2016 3/5(土) チューリップ賞(GIII) 阪神芝外1600m
出走予定馬一覧
【チューリップ賞2016出走予定馬の中から注目馬は?】
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名繁殖牝馬エリモピクシー産駒、エルフィンSで強烈な切れ味を引き出したレッドアヴァンセが武豊とともに桜花賞トライアルのチューリップ賞に出走予定だ。ポジションを取りながら伸び切れなかった2戦からここ2走は一転して追い込みに転じて鋭さを引き出す競馬。強烈な切れ味で一気に連勝し台頭してきた。2歳戦線でメジャーエンブレムと戦ってきた各馬を相手に武豊とともにデムーロの重賞連勝ストップの使者となるか。
ミルコ対武豊という構図を二日連続結構面白い形で見られるなと。ただ、個人的にはこのチューリップ賞は馬にちょっと不安があるので、ここをクリアできるかどうか。その点では弥生賞のエアスピネルに比べると、馬自身が課題と向き合う必要はあるかもというところ。
まずは未勝利勝ちから振り返る。京都芝内1600m戦で良馬場、ペースバランスは47.6-47.5とここではへいきんペース、ただ中弛みがあったことと12.2 - 12.4 - 11.9 - 11.7 - 11.5とL1最速の流れになっているようにレース全体の仕掛けそのものが遅れたというのもある。その中で8番枠から出負けして最後方近くからになったのもあって無理せずに後方でジッとして進める形になる。中盤の中弛みで凝縮する中で後方の大外を追走。3~4角でじわっとは加速していく流れにはなるが速いラップとは言えない中で中団まで押し上げてくる。序盤でそこからグングン伸びると、L1ではもう流す余裕があったという感じの完勝だった。L1の段階では先頭列に近い位置にいたし、L2の地点ではカメラワーク的にわかりにくいがそれでも4馬身は確実にあったという中で考えればL2最速で11.1辺りは最低でも使ってきているはず。11.1-11.4として逆算すれば11.4-11.1-11.4という形で3Fをまとめてきたと判断したい。まあ多少の誤差は当然あると思うが大枠で見ればL2最速でトップスピードを引き出してきたということだろう。ただ、この馬自身の1000通過は逆算すれば61.2になるので当然これはかなり遅い。新馬、未勝利は勝負所で動けなかったのが響いているのは大きいので一概には言えないが、基礎スピードの幅を見せたというより、前半無理をしないことで後半のトップスピード面を引き出してきたという感覚が正しいかなと。それと、これまで動き出しのタイミングで置かれていたのでミルコが早い段階で前を向いてという競馬にシフトしたのも噛み合った印象。
前走のエルフィンSはもうちょっと流れるかなと思ったんだが、全然流れなかったので心配は杞憂に終わった。京都芝外1600m戦に変わったが、ペースバランスが49.4-46.8とかなりのスロー、13.1 - 12.7 - 11.6 - 11.2 - 11.3のラップ推移的に見てもわかるように仕掛けどころも遅く実質的には超スローレベル。大外11番枠から五分には出たが下げて最後方近くという形で脚を溜める。道中もかなりのスローなんだがそれでもじわっと手を動かしつつもポジションは上げずに3角。3角の下りでも前がペースを上げない中でまだ我慢、4角で凝縮してきたところで大外を回しながら勢いを一気につけて直線に持って行く。直線序盤の11.2の地点で一気に大外から伸びてきて先頭列の直後、L1でそこから粘るダイアナヘイローをしっかりと捻じ伏せての完勝だった。ここで大外ぶん回して凄いなとなるんだが、3~4角は12.7-11.6と上がり切っていないし最速地点は直線序盤になる。この馬のラップを推測すればL2の最速地点でスパッと切れたのは明白で、4馬身近くはあったと思われる中で1馬身差には詰めてきた。ここで恐らく10.7~8は使ってきているし、L1で1馬身差を差し切ったので恐らく11.1辺りでまとめてきた。となれば概ねだが11.4-10.8-11.1辺りのラップ推移を踏んできたかなというところ。まあこれも概算になるが、L3ではトップスピードに乗っていない感覚で、3F勝負の中で前が仕掛けを遅らせるタイミングでワンテンポ早めに仕掛けて切れ味を直線序盤でしっかりと引き出す競馬ができた、という感覚かな。
今回は阪神のマイル戦に変わるので、この辺りが微妙にどうかな、というところはある。ただラップ分析から見ればこのレースは平均ペースぐらいにはなりやすいが中弛みは普通に起こりやすいレースだし、その分仕掛けも遅くなりがちなので、どちらかというと3~4角で外から押し上げていくタイプの方が後ろからなら戦いやすい傾向ではある。加えて言えば今年は例年より幾らか軽い。ペースも上がり切らず、仕掛けの意識も上がらない中でここ2走のような積極的な動き出しで緩い地点でトップスピードに徐々に乗せていく競馬ができれば切れ味はこのメンバーであれば一番かなと(デンコウアンジュが面白いが)。血統的にもレッドアリオンに近い印象で、前半に無理をすると鋭さを削がれる可能性もあるし、その点では桜花賞までいくと流石にペース的にどうかなとは思うが、チューリップ賞までなら3~4角で緩むだろうし基礎スピード面の不安もそこまで不安視する必要はないかな。とはいえ、このレースは基本的に前々からTS持続力を活かすタイプが粘り込むレースではあるのでハープスターやブエナビスタといったレベルの質量ともに爆発力のある追込み馬でないと勝ち切れない中で果たして終いだけで呑み込めるのか。この辺りはやはり懸念すべき材料ではある。一瞬の切れ味はかなりのものだが、ブエナやハープスターほどの世代トップ間違いなしと言い切れるほどのTS持続力があるとは思わないのでそこはポイントだろう。メジャーは別格ではあるものの、個人的には2番手グループも結構ハイレベルだとは思っているので展開次第では危うさも出てくるかもしれない。いずれにせよ中弛みがあって仕掛けが遅いという展開が噛み合えば直線序盤の最速地点でキレを引き出せるだろうと。そういう競馬が理想だと思う。
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