それでは、月曜恒例の重賞回顧を始めるよ。まずは、土曜のステイヤーズSからいこう。
アルバートは、最後の直線で他馬に並ぶ間もなくアッサリ抜け出すんだから、“強い”のひと言だね。道中も中団でジッとできていたように、折り合い面の不安がまったくないうえに、乗り役のゴーサインに素早く反応できるのはいいところ。すごく乗りやすそうな馬だし、どんな競馬もできるのは大きな強みだよ。4歳馬だけにこれからまだまだ力を付けてくるはずで、来年が本当に楽しみだよ。
カムフィーも中団でジッとできていたし、2周目の4コーナー手前まで死んだフリ。インを通ってロスを抑えつつ、終いに脚を残す最高の競馬ができていたんだけど、勝った馬にあの脚を使われたらどうしようもない。今回はいかんせん相手が強過ぎたね。今年のダイヤモンドSでも3着に来ているぐらいだから、長丁場は合っている。自分の競馬に徹して力は出し切れただけに、納得の2着じゃないかな。
トゥインクルは、アルバートとカムフィーを見ながらジッとしていたんだけど、位置取りがちょっと後ろ過ぎた感じだね。それに、2周目の3~4コーナーでかなり外を回るロスも響いている。アルバートは別格の強さだったから、どう乗っても敵わなかったにせよ、カムフィーとコース取りが逆なら2着はあったでしょう。格上挑戦の身で3着なら上等とはいえ、いかんせん終い一手の極端な脚質だからなぁ。どうしても今回のように外を回るロスは出やすくなるし、展開の助けも必要になるから、自己条件(準オープン)に戻っても楽観はできないよね。
マイネルメダリストは、道中はアルバートと同じように中団でジッとしていたんだけど、2周目の3コーナー手前からの仕掛け。早めに動いたぶん、最後は甘くなったにせよ、力のある馬なら我慢できていたはずだからね。今回のところは完全に力負けでしょう。まぁ、最近の成績からすれば良く走っている方だし、今回の競馬がいいキッカケになれば…といったところじゃないかな。
ネオブラックダイヤは、道中はかなり行きたがっていたし、秋山が折り合いをつけるのにひと苦労。長丁場でスタートから出ムチを入れて行けば、馬が怒るのも当然だろう(苦笑)。いくら馬にトボけ癖があるにせよ、いくらでも他の乗り方はあると思うんだけど…。まぁ、普通ならバタバタになっておかしくない競馬。しかも、3600mの超長丁場でも5着に粘るんだから大したもので、今はよっぽど状態が良さそう。スンナリと流れに乗って力を出し切れれば、どこかで穴をあけるかもしれないし、忘れずに覚えておいた方がいいだろうね。
メイショウカドマツは、1周目の向正面で他馬に寄られたところで、馬が怒ってしまった。そこからは外へ持ち出して1頭になったぶん、落ち着きを取り戻したんだけど、さすがに最後は苦しくなってしまったね。2着馬からそう離されたわけではないし、この馬もスンナリ流れに乗れれば変わりそう。巻き返しのチャンスはいくらでもあるから、まだ見限らない方がいいと思うよ。
ファタモルガーナは、中団からの競馬になったんだけど、内へ潜り込めるところがなくて、終始外々を回らされたのが痛かったね。3600mなのに、4000mぐらい走らされたんじゃないかな(苦笑)。まぁ、休み明けでキツい競馬をしたことは次につながるはずで、この馬も今回だけで見限るのはまだ早いでしょう。
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