今週ほぼ同じ質問を2名の方から頂いたので、この場を借りて返答しつつ考えてみようと思います。
その質問っていうのがタイトルの件。
「アイビスSDはなぜ外枠有利なのか?」
直線コースだから当たり前だろ!
って思われるかもしれないんですが、現在のアイビスサマーダッシュは基本的に2006年以降は開幕週に行われています(※2012年を除く)。つまり内外の馬場差がさほどない状態なわけですね。にも関わらず外枠が有利になっている(平均して毎年2頭は2ケタ馬番が絡んでいる)のはなぜか、という疑問です。
改めて聞かれるといろいろ考えてしまうわけですが、たぶんいくつか理由があります。
1つは、まずそもそも直線の外枠有利っていうのが馬場差の問題だけではないということ。例えば、ラチを頼って走れるっていうことも大きいわけです。だったら内側にもラチがあるじゃないかってことになるんですが、内のラチはコースとの合流部で1回なくなります。
またこれに付随した2つめは、そもそも馬は隣や周囲に馬がいた方が走る気が起きる生き物だということです(群れの中で走る)。つまり皆が基本的には外ラチを目指して行くわけですから(顕著なのが2004年のカルストンライトオ)、内ラチを目指したところで1頭になってしまうとやっぱり辛いですね。
と、ここまで2つはごくごく普通の答えで、たぶん大半の方が想像もついたと思うんですが、もうひとつ大事な3つ目があります。
それは……
開幕週だから馬場差がないって本当ですか?
っていうかそもそも開幕週ってなんですか?
ということです。
開催が空いたからといって馬場は100%回復するわけではないですから、厳密に言えばやっぱり馬場状態は内と外でどちらが悪いかと言えば、基本的には常に内が悪いわけです。1年ぶりの開催…とか、馬場改修後…でもなければ。新潟は毎年春開催がありますから、開幕週=馬場差がないってのはそもそもちょっと怪しいですね。
しかしもっと大事なことがもうひとつ、ここがたぶん一番の要点なのですが、「開幕週と言ってもアイビスサマーダッシュは日曜日の11レース」ということです。
少し細かい話をします。
例えば昨年もアイビスSDは開幕週でしたが、土曜日から数えるとなんと芝で行われる14度目のレースになります。つまり開幕週という大きな括りでその通りですが、その中身は、
『開幕週2日目の14度目の芝レース』ということです。
そして今年の日程も同様に、開幕週の2日目、土曜日から数えて14度目の芝レースになります。
これが例えば毎年内枠有利になることで有名な年明け京都開幕週の京都金杯だと、芝レースが少ない冬場&初日ということで、今年で言えば、
『開幕週初日の4度目の芝レース』となります。
ちなみに、年明け京都芝における14度目のレースは4日目でした。
つまり、ひと括りに開幕週の芝レースと言っても、上記を例にすれば4度目と14度目…という違いがあるわけです。
僕はよく競馬ノートや当ブログの中で、「データは平気で嘘をつく」「数字は参考にはなるが絶対ではない」とお伝えしています。今回の例で言えば、
「アイビスサマーダッシュは開幕週だから馬場状態が良いですよ~」 っていうこともひとつの真実ですし、
同様に、
「アイビスサマーダッシュは開幕週ですがそれまでに13回も使用されて芝が消耗してますよ~」 っていうこともまた真実なのです。
これらはどちらも真実を語っていますが、伝わってくるニュアンスとしてはほぼ180度異なります。
言葉や数字っていうのは難しいですね^^; 今回はこれ以上掘り下げるとラチが空かなくなってしまうので、ひとまずここら辺で。
なお、ここまで書いておいてアレですが、今年のアイビスサマーダッシュも外枠勢が有利になるかどうかはわかりません。それが競馬というものです。
また、ラチが空かない…ではなく、馬が殺到して「ラチ沿いが空かない」ケースもあるのが直線コース。まさに馬場も展開も生き物ということで、理論だけでなく想像力も豊かにして、良い結論を出せたら良いですね。
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