内容だった。まあL1は0.6の加速ということでこれをそのまま受け取ればこの馬自身も加速ラップを踏んでいるということになる。キタサンとリアルはその流れの中で更にもう一段高いレベルのギアを引き出したと。なのでポテンシャル自体は高いものを見せたと思っている。実際ここの4着タンタアレグリアが天皇賞春でも結構良い競馬をしているわけで、もちろん勝ったキタサンがそのまま春天を制したと。この辺りを考えればこの馬もポテンシャル面では十分戦えたといっていい。


●金鯱賞(GII) 5着 13頭5枠6番
中京芝2000m良 1:59.9(+0.2) 61.5-58.2 S^3 
12.6 - 11.0 - 12.7 - 12.7 - 12.5 - 12.6 - 11.6 - 11.3 - 11.2 - 11.5

 有馬記念では自信をもって本命に推したんだけどまさかの殿負け、腱鞘炎ということで残念だった。そこから時間がかかって昨年末の復帰戦、金鯱賞を振り返る。中京芝2000m戦で昨年はどの時期の中京も通して開幕週は高速馬場だったなという中で、かなり極端な後半特化。4F戦ではあるがそれでもL2最速11.2とかなり速いラップを踏んでいる。ドスローからの4F、ここまで来るとTS持続に近いとみた方が良いかな。坂スタートで少し出が悪かったが、そこから徐々に盛り返しつつ最終的には2列目の外。道中もかなりスローなのだが縦長という特殊な展開で2列目の外にいて正攻法の形で3角に入っていく。3角では2頭分外から勝ちに行くが前もペースを引き上げてくるという中で詰められずに直線。序盤の坂の上りでここが最速地点だがキレ負けしているような感じでヤマカツに並ばれる。L1ではそこからジリジリと踏ん張って3着争いは僅差だったが及ばずの5着だった。まあ3~4角で一気にペースが上がっていく、その流れで外から行ったわけなのでそりゃロスは大きい。特に4角は最速に近かったわけでね。それでも3着争いで内を立ち回ったシュンドルボンやサトノノブレスと比較すれば結構強い競馬ができたなとは思う。復帰初戦としてはまずまずの内容だった。元々神戸新聞杯だってL3の地点よりも減速していく過程で良さが出ていたわけなので、ここではどちらかというとキレ負けっぽい感じだったかなと思う。逃げて最内を通していたら速度負けもせずに済んだと思うしその点も含めると悪くはなかったかな。それより坂スタートがイマイチだったなあという感じの方が強い印象だったかな。


●2017アメリカジョッキークラブカップに向けての展望

 非常に悩ましいな、というのが率直な感想。基礎スピードタイプの先行馬が多いし、クラリティスカイも出走するということでクリールカイザーやヤマニンボワラクテ、ワンアンドオンリーらも含めてそこそこペースを引き上げて入ってきそうな馬も多い。そう考えると現時点ではある程度流れることを前提にはしたい。前半の基礎スピード面は未知数だがベストバウトを考えれば神戸新聞杯にはなってくると思うのでスローの方が良いとは感じるかな。菊花賞も悪くはないし、中弛みからのポテンシャル戦でも対応できそうで理想は2段階加速のトップスピード戦かなぁという感覚ではある。有馬で本命を打ったのもその点が噛み合いそうな気はしていたからね。結果は分からなかったけど。その点でもペースが上がったことでポテンシャル戦になり切ったり、或いは基礎スピード面を要求されることで甘くなったり、そうなった時の評価をどうするか、というのがポイントだろうと。スローで前目で入っていければ十分重い印を打てるんだけどね。それと、やはり前走の金鯱賞を考えてもあれだけで完全復活とまでは言えないと思う。特に骨折ではなく腱鞘炎だからね。炎症ってあんまりいいイメージ無いんだよなあ。前走はがんばったけど、もうちょっと様子を見たいという気持ちもある。能力的には同じスローの方が良いタンタアレグリアよりは上だと思っているので、後は状態面がどこまで戻ってきているか、そして前が結構揃っている今回どういう展開でどういう形で入っていけるか。この辺りや人気をしっかりと考えて最終的に判断したい。ただ、扱いが非常に難しいのは間違いないなと。




