●チャンピオンズカップの出走予定馬展望：ナムラビクター
2015 12/6(日)
第16回 チャンピオンズカップ(GI) 中京ダ1800ｍ
出走予定馬一覧
【チャンピオンズカップ2015出走予定馬の中から注目馬は？】
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昨年のチャンピオンズカップでは先行策からしっかりとホッコータルマエに喰らいついての２着、GIで結果を残したナムラビクターが今年はそれ以上の結果を求めてここに参戦。今年はタルマエ、リッキー以外にも強敵が多いが抜群の安定感、そして嵌った時の末脚はトップクラスの実力馬。中京1800ｍ戦で昨年同様にしっかりとレースの流れに乗ってGIタイトルを手中に収めることができるかに注目だ。
相変わらず抜群の安定感を見せているが、同時にやはりトップクラスの競馬になると甘さを見せているというのはある。それと秋山に戻るのは悪くはないと思うが、やっぱりこの馬は小牧太で見たかったかなあ…。適性的には昨年同様ペースが落ち着いた方がいい。
昨年のチャンピオンズカップは中京ダ1800ｍの良馬場、ペースバランスは50.4-48.7とGIとしてはかなり緩いスローペースになった。12.9 - 11.9 - 12.2 - 12.4 - 11.7 - 12.4と緩い流れから仕掛けのタイミングとしても遅くコーナーの段階で上がりそうでペースも上がらずで２Ｆ戦と言って良いだろうやや出負けしたが内枠で上手くスペースが空いたこともあって好位列から進めていく。道中も好位列で前のタルマエについていく形で理想的な展開で３角。３～４角でもタルマエの直後で２列目の内目を立ち回り、直線で外に持ち出す。序盤でタルマエが出し抜きローマンが喰らいつくところをジリジリと伸びてくる。そのままＬ１までジリッと差を詰めての２着確保だった。タルマエの総合力勝負では流石に苦しんだがそれでもＬ１まで差を詰めてきたのは評価したい。後半のトップスピードの質は高いレベルのモノを見せていた。好走要因としてはその後半の要素、トップスピード面を引き出せるほどに前半の50.4という緩さが大きかったとみるのが無難なところだろう。
もともと1800ｍ戦では基礎スピード面でちょっと足りない馬で阪神2000巧者だった。実際同じ中京1800ｍ戦となった東海Ｓでは大きく崩れている。このレースはペースバランスが48.9-49.7とややハイペースをコパノリッキーが刻んで雪辱するレースとなった。チャンピオンズカップとは真逆のハイペースとなったことでこの馬としては前半から先行するという積極的な競馬に持ち込んだものの、３角で２列目ポケットから追い出し４角で鞭が入っても反応できず、コパノリッキーに一気に突き放されて最後は失速した。このように基礎スピードの幅の範囲を超えてしまうとどうしても後半の良さを削がれてしまう傾向が強かった。1800ではスピード勝負で苦しくなるという点で見てもダート戦では長距離的要素が強い馬であると。チャンピオンズカップの好走はやはりそこがある程度大きな要因だったかなと。
今年はそれでも無理をしなければ安定してきているのは良い材料。アンタレスＳでは阪神ダ1800ｍ戦でペースバランスは48.1-49.5と１秒以上と結構なハイペース。12.0 - 12.1 - 12.1 - 12.3 - 13.0と消耗戦の流れの中でクリノスターオーやアジアエクスプレスがスピードで押し切る基礎スピード戦となった。その中でやや出負けしたが無理せずに中団ぐらいで進める。前が結構飛ばす中で中団で脚を使わずにしっかりと溜めて進めていく。３～４角でも最内をロスなく立ち回って直線を向くと、そこからは馬群を割ってじわっと伸びてくる。そのままＬ１まで差を詰めてはいたが届かずの３着までだった。この展開でも後ろから無理をしなければ後半にしっかりとポテンシャル面を引き出せたとはいえる。ただ、それでもスローからのポテンシャル特化戦に比べると決定的なバテ差しとは言えなかったし、スピードで押し切ったクリノスターオーと比較しても３～４角で完璧にロスなく立ち回ってこれだとやはり少し見劣る内容ではあった。
前走のシリウスＳはミルコの出負け癖がもろに響く形にはなったがインパクトとしては大きかった。阪神ダ2000ｍ戦で稍重、芝スタートでペースバランスは62.3-62.3と平均でも13.6 - 13.3 - 12.6 - 12.1 - 12.1 - 12.4 - 13.1と中弛みからのロンスパ戦でＬ３最速、阪神2000らしいポテンシャル特化戦とみて良い。大きく出遅れて５馬身ぐらいは確実に後ろからのスタート。そこからも取り付かずに中弛みでも取り付ききれず後方で３角。３角の段階では前もペースを引き上げている中で内目を通しつつ４角でもまだ後方で直線。序盤でアウォーディーが勝負を決めて突き抜けた後に中団に取り付いてＬ１でしっかりと伸びてはきたがダノンリバティとの差は詰められずの３着までだった。ここまで出遅れてしまうと苦しいがせめて緩んだところで積極的に動いてほしかったし、あの位置から前に主導権を取られてしまうと流石に36.7と速い上りを使ったとしても苦しかった。まあ上手く内を通しながらアウォーディーに見劣るパフォーマンスは出遅れを考えてもちょっと物足りないが、それでもちゃんと出ていたら流石にここまで差を付けられることはなかったし、追走も無理をせずとももうちょっといい位置を確保できたはずなのでその点で後半の良さを削ぐことになったともいえる。
この馬はトップスピード戦でもポテンシャル戦でもスローなら強い馬だが、本当にいい脚は一瞬しかないというタイプでＴＳ持続力は意外と甘い。昨年のアンタレスＳ勝ちとかでも４角で抜群の手応えから直線で抜け出してＬ１甘くなったり、昨年のシリウスＳも同様でクリノが動けない中馬なりで上がってきた４角での手応えほどにＬ１は粘り込めないことが多い。バランスや仕掛けの難しい馬なんだがトップスピードの質を持ちつつもポテンシャル戦に強い、しかし基礎スピードで無理が利かない、スローだと昨年みたいに前目にいないと取り付くところで脚を使ってしまう。安定させるなら序盤無理しなければハイペースでもある程度対応できるが、勝ち切るとなるとめちゃくちゃ乗り難しい馬だろうなとは思う。展開と自身の武器が上手く噛み合わないとというところだろう。ただ決定的に武器といえるのはトップスピードの質であり、やはり理想は昨年のようにスローで11秒台のラップを上り坂の地点で要求されるぐらいの直線勝負にはなってくると思う。ポテンシャル戦でもやれるのでロンスパでも良いだろうが昨年タルマエ相手に最後まで伸びて来ていたようにトップスピード戦の方が高いパフォーマンスなのは間違いないところ。勝ちを意識するならスローであることを決め打って昨年同様ポジションを取るしかない。逆に東海ＳやアンタレスＳの様にスピードタイプがペースを作ってしまうと脚を溜めるとＬ１まで詰め切るまでには苦労するし、前に行くとオーバーペースになるリスクが出てくる。この辺りを判断するのが馬券的には重要になるだろう。序盤無理をしなければハイでも対応してくるのは今年のアンタレスＳで証明できているが、このクラスでとなると３着までに入り込めるかは正直アジアやクリノスターオーといったレベルを考えると楽ではあるまい。リスクを取ってスロー前提で前目を狙うしかというところだ。タルマエが後半の総合力戦では強敵ではあるし、昨年はポジション取りでも恵まれた感はある。1800でこの相手だと個人的には昨年以上を望むのは難しいかなとみている。
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