2016年1月31日日曜日

根岸ステークス 2016 レース回顧・結果:モーニンが1400で楽に追走、直線スッと抜け出し完勝!

マスターズ:きさらぎ賞490_160


2016 根岸ステークス(GIII) ダ1400m稍
レース回顧・結果

1:22.0 12.4 - 10.9 - 11.3 - 11.8 - 11.9 - 11.5 - 12.2
34.6-35.6H


 23秒決着の想定よりも1秒速いが前半のペースは想定通り。ということは当然だが後半が想定より速いということになる。ハイ気味の想定では34.5-12-36.5なので後半4Fで1秒以上速いというのは純粋に驚かされた。多少は軽いダートかなと未勝利25秒台の時に感じたけど、思った以上に軽かったかもしれない。高速ダートで質の高い基礎スピードをより要求された感覚かな。まあいずれにせよモーニンは想像を超えてきたし、タールタンが2着まで来たのも納得という感じの馬場ではあった。


 1着モーニンは15番枠からやはり出負けするんだが、ダートスタートでしっかりとリカバーして2列目の外を取りに来る。3~4角で先頭列のタガノトネールを目標にしながら並びかけて直線。序盤で楽な手ごたえで先頭列に並びかけタガノをL2でねじ伏せる。L1でそのまま抜け出しタールタンの強襲も問題なく封じ切って押し切った。驚いたのは、想像以上に軽いダートの中で質の高い基礎スピード面をダートスタートで見せてきたということ。そして後半をこのラップでまとめてきた、特にL2で抜け出したように余力があった中でのトップスピードの質が高かったというのも一つの材料とみるべきかなと。タガノトネールがこの段階で捕えられたとするならやはりペースを上げきれなかったところにあると思っているし、この馬場でこのペースで楽についていき後半のトップスピード面を見せてきたと考えれば、思った以上に高速ダートの適性が高かったのかなという感じ。個人的には2つの点でイメージと逆で、一つはこのダートスタートでリカバーして脚を使わされなかったというところ…そしてもう一つは結果的に高速ダートだったんだがその中でペースがそこまで上がり切っていない中で総合力を高めてきたところ。+10kgで追切過程からも成長しているのかなあという感覚もあったが。基礎スピードの幅で勝ち切ってきた馬が、そこまでハイではない中で後半要素でタガノを楽に捻じ伏せる競馬ができたわけだからね。まあただタガノが思った以上にダメだったという説明でも問題はないと言えば問題はない。武蔵野Sから問われる適性が替わったとはいえグレープブランデーに逆転されていることを考えても、モーニンとグレープとの着差の比較で考えてもここは順当と言えば順当だった。モーニンも強くなっていると思うがタガノがパフォーマンスを落とした理由を考える方がいいかもしれない。高速ダートが得意とはいえタールタンにL1で詰められている点から考えても、判断がちょっと難しいところではあるかなあ。まあこの条件では一枚上だったことは間違いないし、武蔵野S組+高速ダート適性を持ったタールタンという組み合わせではあったしね。やっぱり武蔵野S組はハイレベルだったとみていいと思う。


 2着タールタンは8番枠からまずまずのスタート、無理なく下げて好位にという競馬になる。道中は少し離れた好位の一つ外で3角。3~4角でも2頭分外から直線でモーニンの直後を取る。最序盤での反応はイマイチでタガノトネールにも少し出し抜かれていたがL2で徐々に伸びてくるとL1ではしぶとく差を詰めてモーニンとの差も縮めてくるパフォーマンスで2着まで食い込んだ。まあやっぱり高速ダートになるとパフォーマンスを上げてきちゃう厄介な馬だよなあというところ。土曜の感じならここまで速い決着にはならんかなと思っていたんだけど、まあ近走の充実ぶりもあったのでここまでモーニンに対して際どく詰められたのかなと。アンズチャンもそれなりには来ていたので欅S組自体がまずまずのレベルではあったと思うが、それでも高速ダートでこのペースでも上がり切らない中好位からしっかりと最後まで伸びてくるという点では分があったと思う。22秒の決着に対応できる馬という点ではやっぱり高速馬場適性が非常に大きかったかな。


 3着グレープブランデーは2番枠から好発、そこから無理せずに今回は下げて2列目で我慢。 3角でも2列目の中目で我慢しながら直線でタガノの直後。序盤で手ごたえはあるが追い出されての反応はイマイチで2頭に出し抜かれる。それでもL2で徐々に盛り返すとL1でしっかりとタガノを捕えて3着を確保した。まあモーニンとの差ということを考えると武蔵野Sと変わらずの完敗、タガノに逆転できたのはペースが上がり切らなかった分後半の要素で捕えることができたのかなという感じ。それとやっぱりこの馬は断然ダートスタートの方がいいわ、今は。大井の1200でも対応できているぐらいだから短距離にシフトしてきている感じはあるし、パフォーマンスを上げてきたならモーニンともども東京1400が噛み合ったという説明でいいとも思うし、タールタンがいなければそれでもいいんだけど、このレースをどう解釈すればいいのかは正直悩ましいところ。タールタンが伸びあぐねた理由もわかるし、グレープブランデーやモーニンが単純にパフォーマンスを上げてきた可能性も十分にあるからなあ。とはいえ、近年はポテンシャル戦ではちょっと足りなくなっていて、逆に上がり切らずに総合力である程度対応してきて良さが出ている感じが強いし、この条件が噛み合った可能性は高いかな。


