2015 7/12(日) 七夕賞(GIII) 福島芝2000ｍ
出走予定・登録馬一覧
ハーツクライ産駒の代名詞、古馬になってからの緩やかな成長曲線に沿って、今年はついに準OP卒業から目黒記念２着と結果を出したレコンダイト。３歳の段階ではまだ500万下の身だった馬が４歳で1000万下を２勝し準OPに上がり、そして今年の春に見事にオープン入り。成長を遂げたこの馬なら重賞制覇も当然視野に入ってくるが今回は福島2000の舞台になる。スピード勝負に対応できるかどうかが最大の焦点、覚醒期に入れるか。
まあ順当に考えればハーツクライ産駒の傾向的に見ても高速馬場で基礎スピードが問われる１周コースの2000というのは不安しかない。ハーツの成長例は基本的に距離延長、ゆったり運んでのポテンシャル勝負だったりＴＳ持続戦で結果を出す馬が多く、この馬の傾向もまさにそれに当てはまるだけに余計に不安はあるかなと。
ここ３走はいずれもスローなのだが、まずは大阪ハンブルクＣから見る。阪神芝外2400ｍ戦でペースバランスで見ると63.6-59.0と超スロー、12.0 - 11.8 - 11.5 - 11.4 - 12.3とじわっと加速しつつトップスピード自体はそんなに要求されないがＬ１は落ち込むという競馬で、際どいところだがＴＳ持続力面が問われたかなと。出負けして最後方ぐらいから進めつつ、ドスローの中ポジションを挙げずに後方の最内で進めていく。ペースが徐々に上がっていく３＾４角でも最内で前にがっぽり空いたスペースを使って鞭も入っているが反応そのものはジリジリ。直線序盤の最速地点でもジリっぽいが２列目までは押し上げる。サトノシュレンが出し抜いてぬけだしているなかでＬ１でしぶとく伸びてきて２着を確保したと。ハギノハイブリッドを一応ＴＳ持続戦で撃破できたのは一定の評価はしたいがタフな馬場だとハギノはイマイチなので判断は難しい。いずれにせよ基礎スピードは全く問われていない。
そして前走の目黒記念も極端ではないが近い展開になった。東京2500ｍ戦で単騎逃げ馬が引き離す逃げを打って60.3が通過、それより７馬身ぐらい後ろだったことを考えれば確実に61秒台半ばで実質的にはスロー。12.2 - 11.7 - 11.6 - 11.4 - 12.0のラップ推移でみてもわかるように大阪ハンブルクＣに近いギアチェンジが要求されない４Ｆ勝負となった。五分にスタートを切って内枠でもあり余裕をもって進めながらも１～２角のコーナーワークで上手く好位まで上がることになる。そのままコーナーで加速していく流れ、Ｌ４で11.7とそこそこ速い流れの中でも内でうまく立ち回って直線で中目に出す。序盤でそこからの反応はやはりイマイチだったが徐々に伸びだしてＬ２で２列目に押し上げる。そこからＬ１で抜け出したところにヒットザターゲットが急追してこれには完敗だった。まあかなりうまく立ち回られたことと、この馬のネックである基礎スピードが要求されない競馬になったことも含めてかなり嵌った面はある。コーナーでもそこそこ速いラップだったが、内で脚を溜めて完璧に捌けて同じく完璧な展開になったヒットザターゲットにＬ１で抵抗すらできなかったことからも、現状トップクラスにはないと思う。もちろんここからの成長があり得る血統でもあるが。ファタモルガーナを撃破したのは評価したいがラップ的に見てもファタモルガーナにしてはちょっと緩い流れでコーナーでのロスも差があった。Ｌ１ではむしろ差を詰められていたこともあり、この辺りの評価は個人的には慎重にすべきかなとみている。
しかも、これらは2400以上での話で、2000ｍでそれも基礎スピードが要求されてどうにかなるかという点が問題である。３歳時になるが若葉Ｓでは阪神芝内2000ｍ戦でペースバランス60.8-59.9とややスローぐらいの流れ、11.5 - 12.2 - 12.0 - 11.8 - 11.7 - 12.2とポテンシャル勝負の中で後方で進めていたのだが、3～4角でじわっと中目から進めつつも直線ではもう反応できずに下がってしまっているように、ある程度厳しいペースを追走して余力がなくなるとあまり良くないという感じはある。もちろんかなり昔のことだし、直近でそういうレースをしていないので変わってきていればやれるかもしれないが、近走の内容的に見てもステイヤー色が強いレースで結果を出しているし、2000でも前半ゆったり進めて脚を出し切って良さが出ているのも確か。福島2000で高速状態の中、58秒台の決着になるような競馬になると基礎スピード面の不安は否めない。今回は人気の中心になりそうなのだが、個人的には適性的に明確に不安があるうえに、2400以上のパフォーマンスで比較してもここに入って中心的存在かと言われるとそうは思わないかなと。もちろんハンデ戦で55kgということも考える必要はあるが、妙味はないかなと。ミルコと福島の相性は高速状態だと微妙な気もする。スパイラルの福島だと向こう正面で仕掛けると内から抵抗されやすいしそうなると内にスペースができてそこを突く馬が結果を出しやすい舞台。昔のように明らかに外差しが決まるような福島ならともかく、今はコーナーでスペースをいかに確保しつつロスなく進めて外からの押上げを待つかというコースに変わっているので。その点も含めて、主導権を握れずに外から押し上げていく形になるのも不安だし、厳しいペースについていって脚を無くさないかも不安。内枠が欲しいし、ハッキリ重馬場がこなせるかはわからないが少し渋って流れに淀みがあった方が良いだろう。目黒記念のような感じより少し後ろぐらいで上手く嵌ればとは思うが、信頼はできないかな。
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