●2015チャンピオンズカップのレース回顧
チャンピオンズカップ(GI) 中京ダ1800m良
1:50.4 12.5 - 10.7 - 12.3 - 12.5 - 12.2 - 12.3 - 12.5 - 12.5 - 12.9
48.0-50.2HH
う~ん、サンビスタ以外はほぼ納得というかまあわからなくはない、という感じなんだがサンビスタだけはちょっとよくわからない勝ち方だったなと言うのが率直な感想で今でもまだモヤモヤしている。まあ上手く乗ったというか3~4角で内内を突いた馬が上位なのは展開やラップ推移から見ても明らかだし、あの展開で3角でタルマエが動いて何してんだ幸~って思いながら更に外から動いていったローマン岩田をみてorzになったのもまあラップ的に見て間違ってないなという感じ。昨年とは違ってコーナーの地点でそこそこ速く、徐々に減速していく流れ。2秒以上とかなりのハイペースで淀みなくポテンシャル戦になったわけだし内のスペースを上手く取っていった馬が上位なのは間違いない。ただその中でサンビスタ…というのはやっぱりいまだに納得がいかなかったりする。競馬は難しい…。
1着サンビスタはまずまずのスタートを切って先行争いに加わりつつ、1~2角の先行争いの中で最終的に3列目のポケットという形になる。道中はニホンピロアワーズの直後で進めながら3角。3~4角でも全く動かずにじっと我慢、楽な手ごたえで3列目で直線に入ってくる。序盤でタルマエの直後を取ってそこから追い出されるとスッと伸びて来て並びかけてくる。L1で一気に突き抜けて内からノンコノユメ、外からサウンドトゥルーの強襲を全く問題とせず王者と見まがう貫禄の勝利だった。いまだにちょっと腑に落ちないというか、この馬は1700路線からずっと見てきた馬でカチューシャ辺りとともにスピード勝負になり切ると甘さがあった馬。これは牝馬交流重賞路線でも変わってなくて、前走のJBCレディスクラシックの競馬を見てもそうだがハイペースになってしまうと持ち味の総合力が削がれてしまう。かしわ記念でも距離は違うが厳しい流れで追走に苦労して甘くなっていたり、2000でもブリーダーズGCでアムールブリエにポテンシャルで見劣ったり。牡馬ともやれていたが緩んだり何かしらトリッキーな競馬になったところで総合力を活かして頑張ってというような感じだったので、今回の様に淀みない流れで基礎スピードとポテンシャルという要素を高いレベルで問われたときにやれるとは全く思わなかった。そういう点ではこちら側の惨敗である。ただ、現実としてみた時に、少なくとも1800mの基礎スピード特化戦で、このクラス相手に完勝した内容は上手く内を立ち回ったということを加味してもフロックで片づけることが全くできない内容。だから余計に困惑するんだが、とにかくこのレースの中で一番強かったのはサンビスタであると。これは間違いないし、コーナーで内を立ち回ってL1強襲のノンコやサウンドの追撃が全然決定的で無かったというところからも、内を通せたことだけでどうにかなるパフォーマンスではない。う~ん、釈然とはしないんだけど、現実としてはそういう判断をせざるを得ない。フロックじゃないんだよなあ。まあ、器用な馬で内で立ち回っても動きたいときに動ける馬だから内枠が上手く嵌ったというのは現実としてはあるんだけど、それだけでここまでのパフォーマンスってのは驚きです。ミルコも完璧に立ち回ったのはあるけど、馬が変わったとしか言いようがないよね…。参った。
2着ノンコノユメは五分に出てそこから無理のない範囲でポジションを取ろうとはしていたがそれでも後方からの競馬になる。サウンドトゥルーよりは前だが中団とはだいぶ差がある位置で追走におっつけながらと厳しい競馬。3角でもポジション差を意識してかなり手が動いて最内に絞って進めていく、4角で前にがっぽりあいたスペースを通って直線。序盤でそのまま最内を完璧に立ち回り前もスペースががっぽりあいた中でジリジリと伸びてくる。そのままL1で突き抜けてほしかったがここで脚色微妙、サンビスタに差を詰めることはできずに最後はサウンドにも際どく突けられて2着死守がやっとという感じ。正直ロワジャルダンがコーナーで内に入らない感じでアシストしていたと思うし、3角以降はこれ以上ないぐらい楽に進路を取れた。