先週の重賞レースの振り返り。まずは新潟2歳Sから。
ロードクエストは、スタートは相変わらず遅かったけど、調教でもゲートの出が良くない馬だけに、田辺も腹を括って終い勝負に賭けたんだろう。道中で落ち着いて走れていたあたり、素直そうな気性をしているとはいえ、テンから無理に急かせていたらムキになっていただろうしね。田辺が慌てず落ち着いて乗ったのが良かったにしても、直線で軽く仕掛けた程度でアッサリ抜け出すんだから大したもの。開催が進んで使い込まれた馬場で、雨も降ったぶん、直線のインは荒れていたのに、そこを通ってあの脚を使うなんて“強い”のひと言。ただ、キャリアの浅い2歳馬だけに、ちょっとしたことで悪い方に向かうのはよくあること。気難しさが出てきたりして、本来の力を発揮できなくなる馬も多くいるからね。経験を積んでいくうちにゲート難も解消するかもしれないし、相当な能力を持っているのは間違いないだけに、このまま順調にいくことを願うばかりだよ。
ウインファビラスは、それほどペースは速くなかっただけに、前々で流れに乗れたのが良かったんだろうね。さすがに流れが流れだから行きたがるところを出していたけど、(松岡)正海がうまくなだめて我慢できている。直線でフラついたのは1頭になって馬が遊んだからで、併せ馬の形になっていれば真っ直ぐ走れていたんじゃないかな。フットワークからして道悪を苦にする様子もなかったし、牡馬相手にこれだけ走れれば上等でしょう。
マコトルーメンは、トモがしっかりしていないぶん、距離が延びた方がいいタイプ。僕が思っていていた通りで、千二の前回(函館2歳S5着)よりもいい競馬をしてくれたね。前肢を伸ばして綺麗な走りをする馬だけに、本質的に道悪は良くない馬だと思うし、今回の馬場でこれだけやれれば立派じゃないかな。パンパンの乾いた馬場ならもっといい脚を使えるはずで、さらに距離を延ばせばもっと良さが出そう。負けたとはいえ、次につながる競馬ができたと思うよ。
ペルソナリテは、400キロそこそこでガサのない牝馬だけに、道悪が響いたのかなぁ。ただ、中団からジックリ運んだ割に思ったほど伸びなかったあたり、たとえ良馬場でも結果は変わらなかったかも。もっと力を付ける必要がありそうだね。それに、前回から距離が延びるのはプラスに出ると思っていたけど、今回の走りからするとマイルまでがギリギリといった感じもするし…。まぁ、今回は牡馬相手だったし、牝馬同士でマイルまでなら重賞でもチャンスはあるんじゃないかな。
キャプテンペリーは、千二の新馬を勝ったばかりだったのに、一気に距離が延びても落ち着いて走れていたね。ペースもペースで折り合いに苦労して不思議ないところだけど、好位でうまく流れに乗れていたよ。調教でも体の使いが良くて、追ってからの反応もいい馬。いいモノを持っていそうだし、これからもっと良くなってくるんじゃないかな。今回は人気薄だったけど、次もバカにしない方がいいと思うよ。
ヒプノティストは、終始外々を回るロスがあったにせよ、追ってからがサッパリ。走りに集中していない感じで、馬がまだ子供なんだろうね。調教でも目立つところがなかったんだけど、キャリアの浅い2歳馬だけに仕方がない。これから経験を積みつつ、どこまで変わってくるかだろうね。
ルグランフリソンは、ハナを切ってからもうまくペースを落とせていたし、リズム良く走れていただけに、この結果はちょっといただけないね。調教では体は使えていても、前駆だけで走っている感じ。前駆の搔き込みが強い馬はは道悪を得意とするタイプが多いけど、それ以前の問題で、全体的に力が付ききっていないんじゃないかな。まぁ、新馬を勝ったばかりの馬に、あれこれ注文をつけたらかわいそう。焦らず経験を積んでいって、パワーアップするのを待つしかないでしょう。
ウインミレーユは、ペースがペースだったにせよ、道中であれだけ力んでムキになったら苦しいよ。キャリアの浅い2歳馬、しかも繊細な面がある牝馬だけに、実戦を一度経験したぶん、テンションが上がってしまったんだろうね。まだまだ覚えることが多そうで、本当に良くなるまでには少し時間が掛かるんじゃないかな。
see more info at 元騎手・坂井千明の乗り役流儀~騎手にしかわからないことが、ある。~