では出走馬の評価をして行こう。
1枠1番キスミープリンス
2~3歳時は鎌倉記念を勝ちクラシックロードに乗りそれなりの結果を残したが、その後は脚元の不安もあって重賞勝ちどころか自己条件でも勝てない日々が続いたが、昨年の4月の川崎・卯月杯で鎌倉記念以来となる5勝目を挙げ、続いて挑戦した大井記念でサミットストーンの2着と好走し完全復活を感じるレース内容、しかし中央勢に強気で挑戦した帝王賞に8着に敗れてマイル路線へと方向転換、サンタアニタTは6着と着順こそ悪いが3着のジョーメテオとコンマ1秒差の着差ならば問題なく、続く川崎・スパーキングサマーCで期待をしたのだが、激戦の疲れが蓄積していたのか9着と惨敗を喫してその後休養に入る。
4回浦和・プリムローズ賞を叩いて臨んだ前走の距離1600の船橋・報知新聞皐月杯ではガラリ一変して7番人気の低評価を覆して快勝、確かに相手は軽かったとしてマイルへの適性を感じるレース内容から昨年のサンタアニタTの成績は伊達ではなく、相手が強化する今回も通用する可能性は高い。
2枠2番セイントメモリー
勝利と敗戦を一回置きに繰り返すなど以前より安定性に欠けるイメージが強いが、前々走のフジノウェーブ記念では11秒台のラップを楽な手応えで追走してゴール前で他馬を突き放した様にスピードは健在、勝利と敗戦を交互に繰り返しているのは左回り云々よりも南関勢相手の競馬では斤量を背負わされながら常にレースで能力を出し切るタイプで、その分だけ勝利した後の反動が大きい上、8歳と云う年齢から疲労回復に手間取る事を敗因と捉えるのが正解かも知れない。
斤量57.5を背負った昨年のサンタアニタTと斤量59を背負った昨年のマイルGPでは1分39秒台の時計で其々勝利している事から1600の距離に問題は無く、斤量57で南関勢相手に競馬が出来る今回は勝ち負けしても不思議ではない存在。
3枠3番インサイドザパーク
他力本願タイプで前が潰れる展開にならない厳しい馬だけに昨年の東京ダービー以降は勝利を挙げるどころか掲示板に載るのが精一杯の体たらくも、今年の報知グランプリCでは向う正面中程から徐々にポジションを上げて3~4角では6番手まで上がると云うこれまでと異なり自ら動いて勝ちに行く競馬をしながら、直線に入ると前が壁になったり他馬に接触して大きく躓く不利が影響して3着に敗れはしたが、それでも最後まで競馬を止めずゴール前でジワジワ伸びて3着を確保して復活をアピール、続く中央勢が相手のダイオライト記念ではさすがに相手が強く8着と惨敗したが、南関勢が相手だった前走の大井記念ならばと期待を寄せたのだが見せ場も作れず11着惨敗にはガッカリしたが本音。
それでも報知グランプリCのレース内容から見限れない印象で、今回の距離1600はやや短い印象があるが、現実に2歳時の距離1600Mの平和賞勝ちの実績や近走行きたがる場面が見られる事から距離短縮がプラスに作用する可能性があるだけに正直取捨に迷う1頭。
3枠4番グランディオーソ
母のメジロプレストは名馬メジロブライトの全妹と云う血統で、4歳の8月以降はサンタアニタT・マイルGP・浦和記念などの重賞2着を含めて11戦連続して連対と強い面子が相手でも互角に戦って来たのだが、浦和記念2着以降は名古屋GP4着・ブリリアントC5着、前走の大井記念では7着と自身デビュー以来初めて掲示板を外すなど急激に失速した印象が強いのは確かで、気難しいタイプだけに昨年末の名古屋への長距離輸送が影響して自身のリズムを崩し、それが近走の不完全燃焼の結果に繋がっている可能性があり、だとすれば肉体面のスランプより精神面のスランプは尾を引くケースが多いだけに少々に気になる。
4枠5番サンディエゴシチー
札幌2歳Sの勝ち馬で、3歳時は三冠レースに全て出走したが何れも着外と結果を残せず、その後は3歳11月に1勝しただけなのは早生タイプと云うより脚部不安で4歳で1戦しただけと順調にレースを使えなかった事が大きく、事実5歳で長期休養から復帰すると3着・2着・3着と連続してOP特別で好走しておりそれなりの能力が有るのは確かだが、現在は8歳になりその頃の能力を維持しているかは疑問だし、これまでダートの経験が1戦しかないのもマイナス材料で、しかも昨年12月以来の実戦と云う条件ではダートの強豪と渡り合えるとは思えず軽視する。
