続いて、日本ダービーを振り返ろうか。
■ワグネリアン【祐一の積極策が印象的だった】
祐一(福永祐一騎手)の思い切った騎乗が印象的だった。おそらく事前に相談していたんだろうけど、テンから積極的にポジションを取りに行って、道中は好位の外めをガッチリキープ。この馬にしては折り合えていたおかげで脚は十分溜まったし、直線も最後まで伸びを切らさず、先に抜け出していたエポカドーロを交わすことができた。いつもテンションの高さが気になるタイプなんだけど、腹をくくった先行策に馬が見事に応えてくれた形。とにかく、祐一がダービーを勝てて個人的にもとても嬉しいね。
■エポカドーロ【戸崎騎手の好騎乗で力出し切る】
こちらもワグネリアンと同じく、戸崎の積極策が光ったね。前半1000m60秒8というペースは、同日行われた青嵐賞(1000万下/芝2400m)より1秒以上遅い。走破時計は例年と比べて遜色ないとはいえ、馬場状態を考えると、実質的にはスロー寄りの前残り決着というジャッジが妥当だろう。道悪の皐月賞でも好位からしぶとい脚で押し切っているように、スパッと切れるタイプでもない。序盤のポジション取りが好走につながったといっていいと思うよ。
■コズミックフォース【状態は万全。能力の差を乗り方でカバー】
追い切り診断の際に「体やクビを十分使えているから、状態面は問題なし」と言ったように、この馬自身の状態はいたって順調だった。あとはGIのメンバーに交じってどうかと思ったんだけど、石橋が好スタートから上手く先行させて、道中も実にスムーズに流れに乗せたおかげで、120%の競馬ができたね。もともとの能力を考えれば、3着でも全然立派だと思うな。
■ダノンプレミアム【厳しい競馬を経験していない弱み】
道中は好位インで多少かかり気味。それでも折り合いはなんとか付いていたんだけど、直線でインが空いたにも関わらずスペースに突っ込めなくて、モタモタしているうちに走る気をなくしてしまった感じ。敗因はおそらく距離よりも、これまでに厳しい競馬を経験してこなかったことだろう。内を諦めて外に切り替えようとした時も、コズミックに塞がれたところを強引に割るようなマネはできなかった。大舞台ではああいったタフな状況を自力で打開する力が求められることもある。これまでのレースでそういう経験をしなかったことが、人気を裏切った要因かもしれない。それでも、掲示板を外したとはいえ大負けはしていないわけだから、馬の力を疑う必要はないと思うよ。
■ブラストワンピース【直線で遅れた原因は重め残り】
スタートは出負け気味ながら池添が上手くリカバリーして先団をキープ。道中の雰囲気も悪くなかったんだけど、直線で進路を切り替える際に、前と離されたのが痛かった。あそこでスパッと反応できなかったのは、やはり重め残りが原因だろう。調教でも反応の悪さは目立っていたし、直行ローテの難しさを再認識させられる負け方だったね。ダノンと同じく、苦しい中でも最後までしぶとく粘ったわけだし、内容としてはそう悲観するものではないと思うな。
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