ミライヘノツバサ

 上昇度は認めるけどゼーヴィントと比べるとここまで戦ってきた中で比較すれば明確に不安はある。今回は先行勢が揃ったのと、前走はかなり嵌った側面が強いし字面のペースは当てにならない。全体で流れてやれるかどうかは未知数なので、そこをクリアしてこれるかどうか。ラジニケ賞の内容を考えればゼーヴィントからは一段下げて考えた方が良いかなとは思っている。個人的には今回は先行策に拘らない方が良いかもしれない。


●迎春S(16下) 1着 11頭3枠3番
中山芝外2200m良 2:12.6 59.7-60.8 H^1
12.6 - 11.3 - 12.3 - 11.7 - 11.8 - 12.1 - 12.3 - 12.4 - 12.1 - 11.7 - 12.3

 この迎春Sは字面上はハイペース。なのだが、これはあくまで大逃げの刻んだもの。離れた番手にいたこの馬で測れば1000通過は目視で62秒はまず切れていないから超スローとみておく必要がある。超スローから前がそこまで落としていない3~4角で詰めてきているので恐らくポテンシャル戦だとみていいと思う。実質は超スローロンスパだろうと。まずまずのスタートから押してハナを主張、最終的には控えて2番手で進めていくと。結果的に行かせたロングシャドウが大逃げの展開、その中でかなり離れた2番手で実質的にレースを超スローにコントロールし支配していく。3角ぐらいからこの馬が差を詰めてきて。3番手以降との差を広げつつロングシャドウとの差は詰めていく。4角でも楽な手ごたえで先頭に並びかけて直線。序盤で一気に突き抜けるとL1では流石にちょっと甘くなったがきっちりと捻じ伏せた。まあかなり噛み合ったのは間違いないと思っていて、スローロンスパの中でしっかりとコーナー地点である3~4角でペースを引き上げたので外から押し上げたい馬たちはここで脚を使わされる形になった。これも目視だが、1200通過が大体74秒半ばぐらいになるので、恐らく後半5Fは58秒前後で入ってきていると思う。ラスト12.3は確定なのでL5-4は45.7ぐらいとなれば相当長くいい脚を使ってきたかなと。後半のポテンシャルは相当なレベルにあると思う。ただそれはあくまでドスローで番手でと相当噛み合ったというのもあるので、この競馬をイメージしすぎるのは良くないだろうと。恐らく平均~ややスローであまり前目で追いかけて良い馬ではないと思う。前走を評価するなら前から器用に抜け出した、ではなくドスローの中たまたま前につけられたけど、そこから非常に長くポテンシャルを発揮してきた、というところかな。ただ、7日~8日の中山は8日に雨が降る前は馬場は回復しつつあったので、先週と比べると時計は出易かったというのは少し意識しておく方が良いと思う。


●ラジオNIKKEI賞(GIII) 8着 16頭4枠7番
福島芝1800m良 1:47.5(+0.5) 47.2-47.4 M
12.4 - 10.6 - 12.3 - 11.9 - 12.4 - 12.4 - 11.8 - 11.5 - 11.7

 ただこの馬の場合ははっきりと弱点を見せている。少なくともここで強い競馬ができたゼーヴィントと比較すると明確に不安を見せているのが基礎スピード。ここでは平均ペース、ただ中弛みもあったのでそこまで厳しいペースというほどではない。それでも平均で基礎スピードはそれなりに問われたと。まずまずのスタートから先行するだけの脚は見せたけど結局無理をせずに控えて好位を狙っていく。道中も好位の内目で無理なく追走する形で3角に入っていく。3角でも楽な手ごたえで内目からするすると押し上げていく、4角出口でやや狭くなってやや下げながら外に持ち出して直線となるのだが、そこからが反応できずに伸びあぐねての8着完敗だった。ここからも…まあ確かに多少スムーズさはなかった面もあるが、それでも再加速する余力がなかったというのは確かなので、本来無理なくは入れれば後半必ずいい脚を使ってきているということを考えるとペースに課題があったかなというのはある。これはその前の皐月賞でも58.5-59.4で大きく崩れているので、少なくともここに至るまで改善できているとは言い難い。菊花賞でも前半突かれて厳しい流れになった、中弛みを作って息を入れたが良さが出なかった。正直菊花賞は結構期待していた1頭なんだが、これも前半にあまり無理が利かないのかな?という感想を抱く結果だったかなと。