4枠6番トーセンアドミラル
地方転入後ブリンカーを着用してから一皮剥けて、不向きと思っていたマイルの距離に対応しスパーキングサマーC・マイルGP・京成盃GMのマイル重賞で3勝を挙げる事に成功するなど1700~2000Mで結果を残していた中央当時と異なり現在はマイルが自身ベストの印象で、現実に前走の川崎マイラーズは報知グランプリCで外傷を負い一息入りながら3着と好走しており、前走を叩いた上積みを考慮すれば前走より前進は可能、ただ決め手が無い馬だけに早目先頭の競馬が出来ないと勝ち負けするのは厳しく、果たして今回自分が望む形の競馬が出来るかが勝敗の分かれ目となるだろう。
5枠7番アイディンパワー
中央時代は準OPクラスの格下馬だったが南関転厩をきっかけに自身ベストのワンターンの短距離戦に特化して重賞の習志野きらっとSP3着・アスター5スター賞2着に加え中央勢相手の東京盃でも直線勝負に徹して2着のテスタマッタとはコンマ1秒差の5着、昨年のクラスターCでも勝ったサマリーズからコンマ5秒差の5着と健闘してるが、何れも自身ベストの短距離での話で距離1600になると評価は微妙で、確かに13年のマイルGPではトーセンアドミラルのコンマ4秒差5着の実績があるのは知っているが、9歳になった今のアイディンパワーにその当時の能力を求めるのは酷でここは静観が正解と思える。
5枠8番ジェネラルグラント
これまで重賞の京浜盃・ダービーGP・フジノウェーブ記念の3勝を挙げ、全日本2歳優駿と東京ダービーで2着した実績から高い能力を持っているのは間違いないが、体質面が弱い事から自身の持つ高い能力を活かし切れずにレースでは不完全燃焼の結果ばかりが目立つ。
体質が弱くレース間隔を空けた方がベターだが、前走のフジノウェーブ記念では不安を発症したのか直線でレースを止めて13着と惨敗とこれまでの休み明けとは少々異なる臨戦過程だけにここは見送りが妥当。
6枠9番ノットオーソリティ
道営ナンバーワン牝馬の鳴り物入りで2歳暮れに南関へ転厩しながら、出遅れや負傷で競走除外、レース中にDDSPを発症するなど期待を裏切り不完全燃焼の結果が続いていたが、ロジータ記念・シンデレラM・しらさぎ賞と重賞3連勝に成功、ようやく素質馬が起動に乗って来た印象があるのは事実だが、レベルの低いオンナ馬限定のレースで何れも先手を奪い主導権を握ってのレースだった事を考えると一概に本格化と判断するのは疑問、今回はオトコ馬から斤量2K貰いの競馬になるが、一線級のスピード馬が相手だけに自分のペースで競馬が出来ないと案外のケースがあっても不思議ではない。
6枠10番ソルテ
デビュー当時より50K近く馬体を増やした昨年のゴールドCではリアライズリンクスのアタマ差2着と好走、年明け初戦の2回川崎・多摩川OPでは直線で早目に先頭に立つとあとは後続を突き放すだけで2着のイーサンヘイローに5馬身差圧勝と馬体が増えただけではなく地力の強化を感じるレース内容、しかしフジノウェーブ記念では距離がベストのマイルより1F短い1400、外枠に極悪馬場での競馬になり、ヤネが前が忙しくなると踏んで後方からの競馬をチョイスする騎乗ミスが祟ってレースの流れに乗り損ない12着と惨敗したが、続く得意のマイル戦の隅田川OPで巻き返しに成功し、前走の川崎マイラーズでは2年4カ月振りとなる久々の重賞制覇に成功、今の勢いとマイル実績【7・3・1・4】から重賞連覇の願っても無いチャンスと思える。
7枠11番ポイントプラス
三代母のメジロパンテーラは中央OPのメジロファントムの半妹で同じく中央OPのメジロハイネの半姉にあたり、牝系を遡れば名馬メジロマックイーンと同じメジロの名繁殖のアサマユリに辿り着く良血馬で、2歳の平和賞8着のあと長期休養に入り出世が遅れたが、復帰後は下の条件を使いながら結果を残して、再び重賞に出走するまで力をつけた。