まあこれで負けたんじゃ力負けでしょう。ここで底を見せてしまったかなという感じだが、まあ秋だけでもかなり成長してきてはいると思うしユニコーンSの段階ではまだ古馬の一線級とは勝負にならんかなと思っていたと思っていた中で、まあ少なくとも同タイプのハイペースバテ差しのサウンドトゥルーに先着できたというのは一定の評価はしたいかな。ただやっぱりダートスタートは取り付けない感じはあるんだよね。東京だと芝スタートで出脚に勢いをつけていけるというのもあるのかもしれない。推進力に課題がある。基礎スピードの幅自体は今回も突っ込んできてはいるようにやはり持っているんだけどね。あまり安定はしないんじゃないかなあ、個人的にはこれだけ上手く噛み合ったなら突き抜けてほしかったんだけど。物足りない競馬にはなったね。サンビスタを褒めるべきかもしれないんだけど。
3着サウンドトゥルーはなんと好発、しかし二の足がつかずに最後方近くに下がるという競馬になってしまう。そこからもノンコより後ろになって進路を選べないまま3角。3角ではまだ最内で我慢、4角で勢いに乗せながら中目に誘導して直線。最序盤で一気に外に持って行くと、そこからL1までは待ってましたのバテ差しグングン。最後はノンコとの差を決定的に詰めてきたが及ばずの3着敗退だった。噛み合ったなあという展開ではあったし、バテ差しになるとこの馬もだよなあというところでノンコには及ばなかったものの有力馬が総崩れしたのもあって3着確保できたかなとは思うが、やっぱり成長しては来ていると思うね。ただ今回は結局ほとんどがオーバーペースになったのは確かだと思うしそこで前が減速したので差し込めたけど、トップクラスでペースがコントロールされたときに速い脚を使えるかどうかが今後重要になってくるかなと。何せゲートが良くても二の足がここまでつかない馬だからね…。ここが改善されない限りは基本的にはバテ差し要員としての期待までしか持てないし。これもノンコ同様東京1600なら早い段階でスピードに乗れちゃうので安定するかもしれないけど、まあ現時点ではまだまだ嵌って何ぼの域は出ないかな。
4着ロワジャルダンは大外枠からやや出負け、枠もあって無理せずに後方での競馬を選択していく。道中も後方で内に入り込んで3角。3角では最内を立ち回っていたが4角では内を諦めてノンコに進路を譲って直線で馬群の真ん中に。結局は内から馬群を捌こうとするが苦労しつつも中目で獲り切る。L1までジリジリと伸びてしぶとく食らいついての4着で力を示した。ん~ノンコに内を譲った感じなのかなという印象かな。この馬が最内を立ち回っていたら2着あったんじゃないのというような競馬にはなっている。まあこの辺は社台の戦略かなと思わなくはないけど。ただバテ差し勢としては上手く最内を立ち回ってきたのは確かだし、1~4着まで含めて3~4角を内で立ち回った馬にはなるのでその点では噛み合ってはいる。ん~まあでも勿体ない競馬というか、最内で我慢してノンコの進路をふさいでおけばこっちが2着に入っていた可能性は大いにあると思うんだけどね。ただこれで前走をフロックで片づけることができなくなったし、こうなってくるとイースターパレード辺りも基礎スピード特化戦なら結構やれるかもしれんなあ。一度ダート路線の力関係を見直さないといけないかも。意外と上位陣との差がない時代に入ってきているかもしれんね。タルマエは1800では一枚落ちるし、コパノは噛み合わないとダメ。ローマンやワンダー、グレープとかのレベルがまだ第一線で頑張っているということは重賞路線の全体のレベルとしては下がってきているかも…それが今回の結果にも繋がっている感はするんだよなあ。
