2015年9月17日木曜日

東京記念を振り返る

レースは内枠を利してファイヤープリンスがハナへ行き、昨年の東京記念の覇者で1番人気のユーロビートがそれをマークする形で2番手をキープ、その外の3番手にアウトジェネラルがつけて、14番ゲートを引いたカキツバタロイヤルは巧く内へと潜り込み5~6番手を進み、2番人気のタイムズアローはちょうど中団の7~8番手から追走、3番人気のプレティオラスはゲートをポンと出て当初は中団につけ、徐々に後方までポジションを下げたが道中の行きっぷりは普段より良い印象がある。
逃げるファイヤープリンスは3ハ過ぎから13秒台にラップを落として78秒9のタイムで1200Mを通過したが、それから徐々にレースが動き出し、ここで中団待機のタイムズアローが追撃を開始、3角手前で2番手追走のユーロビートをマークするように3番手まで上がって4角を回る。
直線に入り2番手追走のユーロビートが粘るファイヤープリンスを交わして先頭に立ち、これでタイムズアローとマッチレースになるかと思いきや、タイムズアローはユーロビートに中々並び掛ける事が出来ず、気付けばスルスルとインコースを通り先団グループに取り付いたプレティオラスが残り200過ぎに一気に突き抜けて混戦の2着争いを横目に2分34秒5の時計でフィニッシュした。


勝ったプレティオラスは大井記念以来となる4か月ぶりの実戦もパドックで見た感じはスッキリと仕上がっている印象で、レースではインコースをキープして終始自分のペースを守っての競馬、さてドコで外へと持ち出すかと注目していたのだが、最後まで進路変更をする事は無く直線でガラ開きのインを突いて2着のユーロビートに2馬身半差の完勝。
上がり37秒4の末脚を使っての勝利はソコソコ仕上がっていたと思えるだけに別段驚くべき事ではないが、これまで馬群のシンガリが指定席の馬が決して無理はしていないにも関わらず当初は中団のポジションを進むなど明らかに普段とは道中の行きっぷりが違った事や直線で馬込みを避けて大外を通る事しか出来なかった馬がインコースを通って突き抜けるなどこれまでと異なるレース内容で勝利した事に驚いた。
6歳にしてようやくプレティオラスが一皮剥けた印象で、斤量58を背負いながらも快勝した事を含めて今後に向けて大きな収穫と思える。


2着のユーロビートは逃げるファイヤープリンスを道中は楽な手応えでピタリとマークする2番手からの競馬でギリギリまで追い出しをガマン、直線に入ると満を持して追い出すとジワジワと伸びて一旦は後続とのリードを広げる事に成功したのだが、決め手比べでは分が悪いタイプだけに決め手に勝るプレティオラスに交わされたのは仕方ないにしても、斤量59Kを背負った影響でゴール前で脚色に余裕が無くなりカキツバタロイヤルにハナ差まで迫られた事に関して自身ベストの条件のオオバコの長距離レースだっただけに不満が残るのは事実。
今回の競馬でハッキリしたのはユーロビートは540K以上の雄大な馬格を誇るがカンカン泣きするタイプで、オオバコの競馬場での長距離レースに加え斤量が軽い事が勝利するための必須条件と注文がかなり多い厄介な馬で、ベストの条件に中々合致するレースが少ない事から今後勝ちあぐねるケースが続いてもなんら不思議ではない。


3着のカキツバタロイヤルは外枠を引きながらもヤネがスタート直後に巧くインコースへと潜り込み5番手につけ、道中はユーロビートの直後でジッとガマンを決め込み脚をタメるも、4角で前が壁になると判断し外へと進路変更、直線で追い出すとジワジワと伸びてゴール前でタイムズアローを交わして2番手のユーロビートに迫るもハナ及ばずの3着。
まぁ、前走のサンタアニタTと違って今回は前が壁になる可能性があっただけに外へ出したのは正解だろうが、全盛期よりやや渋くなった9歳馬だけに勝負ドコで思い切ってインコースを突く一六勝負に賭けていれば別の結果になったかも知れないと思う部分があるのも確か。


4着のタイムズアローは中団待機から3角手前で仕掛けてユーロビートへと迫り、直線入り口の手応えからユーロビートとのマッチレースになるだろうと思ったのだが、ユーロビートを交わすどころか外を通って伸びたカキツバタロイヤルにまで交わされてしまい4着に沈む。
直線で伸びあぐねたのは距離云々よりも前走のマーキュリーC同様に直線で手前をスムーズに替える事が出来なかった事が影響して最後の詰めを欠いた印象で、中央時代のレースを見ると手前をスムーズに替えているだけに、何故ここ2戦手前を替えていないのか判らないが、直線で手前を替える事が出来れば重賞を勝っても不思議ではない能力の持ち主だけに何とももったいない。


5着のトーセンアレスはタイムズアローの外を通り中団の待機の競馬、3角手前でタイムズアローが仕掛けた際にワンテンポ遅れて追撃を開始、3角では先団グループを射程圏内に捕える勢いがあるように感じたが、案外差を詰める事は叶わず直線へ入り、その後はジリジリと伸びてバテた馬を交わして掲示板を確保も、4着のタイムズアローから3馬身半も離された勝ち負けとは程遠いモノで、戦前に指摘したようにトーセンアレスは距離1800Mまでがベストのタイプで、今回の2400Mの距離は明らかに長いと思えるだけにこの結果も納得出来る。

今回のようなこれまでのプレティオラスのレースでは考えられないイン突きの競馬をされたのではお手上げ、まぁ確かに東京記念の発走前に雨が本降りになり脚抜きが良くなった事からプレティオラスがいつものように大外を通っていても差し切った可能性が高いだけにプレティオラスを大外を通る切れ味身上の馬で今開催の馬場に合わないとノーマークした段階で馬券はハズレと諦めるだけ。


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