●習志野特別(10下) 1着 13頭8枠12番
中山芝内2000m良 2:01.6 62.8-58.8 S^4
12.6 - 11.7 - 13.5 - 12.1 - 12.9 - 12.0 - 11.6 - 11.4 - 11.5 - 12.3

 個人的にはこの習志野特別が本来の姿かなと思う。というか、前走の迎春Sもこの競馬に近いと思うが、大逃げのラップなので読みにくいという感じ。ペースは4秒のドスローで4F戦に近い。一応2段階加速だが2段階目が早く、L3最速なのでポテンシャル寄りと言って良いかな。外枠からまずまずのスタート、楽に先行争いに加わって番手を確保、そのまま逃げ馬を突かずにドスローに持ち込んでいく。3角でも団子状態という中で徐々に仕掛けつつ3~4角以降速いラップを踏むという中で番手外から仕掛けてしぶとく先頭に並びかけて直線。序盤でそこからジリッと抜け出し、L1までポテンシャルで踏ん張って後続を決定的に寄せ付けずの完勝だった。番手から一つ外、このラップで堂々と押し切るのは立派だし、やはり後半要素が最大の武器になるとみていいだろうと。


●2017アメリカジョッキークラブカップに向けての展望

 この辺を回顧しても、普通に後半型だろうと思う。ややこしいのがこの馬の場合スタートが上手いので先行しないといけない、という意識があるのかなと。もちろんスタートが良いのは武器だしその中で様子を見ながらバランスを取っていければいいんだけど、例えばラジニケ賞でも好位で控えた中で平均ペースに乗っていくと後半要素が少し削がれている感は出てくるし、顕著に皐月賞では崩れた。皐月賞なんかは後方で無理をしない選択をして3~4角でも打ちを立ち回ってという中で4角の段階で促されても反応がなかったし、進路もとれていながら惨敗。基本的に基礎スピード面は不安材料だと思っていた方が良い。前半要素もゲートや二の足といったポジショニングはうまいが、ペースが上がっての基礎スピードが弱点という認識かな。スローに支配できれば問題ないが、そうでなければやはり序盤無理はしない方が良いと思う。し、仮に実質的に平均で流れてしまえば使える脚は後ろからでもやっぱり削がれている以上、全体で流れる競馬を想定するのであれば高い評価は控えた方が良いだろうと。前走は字面で見れば平均で流れているといってもあくまで大逃げベース。番手のこの馬ベースで測れば恐らく4秒以上の超々スローになってくる。なのであれで流れる競馬が良いと勘違いして前目で積極策となるようならぶった切るのもアリだろうと。ただ個人的には後半要素のポテンシャルではこの世代でも結構上位に入ってくるんじゃないかなと思っているし、いずれは日経賞とか目黒記念とか、もうちょっと長い距離でチャンスは出てくると思う。ただ、今回の2200はこの面子が揃うと前半要素をそこそこ問われるだろうし、7日に比べると今の中山は重いのでもうちょっと前後半がフラットになりやすくなると思う。ドリームジャーニー産駒を地で行っている感じだけど、ドリジャと違うのは基礎スピード面の不安があるからね。恐らく穴人気どころじゃなく上位人気の一角になってくると思うけど、流れる可能性が高いこの条件、面子ではゼーヴィントを上に取るべきかなと。全体がスローで団子になれば勝ち切るチャンスもある、あくまで展開や条件的な問題で能力そのものはいずれ通用すると思っている。


 

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