5着ホッコータルマエはまずまずのスタートだったが接触で行き脚が微妙になり好位から外々押し上げていくという形になる。道中は絡んでいったガンピットの外からという形で結構しんどい流れで3角。3~4角で外から一気に押し上げて先頭列、コパノリッキーに相手を絞って直線。序盤で追い出されるが手応えほどには伸びずにジリジリ。L1で並びかけたところに猛烈なバテ差しを各馬に食らって3着確保しきれずに5着と掲示板までだった。ん~個人的にはあの流れ、スタートになってしまったなら前半無理しない方が良かったかもしれんね。3角での動き自体は否定はしないけど、タルマエで前半あそこまで脚を使ってしまって後半も積極的に仕掛けるってのはちょっとなあだし、やるなら前半は無理をしないという選択もほしかったね。もともと対全盛期ニホンピロアワーズで後半勝負に持ち込んで良さが出た馬なんだし、1800のスピード勝負に後手踏んで真正面からついていって仕掛けて勝ち切るほど強ければもっとJCD時代に良い競馬してる。その点も含めて1800で攻めるところとタルマエの良さを守るところのバランスを上手く取る競馬が欲しかったかなと思う。まして今回は3~4角で最内を立ち回った馬が上位にきているし、それは前半のペースからもわかるような状況だったからね。コパノが行ききる以上ペースはある程度速くなるわけだし、それとスタートで後手を踏んだ形になったのをトータルで考えてほしかったかな。個人的にはタルマエの良さを引き出すうえで必要なバランスのとり方に不満がある競馬になっちゃったかなと思う。馬自体はやっぱり1800で厳しい流れでってなるとその時々のトップクラスに相手に苦戦していたわけで、これで3着に近い5着なら健闘したレベルだと思う。コパノを目標にして競り落としてはいるわけだしね。馬自体は一叩きしてしっかりとパフォーマンスは上げては来ていたけど、それでももう一段階上には持ってこれなかったかな。適性的には東京大賞典が勝負レースだとは思うんだけど、まあコパノとともに雪辱を期待したいね。
7着コパノリッキーはこちら
14着ローマンレジェンドは五分のスタートから押して先行策、ただ外からも切り込まれて取り切れずに中団でという形になる。道中もかなり流れる競馬の中で内に進路を取れそうな中で何故か3角手前から捲る。3~4角で大外をぶん回して好位列まで押し上げてタルマエを目標にしながら鞭が入って直線。序盤でもう脚がなく、そのまま終戦。ん~まあ本命だって感情を入れないってのは難しいかもしれないけど、正直何してんだ?ってレベルの騎乗だった。出していってポジションを取れない、まあこれに関しては相手もいることだし前に行こうとして行けなかったんだから仕方ない。ただ向こう正面では集団の後ろにいたわけだし、ペースも明らかに早いのが分かるレベルで3角から捲るというのは幾らなんでもなあという感じ。向う正面ではインに入り切れない微妙なポジションだったが、やっぱり待つべきだっただろうね。結果論じゃなくペースが上がっているのは誰でもわかるような流れの中でなんでタルマエが動いていしまった3角で後から動く必要があったのかってところが全てだろうなと。これまでもインで我慢して3~4角では動かない競馬で良さが出ていたわけでね。まあこれもロワジャルダンじゃないけど社台系でノンコをアシストするために捲る競馬…というか勝負所で内を使わないでという指令が出されていたんなら説明はつくけどね。ただそれ以外ではあそこで捲るってのはなかなかに理解に苦しむ競馬だったなと。タルマエも雑だったけどこちらはポジションはもっと悪い中でタルマエが動いてコーナーでも流れてしまった中で外から動く必要性はない立場。そこそこ人気背負ってんだからそれなりにマシな競馬をしてくれんと困るなあ。まあ溜めて突っ込めたかどうかということ自体は分からないけど、少なくとも3~4角の立ち回りが大きく結果を分けてきているわけなので、タルマエが動いた段階で3~4角も厳しい流れになるのは読めるはずでその外を押し上げていくってのはありえんなと。その点ではナムラビクターも同じなんだけど。中京は乗り難しいコースだとは思うから仕方ない面もあると割り切るしかないけど、ポジションも取り切れなかったし仕掛けも超雑で何もいいところがなかった。馬自体はまあそれでももうちょっと最後まで踏ん張ってほしい競馬ではあったんだけどね。タルマエだってそこそこ踏ん張ってはいるわけで、この流れで勝ちに行ったと言ってもナムラに差されているからね。せめてナムラやグレープブランデーぐらい頑張ってくれていれば岩田の問題なんだが、馬にも問題はあったかな。前走の反動はあったかもしれない。まあ難しいところやね。ただ一つ言えるのは岩田はドツボに嵌ると本当にダメだな、と。
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