続いて、キーンランドCの振り返り。
ウキヨノカゼは、序盤は最後方でジッとしていたのに、3コーナーあたりから早めに動いていたね。4コーナーでは先団に取り付いていたように、一見ちょっと強引な競馬。でも、それほどペースは速くなかっただけに、あのまま悠長に構えていたら間に合わなかったはずで、的確にペース判断をして積極策に出たのが良かったんだろう。前回(函館・TVh杯)の強い勝ちっぷりから洋芝適性が高いにせよ、あの時も四位が乗っていたんだよね。1回乗っただけで馬を手の内に入れた、四位の好騎乗も大きかったんじゃないかな。それに、2~3歳時はマイルばかり使われていたとはいえ、硬い走りをするぶん、本質的には短いところ、千二ぐらいが一番合う感じ。今回は早めに動く形だったけど、ジックリ溜めて一箇所だけ脚を使う乗り方をすれば、切れ味を発揮できるんじゃないかな。終いを生かす競馬なら、相手が上がってもそこそこの競馬ができると思うし、あとは軽い野芝でどういった走りができるかが、カギになりそうだね。
トーホウアマポーラは、スタートは良かったんだけど、(福永)祐一はテンから行く気を見せずに後ろでジッと我慢。ウキヨノカゼが動いた時も2~3テンポ仕掛けを遅らせての終い勝負。ペース的にはキツい展開とはいえ、溜めが利いたぶんだけ、直線ではいい脚で伸びて来たね。最近はワンパンチ足りない競馬が続いていただけに、イチかバチかの乗り方がハマった感も否めないから…。その気になれば前に行く脚もあるけど、そうすれば今回のような脚は使えないはず。次も終い勝負に徹してどこまで…って感じで、よっぽど展開が向かないことには厳しいんじゃないかな。
ティーハーフは、中団でジッとしていたんだけど、4コーナーで窮屈な所に入ったのが痛かった。ペースがペースだけに、あのまま馬群の中で構えているわけにはいかないし、ちょっと強引に外へ持ち出す羽目になって、他馬にも迷惑を掛けてしまったからね。最後までしぶとく伸びていただけに、スムーズならもっと際どい勝負になっていたんじゃないかな。まぁ、前回(函館スプリントS)は終い勝負がハマった感じの1着。今回はある程度の位置からでもしっかり脚を使っていたあたり、3連勝の勢いは本物だったということだろう。力を付けているのは間違いなさそうで、全然悲観することはないと思うよ。
オメガヴェンデッタは、好位で流れに乗る自分の形に持ち込めていたし、思ったほどペースが上がらなかったのも好都合。ノリ(横山典騎手)が思い描いていた通りの、理想的な競馬ができたんじゃないかな。調教の動きからしてデキも良さそうで、この馬の力は出し切れたと思うよ。それでいて4着が精一杯となると、重賞に入るとワンパンチ足りないんだろう。まぁ、4歳馬でまだ若いだけに、良くなる余地を残しているはず。強い馬に揉まれていきながら、徐々に力を付けていくでしょう。
レッドオーヴァルは、中団でジッとしていたんだけど、3~4コーナーで包まれて動くに動けなかったのが痛かった。同じような位置にいて踏み遅れたティーハーフよりも、さらに行き出すタイミングが遅れてしまったからね。それほど切れる脚を使える馬ではないだけに、肝心の勝負所で後手を踏んだらさすがに苦しいよ…。せっかくスタートが良かったんだし、何より気持ち遅いぐらいのペース。もっと積極的に流れに乗せていれば、結果は違っていたんじゃないかな。
ローブティサージュも中団でジッとしていたんだけど、ティーハーフ、レッドオーヴァルよりも1列前の位置取りだったぶん、2頭とは対照的にスムーズな競馬ができている。直線では前がガラッと開いたのに、追ってからが案外だったなぁ。調教の動きはメンバーの中で一番良く見えたぐらいで、デキは良さそうだったんだけど…。今は気分良く行かせると味がないのかもしれないし、トーホウアマポーラみたいに終い勝負に徹した方がいいかもしれないね。
エポワスは、スタートダッシュを決めてハナに行くかと思いきや、馬の気分に任せて好位から。道中もジッとできていた割に、追ってからがだらしなかったね。直線で窮屈な所に入ったにせよ、あれだけ溜めが利いていたんだから、こじ開けるぐらいじゃないと。オープン特別を勝ったばかりだし、ここでは家賃が高かったんだろう。
マジンプロスパーは、先行するのに脚を使ったとはいえ、道中は気分良く走れていたんだけどね。ペースがキツかったわけでもないし、最後はちょっと止まり過ぎ。前回よりも調教の動きは良く見えただけに、この結果にはちょっとガッカリだね。8歳馬だから、年齢的な衰えが出てきているのかもしれないなぁ。
see more info at 元騎手・坂井千明の乗り役流儀~騎手にしかわからないことが、ある。~