2015年7月6日月曜日

インコースをソツなく回った岩田の好騎乗

ウリウリは後方寄りでジックリ構えて終い勝負。内々ピッタリを通ってロスなく運べていたし、何より良かったのが直線でのコース取り。最初は外へ出そうとしていたんだけど、ダンスディレクターが壁になった途端に、すぐに内へ切り替えていたからね。最後は接戦になっただけに、そこでの判断が少しでも遅れていたら、ダンスディレクターどころか3着のサドンストームにも交わされていたかもしれないよ。調教の動きからして体調も良かったとは思うけど、岩田の好騎乗あっての勝利と言えるんじゃないかな。今回はペースが上がって差し馬向きの流れになったのが良かったし、千二もこなせるとはいえ、本質的にはもっとユッタリ走れる千四あたりがベスト。今回は道悪で時計が掛かっていただけに、時計勝負に対応できるかどうかが課題になりそうだね。

ダンスディレクターは中団よりも後ろからになったんだけど、この馬とすれば折り合いはついていた方で、なおかつインコースを通ってロスなく運べていたんだけどね。道中はうまく立ち回れていただけに、直線で外へ出すのに手間取ったのが痛かったよ。ウリウリとコース取りが逆だったら、この馬が勝っていたかも。いずれにしても力負けではないと思うよ。ただ、折り合い面で難しいところのある馬で、いかんせん終い一手。前走(京王杯SC12着)も直線で前が詰まって、最後は脚を余してしまったから…。まぁ、勝負所で徐々に外へ出して自身の進路を確保していた(ラジオNIKKEI賞での)ルメールのように、その辺は乗り役の工夫次第で何とかなること。乗り方ひとつだと思うけどなぁ。

サドンストームは、上位2頭と同じような位置にいたんだけど、外枠だった分、直線で外へ出す羽目になったのが痛かったね。ただ、内を突いたら前が詰まってスムーズさを欠いていたかも。それに、スピード勝負では分が悪い馬だけに、この馬とすれば道悪で時計が掛かってくれたのもラッキー。ロスがあったにせよ、この馬の力は出し切れたと思うよ。

ベルルミエールは、スタートで出負けして中団からの競馬。それでも道中は折り合ってスムーズに流れに乗れていたし、直線でも抜け出せそうな脚色だったんだけど、ゴール前で止まってしまったね。もうワンテンポ仕掛けを我慢できれば良かったんだけど、勝ちに行く競馬をしていただけに、こればかりは仕方がないだろう。使える脚が短い分、重賞に入るとワンパンチ足りない感じだけど、この馬もスムーズな競馬で力を出し切れたんじゃないかな。

セイカプリコーンは、最後は素晴らしい脚で突っ込んで来たとはいえ、イチかバチかの終い勝負がハマった感じ。ダートを中心に使われていた馬だけに、道悪で時計が掛かってくれたのも良かったし、53キロの軽ハンデもかなり効いた感じだからね。この馬とすれば良く頑張っている方で、次も走れるかとなると何とも言えないよ。

ホウライアキコは、スタートは良かったんだけど、そこからの行きっぷりがイマイチ。調教でも嫌々ハミを取っている感じで、実戦でもグッと来るところがなかったなぁ。本当に良かった頃の前向きさが感じられないし、たとえ終い勝負に徹したとしても結果は変わらなかったんじゃないかな。

ベステゲシェンクは中団よりも後ろからの競馬。ただ、終いはサッパリ伸びなかったね。調教では全く感じなかったけど、骨折明けの影響がレースで出てしまったのかも。道悪だったから、余計に力が入らなかったのかもしれないね。

レッドオーヴァルは、後方のまま見せ場すら作れなかった。本質的に道悪は良くない馬だけど、いくら何でも走らなさ過ぎだね。調教の動きは良かっただけに、ちょっとよく分からないよ。


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