2015年5月29日金曜日

両雄並ぶ

今週は東京優駿競走が行われる。
まぁ、個人的には週末の日本ダービーよりも6月3日に行われる東京ダービーの方が楽しみと云うのが本音だが、私のような人間は少数派で今週のスポーツ紙の一面は日本ダービーの情報一色になっている。
そんな中、今週の水曜のサンケイスポーツの終面に「大井の新旧レジェンド予想対決」と称して5月末日で勇退する高橋三郎師と的場文男騎手の2人による今年の日本ダービーの予想が掲載された。
その中で的場文男騎手は「今回は高橋三郎先生が引退ということで、こうして2人で予想をさせてもらうことになった」と述べ、高橋三郎師にこれまで良い馬に騎乗させて頂いた事に関して感謝の言葉を述べながら、今回の高橋三郎師の勇退に対しては「もう少し調教師をやってほしかったが本音」と語っている。

ご存知の方も多いだろうが、年齢が一回り違うこの2人は大井の小暮嘉久門下の兄弟弟子の関係になると同時に現役時代は大井リーディングジョッキーの座を巡り熾烈な争いを繰り広げたライバルでもある。
それだけにこの当時は高橋三郎と的場文男は同門の兄弟弟子ながら不仲とまことしやかに噂されており、現実に高橋三郎騎手の引退式で大井の乗り役が居並ぶ中、的場文男だけ居なかった事から、私もその噂は事実だろうと思っていた時期もあるが、以前ここで書いた様に昭和57年の東京大賞典で高橋三郎騎乗のトラストホークにハナ及ばなかったミサキネバアーに騎乗していた的場文男がこのハナ差の負けは自分が仕掛けを迷っているトコに一気に行った三郎さんとの腕の差が出ただけと語っていた事を知るとこの2人はお互いの実力を認めていたからこそ馴れ合わず真剣に渡り合っていたのだと思う様になった。

トップの乗り役と云うのは佐々木竹見騎手のようなジェントルマンのタイプは珍しく、良くも悪くも我が強くて闘争心がある乗り役の方が上を目指す事が出来る、それだけに闘争心を剥き出しにして兄弟子を追い越せと大井リーディングのトップを目指す的場騎手に、弟弟子にはまだ負ける訳にはいかないと云う強い気持ちで臨む高橋三郎騎手、周りから見れば不仲に見えても不思議ではないが、上記した様にお互いの実力を認めながらも真剣に渡り合っていたとすれば、不仲と云う単純な言葉では括れない複雑な思いがこの当時の両者に有ったと推測する。

高橋三郎も乗り役を引退して調教師に転身してからは現役時代の我の強さが影を潜め、驚くほど丸くなったと伝え聞く、それだけに現役時代は決して密な関係と言えなかった弟弟子との距離も徐々に縮まり、調教師と騎手としての付き合いが始まると黒船賞で2着したナショナルスパイやフレアリングマズル、コアレスハンターなど多くの名馬の手綱を的場文男に任せたのはご存知の通りで、的場文男が6000勝を挙げた時に騎乗していたのも高橋三郎師が管理するコアレスコマンダー、また高橋三郎厩舎として最後の重賞挑戦となった昨年末の東京シンデレラMのマルカンパンサーに騎乗したのも的場文男だった。

今回のサンスポには2人のツーショットの写真が掲載されていなかったのは残念だが、的場文男騎手から高橋三郎師の勇退に関するコメントを拝見する事が出来たのは古くからこの2人を見続けて来た私としては何となくだが微笑ましい気持ちになったと云うのが正直な感想。


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