2016 中山記念(GII) 中山芝内1800m良
レース回顧・結果
1:45.9 12.6 - 12.0 - 11.9 - 11.6 - 11.3 - 11.6 - 12.0 - 11.1 - 11.8
48.1-46.5SS
全体のペースで見ればスローなのだが、非常にトリッキーな競馬になってしまった。ここまでへんてこなラップを刻まれるとなかなか判断が難しいが、ひとまずまとめると入りはドスロー(3F36.5)、向こう正面で前が急激にペースを引き上げ、3~4角で前が急激に緩めすぎているという感じ。2段階加速にはラップ的になっているんだけど、これ前がこのラップで楽だったとは思えんかな。L6から11.6、そこから11.3-11.6-12.0-11.1とこの5Fだけで57.6だからラストはどうしたって甘くなる。個人的には上位3頭が強かったのはもちろんだが、それ以前に前の集団が策を弄しすぎたのかなという感覚もある。前がペースを引き上げた時に無理をせずに4角での緩みで外から取り付けた方が良い展開ではあるが、そこからはTS持続力を含めた実力勝負というところかな。ここまで差が開いたのは前が自滅した面が大きいと思う。
1着ドゥラメンテは9番枠から出負けしながらもリカバーしてポジションを取っていく辺りはミルコ流石、という声が瞬時に出るほど。スローの段階である程度の位置をしっかりと確保した。ただ前が途中でペースを引き上げていく中で、ついていくことなくがっちりと我慢して進めて3角。3角で少し手を動かしていったら前が減速してきたので馬なりで押し上げることになり、4角ではもうトップスピードに乗せる形で楽に2列目に。そこからこの流れでも楽に切れる脚を引き出してきたが、L1ではやっぱりちょっと甘くなってアンビシャスには喰らいつかれての勝利になった。目標が先、骨折明けという中でこの結果を出してきたのは素直に評価すべきで、高いパフォーマンスを見せてきた。まあ敢えて言えばやっぱりアンビシャスとドゥラとの比較でという話で、前の集団が変な競馬になり過ぎて後方でフラットに向こう正面~3角を立ち回った方が楽だったラップ。ここが噛み合ったのも確か。そのうえで中盤は激流に近いところから4角出口で強烈なトップスピードの質を引き出してきたように、やっぱり基本的には基礎スピードの幅がめちゃくちゃ広くて2段階加速でも同じようなことが言えるのかなと。前述のとおり後半6Fの走破ラップだけで見れば1:09.4だからスプリント戦に近いような走破。この中でL2最速10秒台を刻めてしまうというのがやっぱり武器だと思うんだよね。要所での良さが目立つしL1ではちょっと甘くなる傾向という点でも合致している。個人的にはドゥラメンテは基礎スピード色が強い馬だと考えていて、その点ではここまで中盤で流れ切って前も自滅したというのは大きかったかな。ペースバランス的には明確にスローなんだけどここまで特殊な流れだとちょっと何とも言えないところがある。勝ったことはミルコも含めて流石、と言いたいんだけどこのパターンだとドバイシーマクラシックは相手にもよるけどもしかしたら勝ち切れるかどうか微妙かも、というのはあるかな。今回でもこのロンスパの中で鋭い脚をL2で使えてしまうけど、本当にいい脚というのはそこまで長くない印象で、ペースが上がってトップスピード戦になった時にしぶとく踏ん張り切れるかどうかというのは課題になりそう。派手な競馬にはなったけど、前が流石に早仕掛け無駄に緩めすぎてつぶれる競馬、ロンスパで脚を使わされたイスラなんかには厳しい展開だったと思うし、4着以下との着差はあまり参考にしない方が良いと思う。かなり特殊な競馬ではあったので。とはいえ2冠馬がここでしっかりと勝ち切ったのは競馬的にはやっぱり熱いし、4角での手応えにはグッとくるものがあったね。やっぱり強い馬が不安視されながらも一掃する競馬ってのが終わった時には一番気持ちいい。57kg背負って休み明けでというのは評価しないとね。
