2015 9/21(祝) セントライト記念(GII) 中山芝外2200m
出走予定・登録馬一覧
札幌2歳Sでは最後までばてない強烈な末脚を披露、弥生賞2着、皐月賞でも4着と実績を残しているブライトエンブレム。ダービーは回避して菊花賞に照準を絞っただけにこの一戦にかける思いは他の馬よりも強いはずだ。前哨戦とはいえダービー2着馬サトノラーゼン、皐月賞3着馬キタサンブラックをはじめ豪華メンバーが揃った一戦だが、この馬のポテンシャルを爆発させて菊へ向けて存在感を示してもらいたい。」
本番では間違いなく注目すべき一頭になると思う。中山2200mの舞台、先週強烈な追込みで波乱の結果に導いた田辺裕信の腕をもう一度見せてもらいたい。
まずは振り返ろう。個人的には札幌2歳Sが衝撃的だったのでまずはここから思い出していきたい。札幌芝1800m戦でペースバランスは48.8-48.8と綺麗な平均ペース、ラップ的に判断しても12.4 - 12.2 - 12.1 - 12.2 - 12.3と淀みのない単調な流れになっている。このペースをついていってレースラップ的にも落ちない中で動いて最後までばてないポテンシャル面を要求されている。この流れの中で内枠から出負けしほぼ最後方からのスタートとなる。ペースはそこそこ流れてはいたが一団の中で最後方列、3角で外からじわっと進出していく。4角では中団列の大外には取り付いてここから猛烈に大外を回す。直線序盤ではコーナーワークの差もあって詰められなかった差をジリジリと詰めてくる。L1でそのままばてずに突き抜けての完勝と強烈なインパクトを残した。札幌の緩く長いコーナーで3角から終始かなりの大外をぶん回す結果になったがそれでも最後まで伸びてきたようにとんでもないポテンシャルの持ち主だなという競馬を見せた。速い脚は要求されないが淡々とした流れでレースラップよりも速い脚を確実に要求されている中で向う正面から終始維持してきたというのは通した位置を考えるとなかなか凄まじい競馬である。
朝日杯を距離不足、早仕掛けも基礎スピード面、トップスピード面の両面で足りないところを見せて2歳は終わった。年明け初戦の弥生賞では2000mでこの馬の持ち味であるポテンシャルをどこまで引き出してくるかに注目していた。中山芝内2000m戦でペースバランスは61.3-60.5とややスロー、12.7 - 12.0 - 12.1 - 12.1 - 11.9 - 12.4と5F勝負でポテンシャル勝負になっているのはラップ的に見ても明らかだろう。ここでもゲートは微妙だがマシ、少し窮屈になって結局後方からの競馬にはなった。向う正面で前がペースを引き上げてからの仕掛けにはなって実質ほぼ最後方で3角。3角の段階で大外に持ち出し札幌2歳S同様かなりぶん回す羽目になるがそれでも取り付いてきて直線。序盤でサトノクラウンが内から突き抜けたがL1までしっかりとばてずに脚を使ってジリジリと誤差の範囲でも差を詰めてきたのは流石の2着。札幌でもこの弥生賞でもそうだが3角の段階でペースもある程度上がっている中で大外から入って行っているのでこれはかなりのロスにはなっている。仕掛けの遅い中で外から動く分にはさほどのロスでもないとは思っているんだが。とはいえ5F戦で前が加速してからのロンスパで大外を回して突っ込んできていること、サトノクラウンはあの位置からロスを作りつつも最後まで決定的に詰めさせなかったという点で総合力では一枚見劣ったが、こと後半ペースが上がってから12秒前後を連続させるポテンシャル面に関してはこちらの方がパフォーマンス的に上でポテンシャルは相当高いレベルにある。
