2015 5/3(日) 天皇賞春(GI) 京都芝3200ｍ
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女傑候補として期待されながらもなかなかつかみどころがないままGIタイトルには届いていないのがデニムアンドルビー。３歳牝馬三冠路線ではメイショウマンボに屈し甘さを露呈、しかしジャパンカップではジェンティルドンナに襲い掛かる２着と地力の高さを証明する競馬だった。そして内容的にも基礎スピードが足りず、距離延長で面白そうな一面を見せていた中で、前走の阪神大賞典でゴールドシップに唯一くらいつくポテンシャルを見せての２着。ＪＣの内容、阪神大賞典の内容からも、条件が嵌れば京都3200は意外と面白い条件となるかもしれない。
この馬は内田時代から基礎スピード面で物足りない馬ではあったと思う。ローズＳではついていくのに必死でずっと追い通していたら重馬場でタフな状況下でもありＬ１で各馬が失速したところで一気に突き抜けた。逆に秋華賞では軽い馬場で平均ペースから12.3 - 11.9 - 11.8 - 11.8 - 11.9と後半４Ｆ戦で外から勝負に行ってジリジリ、バテはしないが伸び切れず、Ｌ１でちょっと甘くなってスマートレイアーらに差された形。高速馬場で基礎スピードが一定レベル問われると甘いなという感じだった。エリ女に関しては重馬場でも実質２Ｆ戦でＬ１最速という競馬でどうこうというレベルではなかったが、それでも意外とＬ１は伸びてきていて、順を踏めばトップスピードはそれなりに持っているのかなという感じ。それでもＪＣでどうこうとは全く思っていなかった。
そしてＪＣの２着である。このレースは走破時計が異常に遅く、その原因が62.4-58.1と４秒以上の鬼スローである。しかしその分12.8 - 12.4 - 11.6 - 11.1 - 11.1 - 11.9と仕掛けが早く、３角の下りから４角で既に11.6と加速していて更にもう１ＦのＬ３で実質最速、ＴＳ持続特化戦になったといえる。この流れでゴールドシップの動き出しを丁度その内で待ちながら３角で外から張っていく形をとる。４角でゴールドシップを置き去りにして中団で直線を向くと、そこから直線での伸びはジリジリ、キレる感じはなかった。しかしＬ１で中団からＬ１猛然と追い込んできてジェンティルドンナを呑み込むかという脚を見せたが捕えきれなかった。まあレースの時計としては500万下に見劣るぐらいなので基礎スピードが問われないＴＳ持続特化戦とみて良いのだが、その点で見てもジェンティルドンナに脅威を与えるレベルだったのは間違いない。この一戦からも、この馬は序盤のスピードが問われないステイヤー色が強い馬だなあとは思っていた。
さて、昨年は結果が出ていないのでさっと振り返ることにする。ドバイは逃げて終了、ヴィクトリアマイルは基礎スピード足りずポジション差が痛かった。宝塚記念ではスローロンスパの形で２列目ポケットで立ち回って進めたが直線序盤で反応できず、Ｌ１でジリジリと盛り返すが伸びずばてずの内容だった。序盤に脚を使ったかなという感じでもあったし、ペースはスローだったがポテンシャル戦になったのも影響があったかなと。天皇賞秋は60.7-59.0とスローから12.1 - 12.3 - 11.4 - 11.3 - 11.9というラップ推移で比較的ＴＳ持続力が問われた展開だが、直線序盤でギアチェンジが要求される形の中で中団馬群の中で窮屈、下げて外に出してからＬ１ジリッと伸びてきたという感じだった。ＪＣはエピファネイアが平均ペースでぶっちぎっていたように、基礎スピード面が要求され追走に脚を使わされて末脚を削がれた形だろう。不利も若干あったようだが、追い出しのタイミングがちょっと遅れたかなというぐらいで直線の伸びに関してはそんなに影響はなかった。有馬はドスローからの12.3 - 12.4 - 11.5 - 11.2 - 11.9というトップスピード勝負。Ｌ１それなりには落ちているが、中団馬群で前を向けずに下げながら直線序盤でも最後方列で進路に汲々、Ｌ１では伸びてきていただけに道中馬群の中で動けなかったことが敗因でさほど悲観的材料ではない。
そのうえで前走の阪神大賞典である。これまでの内容的にも序盤脚を使わされない展開なら終い確実に引き出せていた馬なので、距離延長は良い材料になる可能性が高いとみていたが、ここでポテンシャルを発揮した。案の定13秒台が続くような流れでバランスで見ると60.4-64.0-60.5と前後半は平均も中弛みの競馬だ。この中でやや後方で進めながら12.6 - 12.2 - 12.4 - 12.0 - 11.7 - 12.2のラップ推移で徐々に加速していくポテンシャル勝負で３～４角シップを目標に押し上げながら４角最速地点ではシップに脅威を与えるレベルで食らいつく。しかしＬ１ではちょっと甘くなってシップの底力にポテンシャル面で見劣ったという形。まあ宝塚記念からもポテンシャル勝負では正直底を打っていた馬だとは思っていたので、このレースでは単純に長距離適性がどうかなとみていたが、前半速く中盤息が入る流れにしっかりと対応して要所で動けた。これなら全く問題ないだろう。
今回は京都芝3200ｍに替わるが、プラスに転じる材料はトップスピード持続力が問われる可能性が高いというところにある。この馬は基礎スピード的に足りないので後方からという競馬になっているのだが、この距離ならもう少し前で進められる可能性が高くなった。これは単純にプラス。そしてこの馬のベストバウトはジェンティルドンナを喰おうかというレベルだったＪＣでのＴＳ持続力にある。これに関してはあの時のシップが当てにはならないにせよ、シップ以上のレベルの可能性の方が高いだろう。その点で淀の外回り、中団からの馬ではトップスピードの質もある程度、それを長く持続する能力が問われる舞台は面白いと思う。これがキズナのような立場だったら厳しいだろうが、この馬の場合はノーマークとは言わないまでもレースの中心にいるわけではない。キズナやシップが出ればだが、この２頭の動き出しがレース全体のペースアップに大きく寄与するであろうことは明白。その流れを待ちながら内で立ち回りつつ、この馬のＴＳ持続力を活かしてＬ１でぶち込む。そういう競馬が嵌ればというところ。有馬記念でも要所での持って行き方が拙く、実質Ｌ１だけの競馬になってそれでも突っ込みかけていたことを考えると、この馬としてはトップスピードが問われた方が良いはず。そのうえで出し切れればというところだ。３～４角での立ち回りが重要で、インをできれば狙いたいが、コーナーでもペースが上がらなければスペースを取れない。外からキズナやシップといった目標の動きを意識しつつ、インもという両にらみから展開次第でベストなチョイスができるか、この辺りは浜中に期待したい。特に、トップスピード戦にはなった方が良いが、出し切りたい前提であり、今の超高速の淀だと単純に速さ負けする可能性もある。その点からも、コーナー最速の流れで勝つそこでインを立ち回って置かれないという条件が揃えば一発はありうるだろう。長距離適性を見せたい馬、ＴＳ持続力という明確な武器があるのは不気味だ。
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