2着アンビシャスは10番枠から出負けして最後方近くからと苦しい展開からのスタート。前が2角過ぎの下りでペースを一気に引き上げていく中でこの馬は後方からじわっと追走しながらそれでも後方のままで3角に入っていく。3~4角で前にいたドゥラメンテが動いていく、イスラやフルーキーを目標にしながら後方で直線。序盤の最速地点でのキレはイマイチなんだがL1でグンと伸びてくると最後は強襲、2着まで入り込んだ。率直にちょっと驚いた。まあ仕掛け自体がかなり速い流れ、3~4角で緩んだところでもうちょっと押し上げてほしかったなという印象ではあるんだけどね。この馬にとっては向う正面から流れに沿っていける競馬になっていたし、あそこで動いていればと感じる内容だった。ただL2で最速11.1とあの流れからでもトップスピードを要求される競馬で流石にキレ負けしていたんだけど、L1でのグンと来た伸びはこれまでとはちょっと違ったかなというレベルのTS持続力だった。まあ比較すべきイスラなんかはこの展開ではロンスパで脚を使わされる形で力が出せなかったし、ドゥラメンテもそこに関しては個人的にはそこまで超一級とも思っていないので評価が難しい所かなあ。結局ここまでへんてこなラップの中で一度の仕掛けで3角までの緩急をフラットに進めてしっかりと戦えたというのは良かったと思うし、TS持続力面、ポテンシャル面での良さが出ていた馬なのでもうちょっと3~4角で強気に動いても面白かったけどなあ、という気持ちもある。トリッキーな競馬に持ち込もうとして前がつぶれた展開ではあると思うので、ドゥラメンテ同様4着以下の派手な着差をそのまま額面通りに受け取るのは危険かな。それにドゥラに近い適性で、厳しい流れからでもいい脚を使えるというか。この馬の場合はL1で3馬身差ぐらいを詰めてきているし、L1でも11.2~3ぐらいは使えていると思う。逆に最速地点ではキレていないからドゥラメンテとの比較だとトップスピードの質はやっぱちょっと足りないかな。トップスピード戦とはいえ6Fからのロンスパだし、基本的にはエンジンがかかった状態を維持する方が良いと思うし、中距離でもペースを引き上げて自分で競馬を作ってほしんだけどね。今のこの馬ならかなり期待できそう。少なくともパフォーマンスそのものも上げてきているはず。
3着リアルスティールは2番枠からまずまずのスタート、そこから2列目を取っていくかなと思ったが控えて3列目、ダービー同様ドゥラより後ろでの競馬になる。向う正面で前がペースを引き上げたところでは無視して少し離れた中団で内々にこだわって3角。3~4角で前が下がってくる中で進路確保では一歩後手を踏む、ドゥラの直後を取って直線に入る。序盤でそこから勢いをつけきれずに先にどぅにら抜け出されて2馬身半差、L1で1馬身差まで詰めるが、という競馬での3着完敗だった。まあ、これが一番予想通りだったかな。ドスローの最序盤の段階で2列目からすぐに引いちゃう辺りがね。ダービーでもそうなんだけど、なんで簡単に前を譲るのかなという感覚はある。今回は前が超早仕掛け、コーナーでかなり明確に緩んでいたし、その中で内内でスペースを無くしながら4角ではドゥラが前を向いてトップスピードに乗っていくのを待ってから直後のスペースを取って追いだすという点ではダービーに近い。ギアチェンジがそれなりにある馬なのでそれでも反応はそれなりにできていたが、既に勢いに乗っていたドゥラメンテに出し抜かれるのは必定。L1で対ドゥラでは持ち味といえるTS持続力では食い込んできたけど、という感じかな。ドゥラメンテの今の出来でミルコとしてはそれでも馬を信じて強気に乗る一方で、リアルスティールの福永は結局どう勝ちたかったのか、ビジョンが見えない競馬だったと言わざるを得ない。もちろん最序盤からゴリゴリのハイペースなのに無理していけとは言わないし、向こう正面での動きがあまりにも速いと考えるなら動かないのも良い。