2015 9/20(日) ローズS(GIII) 芝外1800m
出走予定・登録馬一覧
桜花賞を除外され、残念桜花賞の忘れな草賞を制し、桜の無念を見事に晴らして樫の女王に君臨したのがミッキークイーン。その名の通りクイーンとなった今回は初めて受けて立つ身となる。2歳女王の復帰、巻き返しを図る桜の女王、その他クラシックの無念を牝馬3冠最後の秋華賞で晴らしたい有力各馬たちを相手に、真の女王となるべく強さを見せつけろ。
この世代は桜花賞もオークスもなかなか特殊なレースになったので、意外と力関係がハッキリしにくいなというのはある。この馬はオークスを勝ったわけだがオークス自体は非常に長距離色が強い競馬になったので1800m戦で桜花賞路線を相手に本当に強い競馬が見せられるかどうかという点で課題はあるといえる。とはいえハイレベルのクイーンCで強い競馬もできているしひとまず最上位にいること自体は間違いないだろうと。
オークスは極めて特殊なレースである。超高速馬場の東京芝2400m戦でペースバランスが61.3-58.6とかなりのスローペース、その分だけ12.5 - 11.9 - 11.9 - 11.3 - 11.6 - 11.9とL3最速、コーナーの段階で11秒に入っていて仕掛けどころが非常に早く一言で言えばアル共や目黒記念のような、東京2500m戦みたいな後半のラップ推移になっている、要するに長距離色がかなり強い競馬だ。この流れで五分に出て様子を見ながら中団で進めていくという形。道中は中団の外でドスローでも折り合いをつけながら。3~4角で既にペースがある程度上がっている中で中目を追走、直線で外に出す。そこから反応こそジリジリだが徐々に減速してくる流れで外から一完歩ずつ確実に伸びてくる。L1でそこからばてずにしっかりと突き抜けての完勝だった。まあ特殊な流れで基礎スピードを活かしたかった馬が苦しむステイヤー色強い流れでTS持続力をしっかりと引き出し切ったのは高く評価すべきで、恐らく余力がある状況下でのTS持続力特化戦なら世代No.1か2である。2の可能性を示唆したのはショウナンアデラのJFはかなり強烈だったからで、これに関してはまだ雌雄を決していない。ただ、脚を出し切れる展開になった時の破壊力は一番であることを証明したとともに、序盤ゆったり運ばせることでしっかりと後半の要素を高めてきたこともあり、恐らく距離適性の面が大きいだろうと。結果的にではあるが違うベクトルで超特殊な競馬となった桜花賞を除外になったことが上手く事を運べた要因になったかなと。
マイル戦でもやれると言えばやれる馬である。個人的にはクイーンCは世代で見ればハイレベル戦ではあったと思っていて、東京芝マイルでペースバランスは46.9-47.1と平均ペース、11.8 - 12.0 - 11.4 - 11.5 - 12.2とほとんど大きく緩まずにトップスピードをさほど要求されないポテンシャル勝負。外枠でやや出負けをしてしまい後方からの競馬。3角でもまだ最後方近くで最内をロスなく立ち回って上手くコーナーワークで置かれずに直線に持って行く。直線で外からジリジリと伸びてくるがアンドリエッテの方が序盤は手応えが良い。L1でそこからジリジリと伸びて抜け出してきて際どく2着を確保した。この内容ではアンドリエッテが終始外々、こちらは後ろから終始内内を通して直線で外という差があったし、そこでフォローできた分がL1での伸びに繋がったとみていて、少なくともアンドリエッテ比較では互角かアンドリエッテの方が上かなとみていたんだが、これはオークスではパフォーマンス的にも逆転したといえる。この辺りは今となっては前半の基礎スピード面の差があったと考えるのが妥当かなと。最序盤でゆったり運べなかったがそれでも基礎スピードの幅は持っていて、後半ポテンシャルをしっかりと引き出せた。この辺りがこの馬の崩れない強さの要因とはなっていると思う。