 4着タガノトネールは9番枠からまずまずのスタート、モーニンを前に出させずにしっかりと番手を取り切る理想的な展開に持ち込む。3~4角でも番手で仕掛けを待ちながら直線。 最序盤で追い出して楽に反応して先頭に立つがモーニンが武蔵野S以上に楽に切れる。L2で先頭を譲るとそのままL1までジリジリと下がってしまっての4着完敗だった。まあ休み明けという言い訳もできなくはないけど、スッと反応できていたしペースバランスからでも敗因としては説明はつくのが厄介なところ。武蔵野Sは2.5秒のハイペースからの一足、しかし今回は1秒程度になってしまっていて、想像以上に軽いダートの中でこのペースでは後続の脚を使わせきることができなかったという感じで見ている。まあ正直前半の34.6は23秒決着の想定なら理想的な配分だったと思うし、これで田辺は責められん。高いレベルでの基礎スピードの幅を考えるとリスク覚悟で34秒前半ぐらいを刻んでいく必要がある馬場だったかなと思う。もちろんこれは結果論で、という話。ここまで時計が出てしまうとこのペースでは上がり切っておらずL2最速11.5と速いラップを要求されて反応はできたけど最速地点であっさり前に出られたし、ここまで後半余力があると後続も強い。34.6という字面で見ると早そうに見えるけど、バランスで見ればやはり基礎スピードの幅を活かし切れない展開・馬場になってしまった感覚かな。まあもちろん休み明けが影響した可能性もあるけど、一つ言えるのは武蔵野Sからはパフォーマンスを落としているのは確かで、ペース的にそれが影響している可能性も高いということ。


 5着アンズチャンは6番枠から出負けして最後方に下がるがある程度は押しているという感じ。道中も質の高い基礎スピードが要求され、意図せずのポツンという感じで3角に入る。3~4角でもある程度縦長になっていて押し上げられないまま最後方で直線。序盤でそのまま大外から鋭く伸びてL2では中団を視野、L1までしっかりと脚を維持してきたがタガノを捕えるレベルまでではなく5着完敗だった。まあこの馬場なので前半無理をしなければトップスピードの質、持続力は最上位にはなるんだけど、4角出口であの位置だと物理的に届かない。上りが34.4なわけでね。ただそれも含めてこの馬の実力で、やはりゲートがあれで押してもあれだけしか行かないとなるとこのクラスでのポジショニングは絶望的になる。力そのものは認める部分もあるけど、結局噛み合わないと決め手だけでは届かないわけで、今回もコーナーで緩んで団子気味とかならともかく、前が大きく緩めずに34.6-35.6でまとめちゃうようなレースでは34.4を出したって届かん。結局はそこに尽きるかな。まあ展開次第では噛み合って勝ち切る武器を持っている馬だから厄介ではあるんだけどね。ここはメンバーが揃っていたし、稍重ならやっぱりタールタンの方がパフォーマンスを上げてくるから、ここは狙いにくかった。


 6着プロトコルは11番枠から出負けして後方、そこからリカバーしながら中団には取り付ける。そのまま3~4角でも中目から追い出して直線に入ってくる。序盤での決め手がイマイチでジリジリ、しかし手応え以上にL1までしぶとくというのは変わらず踏ん張っての6着だった。まあ結論から言えば出負けが響いたのと馬場が軽すぎた。この馬は対モーニンで考えるとやはりL1でのバテで差を詰めてきたわけだし、ここまで高速決着、しかもハイペースと言っても1秒程度でまとめられるような馬場の中で出負けしてという感じだと、この馬自身もばててはないんだけどアンズチャンの切れにも屈してしまったかなという感じ。軽いスピード不足だけじゃなくやっぱり出負けが響いたのは確かだろうね。ただ仮に五分に出ていたとしてもこの展開でとなると自ら突いてでもいない限りは多分要所で置かれる形だったかな。離れた中団だったからこそ3~4角では動く意識が持てたしそれでも要所で置かれていたぐらいだからなあ。器用さが足りないのがネックだけど、素材としての魅力はあるので上手く磨いてこれれば…。


 14着サクラエールは出負けして最後方からの競馬になる。そこから押して追走しながらもそれでも後方集団の外まで取り付くまで。3~4角でも後方列の馬群の中で進めながら直線。序盤で追い出されるが反応イマイチで伸び切れない。そのままL2の上り坂でも詰める気配無く最後は流すような感じで14着惨敗だった。まあ出負けしちゃうとこれだけのスピード勝負では厳しかったし、しかもそれでいてL2でも加速しないといけないような競馬で前半の総合力不足が露呈した形かなと。ダートスタートより芝スタートで勢いに乗せちゃう感じの方がいいかなあという感じはあったけど、ここまで出負けしちゃうとなあ。ペースがもっと全体的にはっきりと上がって減速戦の中で突っ込んでこないと厳しい気がするね。今回は馬場も軽かったし出負けした段階で勝負にならなかった。



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