2015年4月27日月曜日

東京コース向き、距離延長も歓迎のシングウィズジョイ

最後にフローラSの振り返りだね。

前半のペースがかなり遅かっただけに、前々の2番手でスムーズに流れに乗れたのがシングウィズジョイの一番の勝因じゃないかな。ウチパク(内田博騎手)がテンからハナに行くぐらいの気で出して行ったけど、道中で変にムキになることもなかったし、終いもしっかりしている。乗り役に素直なのがこの馬のいいところで、これだけ落ち着いて走れれば、もっと距離が延びてもこなせるはず。前々で運べる分、不利を受けることも少ないだろうし、自分で競馬を作れる点も強み。ペースがペースだから、この平凡な勝ち時計もあまり気にしなくてもいいだろう。最後までバタッと止まらずにしぶとく伸びる点でも広い東京コース向きで、次のオークスでも侮れない存在になりそうだね。

ディアマイダーリンも前々の3~4番手で流れに乗れていたとはいえ、道中でかなりムキになってハミを噛んでいたね。インのポケットでジッとできていたにしても、あれだけムキになったら、追ってそう伸びるものではない。負けはしたけど、2着に来ただけでも大したものだと思うよ。ただ、ここまでムキになるようだと、更に距離が延びるとなるとと折り合い面が心配。あれだけ力んでいても何とか我慢できていたように、レース運び自体は良かったから、これで走りにもう少し遊びが出てくるといいんだけど…。

マキシマムドパリは好位の5~6番手で流れに乗れていたし、ディアマイダーリンと同じようにインでロスなく運べていたね。ムキになっていたディアとは対照的に走りに遊びがあったから、最高の競馬ができたと思う。さすがは(武)豊といった感じだよ。追ってからジリっぽかったとはいえ、その分、広い東京コースは合うし、距離が延びるのもプラスに出るんじゃないかな。ただ、一気に18キロも馬体を減らしていた点が気掛かり。調教の動きは良かったし、その時点では馬体の雰囲気も良かったのに、パドックでは随分と細く見えたから…。この体でこれだけ走れるあたり力はあるから、減った馬体が回復すれば…といったところだけど、本番(オークス)までは中3週と時間は限られている。馬体を戻すのに重点を置いた調教だと、中身まで仕上がり切らないのはよくあることだからね。調整が難しくなりそうで、中間の調整過程や当日の気配などをチェックする必要があるんじゃないかな。

ペースがペースだから、ウインアキレアがいた中団あたりまでがギリギリ勝負になる位置取り。内枠を利してインでロスなく運べていたし、この馬としては最高の競馬ができていたんじゃないかな。ただ、追ってからがとにかくジリ脚。たとえ自己条件に戻っても、そう簡単には勝負にならないだろうなぁ。もっとピリッとした脚を使えないことには厳しいと思うよ。

エバーシャルマンも、ウインアキレアと並ぶような感じで中団から。インでロスなく運んだウインに対して外を回るロスがあったとはいえ、この馬も追ってからがジリっぽかったね。あれだけジッとできていたんだから、もう少しピリッとした脚を使って欲しかったなぁ…。まぁ、未勝利を勝ったばかりでまだキャリアも浅いから仕方ないだろう。この馬とすれば良く走っていると思うし、経験を積みつつ変わってくるんじゃないかな。

バンゴールは好位の5~6番手でジッとできていたし、直線で外へ出した時には伸びそうな手応え。でも追ってからが案外で、最後は止まってしまったね。距離が長いのか、ここでは能力的にキツかったのか…。調教の動きからして体調は良く見えただけに、物足りない競馬だったよ。

ナガラフラワーは、ウインアキレア、エバーシャルマンの1列後ろにいたように、道中の位置取りがちょっと後ろ過ぎた感じだし、道中で外々を回るロスもあったからね。それでも直線では伸びかけたところで止まってしまった。2000mでも微妙に長いみたいで、千八までの馬かもしれないよ。

フロレットアレーは、勝ち馬を見ながら好位の3~4番手で流れに乗れていたし、直線に向いた時の手応えも良かったんだけどね。道中で自分からハミを取るところがあったとはいえ、最後はちょっと止まり過ぎ。2200mで勝っているけど、この馬も本質的に2000mは長いんじゃないかな。410キロ台でガサのない馬だから、馬体がフックラしてくれば違うのかもしれないけど…。


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