忘れな草賞も着差こそ小さいが完勝だった。阪神芝内2000m戦でこの時期はBコースにもなっていてある程度速いラップを刻むケースも多かった。このレースもペースバランスは63.6-59.9と3秒以上のドスロー、12.7 - 12.5 - 12.0 - 11.1 - 11.6のラップ推移を見てもわかるようにギアチェンジを伴う2Fトップスピード戦でギアチェンジが問われたウエイトが非常に大きいレースになった。この中で後方で脚を溜めながら3~4角外目で様子を見ながら出口で外に出してから直線。序盤でしっかりと反応して一気に先頭列に立ったし、そのままL1までしっかりとロカを寄せ付けずの完勝だった。要所の反応も最速地点での伸びも良かったし、L1まで寄せ付けなかったというのは評価は必要。ただ相手が500万下でも苦戦しているロカやシャルールといったところなのでレースレベルには大いに疑問があり、この一戦を過大に評価するのは少々危険ではある。まあロカは消耗戦になっていたし、シャルールも札幌の洋芝でタフなレースになっていた。
忘れな草賞は色々考える余地のあるレースではあるが、個人的にはひとまずトップスピードの質という観点だけは世代トップクラスかと言われると少々疑問が残るな、というところである。逆にこの馬最大の武器はエンジンがかかってからのTS持続力にあるのはロスを作りながらも最後まで伸び切ったオークスから明らかだろうと。またクイーンCでもそうだが基礎スピードを要求されてついてはいけないが、そこからエンジンをかけやすい状態でしっかりとポテンシャルを引き出してきたように基礎スピードの幅自体は持っている。スピード負けはしても厳しい流れで後半の脚が削がれるタイプではないだろう。その点でもマイルはやはりちょっと短かったかなとは思うので、クイーンCはそう考えてみればやはり評価したいところである。同じくTS持続タイプのアンドリエッテに対してはオークスでは確実にパフォーマンスで上回ったといえるしひとまず同タイプでの春のクラシック組では最上位とみて良い。ただトップスピードの質やギアチェンジ、基礎スピードやポジショニングといった総合力を持ちつつも危うい気性面でリスクがあるレッツゴードンキあたりとは適性が違ってくるし、2歳女王ショウナンアデラのTS持続力は故障の影響がなければ恐らく驚異になる阪神1800mというコース、ローズSというレースの流れを考えた時に、中弛みで取り付ければ競馬がしやすい、基礎スピードを要求されてもクイーンCの内容ならば後方からしっかりと最後まで脚を使ってくるとは思う。それでもトップスピードの質に関してはオークス、クイーンCでも最速地点で切れたというほどでもないし、少なくとも強気にはなれないと思う。この辺りをどう判断するかだろう。1800ならある程度流れてくれた方が恐らくこの馬の持ち味は発揮しやすいかなと。外枠から中弛みで取り付きつつ外からしっかりと動いて直線を迎えることができればひとまず大崩れはしないだろう。内枠で中弛みで包まれて下げながら後半のトップスピード勝負になってくると危うさはあるのでゲートがそこまで上手くない、出足は鈍い以上、枠は重要になってくる。オークスを器用さで勝った昨年のヌーヴォレコルトもそうだが、基本的に前目でコントロールして要所でしっかりと動いて速いラップを刻んで出し抜く先行馬が強いレースではあるので、そういう器用さがないこの馬を信頼しきるのは危険。脚を出し切れれば好勝負だろうというイメージで進めたい。
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ローズS(G3)
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秋華賞のトライアルとなるこのレース。今年もオークス馬ミッキークイーン・桜花賞馬レッツゴードンキ・2歳女王ショウナンアデラのGI馬3頭を筆頭にアンドリエッテ・キャットコイン・ディープジュエリーと本番さながらの豪華メンバーが一同に集結。
ひと夏を越して放牧に出されていた馬・夏場使われていた馬とも成長しており、以前より距離適性も明確になってきているのは言わずもがな。
中には、馬主関係者の指示・古馬とやるよりは同世代相手の方が脈有りとの判断から使ってきている陣営も・・・。
そういった観点からもココが勝負の馬を見極める事が必要不可欠。現に当社の厩舎番の元には、『ウチは阪神2000mがベストだからココまで待っていた』、『春先とは全てが雲泥差。今のデキなら楽しみしかない』と言った威勢の良い声から、『まだ7~8分。地力でどこまでやれるか』など表に出せない声まで続々と入ってきている。
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