今回は向こう正面で動かなかったこと自体は正解だったと思うけど、3角までに進路を意識できないこと、ポジション取りが欲しい。早い段階で下げ過ぎたのも。ドゥラより前に楽につけられる余裕があって、ドゥラの仕掛けを前で受けられる立場を捨てちゃったのは不満だった。向う正面の段階では少なくともドゥラより内にいたし前との間にスペースもあったし自分で仕掛けていく競馬が欲しかったと思っている。結局敗因は4角で進路どりで後手を踏んでトップスピードに乗せるタイミングが遅れてしまったのが致命傷だった。その点でも中山1800は騎手の腕がもろに問われるんだよなあ。あんまり言いたくないけど、やっぱりな、というしかないかな。最序盤からペースが早かった皐月で差された印象が強いんだろうけど、しっかりとケースバイケースで進めてほしい。2列目から向こう正面でスペースができた時に外に出してドゥラの仕掛けを待って仕掛けるぐらいのイメージってないのかな。ここまでコーナーで淀んでしまうと内にいて踏み遅れたらギアチェンジを一定レベル持っているリアルスティールと言えども辛い。個人的にはこの上位3頭は少なくともそんなに目に見えて顕著な差はないし、各々個性があってこれからちょっとしたことで逆転があっても驚けないレベルだと思う。リアルスティールの方が長距離色が強いしゲートセンスは上。スローの中でポジションを取れた時にドゥラを意識せず横綱競馬をしてほしいんだけどねえ。
4着フルーキーは5番枠からまずまずのスタート、ある程度はポジションを取って中団という形で進めていく。前が一気にペースを引き上げた向う正面でも無理をせずに中団で我慢、ドゥラメンテを徹底マークして3角に入る。3~4角でもドゥラの直後をぴったりとマークして直線に入る。序盤でそこから追いだされるがジリジリ、L1でも伸びあぐねて何とか4着を確保したという形。まあ、戸崎の得意パターンというか目標を作ってケツについていく。ちょっと足りない馬でこれをやらせるとうまいよねって感じかな。馬としては後半のロンスパ気味の競馬の中なので、もうちょっと伸びてくるかなと思ったが…という感じ。フルーキー比較で見ると上位3頭は強いかなとも思うんだけど、完璧に立ち回ったエプソムCでもエイシンヒカリや上位陣には結構差があったからなあ。少なくともフルーキーは帯に短し襷に長し的なポジションに落ち着いてしまったのかなあ。1600だと基礎スピード的に強気になれんが、かといって1800でスローロンスパでトップスピードの質で勝てるわけでもTS持続力で明確に優位に立てるほどでもない。ドゥラが早めに突き放してスペースがあった中で進路を完璧に取って乗られた中での4着ということを考えると、少なくともトップスピードの質ではちょっと厳しいかもしれん。まあL2最速が明確ではあったし、この馬的にはL3最速戦の方が噛み合うかもしれないけど。
5着レッドレイヴンは8番枠からまずまずのスタート、そこから無理をせずに下げて後方に下げる。道中も後方で我慢しながら最内で3角。3角ではリアルスティールを目標にしながら内内を追走、そのまま広報馬群の中目で直線。序盤でそこから一足を使ってスッと伸びて2列目勢に食らいついてくる。L1ではちょっと甘くなってフルーキーに差し込まれての5着完敗だった。まあ使える脚がそんなに長くはないんだけど、L2最速の中で要所でしっかりと動けていたのは良かったね。ただ結局ロンスパ気味になったのでコーナーで押し上げる余裕がなく内で我慢したけどあの位置からだと一足で面倒見切れない。序盤での反応だけならアンビシャスにも見劣らなかったけどね、L1で伸び切れるかどうかがこのクラスでは重要。ましてここまで早い段階で流れちゃうとね。まあこの馬辺りでもそこそこ食い込めているので向う正面の激流で無視していた中団以降が有利な展開だったのは間違いないと思うし、この馬も向う正面でのペースアップが緩い中で外から押し上げていく形ならもうちょっと面白かったとは思うんだけど。まあ最序盤が緩かったから脚を溜めればこれぐらいは使える馬。