前走の川崎マイラーズではゲート内で横を向いたタイミングでゲートが開いて発馬が遅れた影響で終始レースの流れに乗り損ねて4着と敗れる、自分の競馬が出来ず掲示板ならば及第点の内容かも知れないが、当時の他馬との斤量差を考えると重賞で勝ち負けするにはワンパンチ足らない印象があるのは確か、自身A1ランクとなりセイントメモリー以外の他馬との斤量差が無くなっただけに、今回は改めてこの馬が重賞で通用するかの試金石の一戦と捉えるべき。
7枠12番サトノタイガー
中央OPでアタマ打ちのイメージがあったサトノタイガーだが南関に転厩しダートを使うようになり漸く本来この馬の素質が開花した印象。
しかも中央時代を含めて1200の経験がない馬が距離1200のアフター5スター賞で控える競馬をしながら見事に短距離のペースに対応、ゴール前でゴーディーを捕らえて1分10秒8の秀逸な時計を叩き出して勝利、続く東京盃は前走でせっかく控える競馬で結果を残しながら入りの3ハ33秒8のハイラップの逃げを打ち直線失速したが、JBCスプリントでは再び控える競馬を試みて見せ場を充分に作り2着、その後古巣の中央への遠征となったカペラSでは勝ったダノンレジェンドにはチギられたがゴール前で鋭く伸びて2着を確保とホームの南関だけではなくアウェイの競馬でもキッチリと結果を残している競馬センスの高さには脱帽、今回の距離の1600は中央時代は1600~2000の距離を使っており、南関転入後に川崎マイラーズを快勝しており問題はないが、昨年の激戦続きの疲労が出たのか、今年に入り根岸S13着、フェブラリーS16着、東京SP7着と惨敗が続き、レース間隔を空けた今回はどこまで状態を立て直す事が出来たかが鍵となる。
8枠13番インペリアルマーチ
中央の名牝キョウエイマーチの最後の仔で半兄に皐月賞2着など中央の重賞戦線で活躍したトライアンフマーチが居る良血馬だが、550K近い大型馬だけに中々仕上がらずデビューが3歳の1月と遅かったがスンナリと新馬勝ちを決めて、2戦目はいきなり重賞のきさらぎ賞に挑戦して4着したがその後は順調さを欠いてクラシックは全休、復帰後も芝では中々勝てず4歳1月よりダート路線へと方向転換した事が奏功して3連勝を達成し一気にOP入り、OP初戦のコーラルSでセイクリムズンの2着になるなど重賞を勝つ日は近いと思われたが、クラスの再編成で降級するなど重賞挑戦の機会の無いまま、12年10月から半年以上の休養に入り、復帰後は結果を残せず昨年の秋に南関へ移籍した。
南関転入後も中々結果を出せずにいたが、前走の5回浦和・けやき賞でケンブリッジナイス以下を一蹴し久々の勝利を挙げる事に成功、確かに中央では重賞勝ちは出来なかったがOP特別でセイクリムズン・ガンジス・マルカフリート・エーシンビートロンらとOP特別で小差の競馬をしている事からダートの能力は一級品、ダート1600の実績が無いのは気になるが、前走で距離1400と云えどもツーターンの競馬で結果を残したのはプラス材料で、前走の内容から復調は明白で、もう一花咲かせる事は可能な素質馬。
と書いたが左寛跛行のため競走除外
8枠14番バトードール
報知グランプリC快勝後に臨んだ大井・ブリリアントCは9着と惨敗したが、ゴール前で失速して3着と敗れた報知オールスターCのレース内容から距離1800までこの馬の守備範囲と思えば、距離の2000MブリリアントCの敗戦も納得出来るし、南関転入後は大井の右回りで結果が出ていない事を考えると現状は左回りがベターかも知れない。
中央勢が相手の前走のかしわ記念では自分の得意の末脚勝負に徹して6着と敗れたが、女傑サンビスタとは半馬身及ばなかっただけで、セイクリムズンには先着しており、この結果から距離1600に目途がついた印象、今回は南関勢が相手だけに突き抜けても不思議ではない。
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