レースは前々での競馬は確実と思われたシングンヴィグラスが後手を踏み、ハナへ行くと思われたラクテも反応が悪く、結局好発を決めたクラトイトイトイを交わしてノーフォロワーがハナ、ハナを譲ったクラトイトイトイが2番手のイン、今回は五分のスタートを決めたムサシトレジャーがノーフォロワーから半馬身差の外3番手からの競馬、入りの3ハは35秒フラットと馬場状態こそ違うが今年のTRよりコンマ1秒早く、ルックスザットキルが逃げ切った昨年の優駿SPよりコンマ3秒遅いモノ。
3角手前で2番手のクラトイトイトイの早くも脚色が怪しくなるとそれに代わって外からヴェルミオンが押し上げ、ノーフォロワー・ムサシトレジャー・ヴェルミオンの3頭が横一列になり直線へと向かう、この3頭の追い比べで真っ先に脱落したヴェルミオンに代わって1番人気のラクテが進出し残り100を過ぎたトコで先頭に立つと外から脚を伸ばして来たエイシンヒートがゴール前でラクテを交わしてゴールした。
勝ったエイシンヒートはゲートは五分に出たがステッキを入れても反応が鈍く先行グループからはやや置かれ気味で馬群のちょうど中団からの追走、3角手前で徐々にポジションを上げ、4角で右ムチをいれると外へと大きく張ってしまうが、前がガラ空きで結果オーライの形、直線でジワジワと伸びると先に抜け出したラクテを差し切り重賞初制覇。
今回のような水が浮く極悪馬場にも関わらず馬群の中で競馬した事から判るように馬込みを厭わずに競馬が出来るのがエイシンヒートの強みで、今回を含めた近4走すべて2着とのタイム差が無い事から相手なりに走るタイプなのは認めるが、突出したスピードがあるとは思えないだけに今後の活躍は関しては正直疑問が残る。
2着のラクテはプラス16Kでの出走、今回スムーズにハナへ行けなかったのは久々の1200に戸惑ったと云うより太目残りが影響したと考えるのが自然で、それでも前を行く3頭の直後の4~5番手のポジションにつけると、3角過ぎからヤネが追い通しで何とか直線で先団グループに取り付くと、残り100で追い比べから抜け出して先頭に立ったがゴール寸前にエイシンヒートに交わされてしまいクビ差の2着惜敗。
ベストの状態でない事から今回自分の競馬が出来なかったが、地力の高さで見せ場を作り連対した事に加え、結果的に怪我の功名となり控える競馬が出来た事は今後に向けて好材料。
3着のビッグジャイアントは過去に大井1200でムサシトレジャーの3着があると云えどもデビュー2戦目の話で、その後は1200の距離を使わず1500~1700の距離を使っていたのだから12番人気の低評価も納得で、今回はスタートは良かったが、やはり久々の1200の流れに対応出来ず徐々に後退した事でヤネがハラを括ったのか末脚勝負に賭けた事が奏功、直線では大外を通ってジワジワと加速するとゴール寸前でエンジンが全開となり前を行く面々を次々と抜き去り、1着・2着馬には及ばなかったが3着に食い込む事に成功した。
ただ、今年の優駿SPは戦前に指摘したようにズバ抜けたスピード馬が不在に加え、今回能力上位のラクテが太目残りでの出走した事で重賞とは名ばかりの低レベルの争いとなったために評価は微妙。
4着のノーフォロワーはスタートしてから押してクラトイトイトイを交わしてハナを主張、3角過ぎにムサシトレジャー・ヴェルミオンに並び掛けられたが、4角のコーナーリングでこの2頭を振り切ると半馬身ほどリードを広げて直線で入り、渋太く粘って中々先頭を譲らなかったが、残り100で力尽きてしまうと後続の面々に次々と交わされて4着に沈む。
確かに最後タレたと云えども果敢にハナを主張して逃げ粘る見せ場充分の内容だったが、南関転入後は差す競馬では突き抜けず、今回のように逃げても最後まで頑張れない未勝利の馬でパンチ不足の印象は否めず、今回の着順を鵜呑みには出来ない。
5着のムサシトレジャーはゲートをポンと出るとこれまでの戦法と一転して2~3番手につけ先行する積極策の競馬を試みたが、今回は前々で競馬をした分だけいつものように直線で弾ける脚が使えず、先頭を行くノーフォロワーを交わす事が出来ないままゴール前で他馬の強襲を受けて掲示板の端に載っただけ、これまでのように差す競馬をしようが、今回のように先行しようが結局は詰めが甘くて勝ち切れない印象。
軸にしたキーパンチャーは同枠のビッグジャイアントと同様にスタート自体は良かったのだが、久々の1200の流れに対応出来ず徐々に後退するとその後はインコースへ潜り込むなどチグハグな競馬でレースの流れに乗れず、直線でジリジリと伸びただけの6着に終わる。
せっかく、スタートが良かったのだから多少の距離ロスがあっても外に進路を取って直線勝負に賭ければ勝ち負けは無理でも掲示板はあったかも知れない。
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