7着ロゴタイプは3番枠からまずまずのスタート、好発のマイネルラクリマを行かせて外に出して2列目の真ん中に入り切る。道中どういう競馬に持って行くかなと思ったがやや消極的な競馬になりブレーキをしているうちに外からラストインパクトに前に出られて2列目。前の激流に合わせる形で2列目外から勝負に行く。3角で前がペースを落とす中で先頭列の外に並びかけに行く、4角でラストを目標に進めながら直線に入る。序盤でドゥラメンテ相手に抵抗、ラストとの差も詰めていたがL1で甘くなって失速、完敗となった。まあ前述のとおり前の集団についていく形なら6Fのロンスパに巻き込まれたわけだし、そのうえでコーナーで息を入れようにもここでフラットに進めて取り付いてきた後続ということを考えればロスが大きかったね。まあ上手くいかないにしてももうちょっと主体的にレースを作るぞ、っていう意識が田辺にはほしかったかな。そこは不満がある。展開的に見てもL6で11.6、L5が11.3でかなり速いラップを要求されながらコーナーに入って小回りの中山だと11.3とトップスピードに近い速度で入ってくると流石に減速しちゃうし、11.3-11.6-12.0の地点を無理なく11.6-11.6-11.6辺りでフラットに進めてきた方が11.1の地点でもトップスピードに乗せやすいという点も含めて楽に決まっているからね。自分で主体的にレースを作った結果なら仕方ないけど、巻き込まれる形でこうなっちゃったのは不満かな。馬に関しては向こう正面で行くなら行く、控えるなら控えるができていたらまた違ったと思うけど、ひとまずここまでのロンスパになってしまうと辛い。もちろんラップ的に見れば2段階加速にはなっているんだけど、L5がかなり速いしコーナーでかなり緩んでいるので後続がコーナーで押し上げちゃう余裕を作らせる競馬になったからね。ここまで崩れたのはその辺が悪い意味で噛み合いすぎた感じ。まあイスラやこの馬にとってはかなりつらい展開になったと言っていいと思う。
9着イスラボニータは出負けしてリカバーの意識も小さく中団外になる。道中は諦めてドゥラメンテの直後から追いかける競馬を選択。3~4角でも外々からドゥラの直後を取ろうとするがコーナーで置かれて直線ではもう後方に下がってしまう。そのまま伸びあぐねての完敗となった。まあ出負けした段階でこの馬の武器は捨てたようなもんだから仕方ないな、というところだしロンスパになり過ぎてついていってもう一足というのがなかった感覚。4角で動くだけの余力がなかった感じで、後ろで無理をしなかったとはいえL6から11.6というような流れでは如何とも、というところ。ここもL2最速だしもうちょっとスッと動けてほしかったんだけどな。この辺りは右回り、左回りの巧拙が意外とあるかもしれない。この馬に関しては昨年の中山記念もそうだが追い切りが微妙だったのもあって、判断が難しいんだよなあ。皐月賞馬だけど、皐月賞は比較的仕掛けが早い流れだったし。府中巧者というのも左回りから直線で加速するというのが噛み合っているのかもしれない。まあ今回は出負けも響いたし展開も良くなかった、追い切りも微妙だったのでまだ何とも言い難いんだけど、一応右左での加速の巧拙は考えた方が良いかもしれないというレベルかな。
前走は実績のない左回りということが響いたのか8着と全くいいところがなかったパワースラッガー。今回は一転して右回り、しかも4戦3勝と相性のいい中山芝1600m。昇級して2戦目でペースの慣れも見込める今回は前走以上のパフォーマンスを引き出せるはずだ。
式別:三連複
方式:フォーメーション
1頭目:7
2頭目:4.5
3頭目:3.4.5.6.8.9.11
組み合わせ数11点
投資金額各100円
的中配当:2,860円 回収金額:2,860円
競馬情報サイトはいろいろ試してきましたが、、
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