そして皐月賞。この皐月賞では田辺は一転してギャンブル的な競馬に持ち込んだ。結果的に4着となったがこの馬の適性を考えるとここ一番で田辺のギャンブルが上手く功を奏して4着まで来たのかなというのが率直な感想だ。中山芝内2000m戦でペースバランスは59.2-59.0と綺麗な平均ペース、12.2 - 12.1 - 11.7 - 11.4 - 11.6と後半3Fで加速ラップを踏む余力を有力馬は持っていて基礎スピードの幅を要求されつつも高いレベルでそこに対応してきてそこから明確に加速する3F戦という形だ。1番枠でこれまでで一番いいスタートを切ってじわっと下げるのは既定路線だが下げ過ぎずに中団の最内につける。道中は淀みなくは進んでそこそこの流れ、外を全く意識せずに最内でロスなく立ち回ってポジションを落とさない。3~4角でも最内で我慢をしながら4角で徐々に加速していく流れに手を動かしつつ狭いところをしっかりと進路劣り切って上手く外に誘導、3列目で直線。しかし最速地点での伸びで見劣ってここで置かれる。L1ではばてずに伸びてきて際どく3着キタサンブラックまで迫ってきたが及ばずの4着だった。ここは流れるという想定でインで我慢してという競馬で勝利を目論んだが、結果的にこれでも有力各馬としてはペースが上がり切っておらず、むしろ仕掛けのタイミングもそこまで早くならなかった。上手く捌いて進路確保もしたが4角出口から動かして最速という流れの中で反応しきれなかったのは高いレベルまで来るとギアチェンジ面を含めた総合力の差が出てしまったかなというところだ。
この馬の魅力はとにかく素材、ポテンシャル面の高さが非凡であるという点にある。トップスピード戦ではまだ判断できない部分もあるが、ひとまず皐月賞でも加速していく流れで11.4とそれなりの速いラップを各馬が楽に刻む中でこの馬はついていけなかったという点で見てもトップスピード面はひとまず未知数と判断しておくべきだろう。ただ、12秒前後を連続させるポテンシャルにおいては非凡そのもので、弥生賞の時は馬場も渋っていたしその中で5Fで12秒台を連続させる形になった中でコーナーであれだけのロスがあっても最後までサトノクラウンとの差を縮めようとしたというのは素晴らしい。このポテンシャルを活かせるかどうかがカギになるが、その点は今の中山の馬場、そして脚を引き出すことに関してはひとまず出し切ってくれる田辺とのコンビで心配はそれほどない。今回は各馬恐らく仕掛けの意識が持ちにくい馬場状態になるし、前半のペースもさほど上げられないだろう。出が基本的には安定しない馬なので序盤はゆったり目で団子の方が動きやすいだろうし、弥生賞であれだけロスを作ってもサトノを最後まで詰められるポテンシャルを見せているならひとまず仕掛けに対して消極的になる理由はない。今の中山ならしっかりと3角ぐらいからロンスパに持ち込めればこの馬の得意な舞台である12秒前後の連続戦に持ち込める可能性は高い。馬場を意識して仕掛けが遅れるケースが怖い馬だが前述のとおり田辺はGIでギャンブル的な競馬となれば別だが基本多少ロスがあっても外からエンジンをかけてくれる。これはこの馬とのコンビでも見せてきているので、この馬の仕掛けでレースを動かしてくれればまず好勝負だなと考えている。ポテンシャル面での強敵は恐らくベルーフになってきて、京成杯の内容は舐めてはいけないし、ベルーフの外から動いていく形になった時にねじ伏せきれるかどうか。ただサトノクラウンは相当な強敵だったわけだし、このメンバー構成でポテンシャル面での強敵はそれほどいないだろうと見ている。後は急に馬場が超高速化しないかどうかだけだろう。皐月である程度対応できているし単調な流れなら高速馬場でも問題ないが、先週ぐらいの馬場が理想だ。個人的にはここでかなり期待している一頭と言って良い。
最終週で阪神競馬関係者たちの動きが活発化。
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