2016 6/5(日) 安田記念(GI) 東京芝1600ｍ
予想用・出走予定馬一覧！
昨年は札幌記念を制すなど中距離路線で第一戦の活躍、今年もアメリカジョッキークラブカップを制し７歳にしてまだまだ衰えを知らぬディサイファが武豊とのコンビでマイルGI安田記念に出走予定。今回は流石にチャレンジャーの身として挑むことになるだろうが、脚を出しきった時のしぶとさは一級品は間違いない。対モーリスのダークホースとして人馬ともに不気味さあふれるコンビが府中を沸かせるか。
流石にマイルの高いレベルで対応できるかは未知数な面も強いが、それでもこの馬は1800路線では基礎スピードの幅をしっかりと見せてきているし、昨年の札幌記念でもハイペースの中で先行策で押し切る競馬。マイルでもマイペースを保って後半の良さを引き出せればというところ。昨年のエプソムCではサトノアラジンと内容的には互角以上と言ってもいいレベルの競馬をしてきているし、後半要素でモーリスを破る可能性は秘めていると思う。あとはマイルがどうかだ。
まずは２走前のアメリカジョッキークラブカップを振り返る。中山芝外2200ｍ戦で良馬場、ペースバランスも60.8-59.2と明確にスロー、ラップ推移は12.0 - 12.0 - 11.8 - 11.6 - 11.8 - 12.0と徐々に加速しつつL3の４画が最速のポテンシャル戦である。３番枠から五分に出てそこからじわっと先行策、ある程度前に出てから外の各場を行かせて好位の内々でという競馬に徹する。道中もしっかり通り合いながら３列目のポケットで我慢、３角で前の馬の手応えが悪いので外目に誘導しつつ仕掛けを待つ、４角でヤマニンボワラクテの内から捌ききって３列目で直線。序盤であっさり２列目から突き抜け、L1で逃げ馬を捕らえて抜けだしての完勝だった。３角は上手くロス無く立ち回り、４角で外に誘導しつつという競馬で勝ちにいったがしっかりとねじ伏せるポテンシャルの高さを見せた。相手関係も楽な方だったと思うが、それでも2200ｍでスロー、ポテンシャルだけでも楽にGIIを勝てているように距離の上限に関してはもうちょっとやれそうな感じもあった。
もともとは昨年の札幌記念の勝ち方が示す通り厳しい流れにも強い馬。札幌芝2000ｍ戦で良馬場、58.9-60.1と１秒ちょっとのハイ、12.0 - 11.9 - 12.0 - 12.1 - 12.1と完全なポテンシャル戦。基礎スピードをかなり高いレベルで要求され、先行馬は苦戦していた中でこの馬が勝ち切った。相手関係を考えてもこれは評価しないといけない一戦だ。11番枠から五分のスタート、しっかりと流れに乗って２列目でまずは進めていく。１～２角で２列目の外というポジションを取り切り縦長の競馬の中でハイペースの流れに乗っていく。３～４角で後続も動き出してくる中で２番手で一つ外から先頭に並びかけに行ってムチが入って直線。序盤で逃げ馬を捕らえて堂々先頭だが強敵が内外から強襲、最後はヒットザターゲットが決定的な追込を見せるがこれをなんとかしのいだ。どう見てもハイペースだし、後続も脚を出しきるには格好の展開。ヒットザターゲットが３～４角を完璧に立ちまわって直線での破壊力に繋げてきたが、こちらは前後半全てにおいて厳しい流れを外で勝ちに行く形で立ちまわってきているわけで、この勝ちは着差以上に評価が必要である。また59秒を切る流れに先行して対応できているように基礎スピードの高さを確実に見せてきた。
1800ｍ戦で印象的なのはやはりエプソムCになるかなと。毎日王冠でもいいが、エイシンヒカリとの比較だけでなくサトノアラジンとの比較もできるので。東京芝1800ｍ戦で良馬場、47.5-46.2とこれもややスローの中で11.7 - 11.6 - 11.2 - 11.2 - 12.2と後半のTS持続特化に近い競馬だが３～４角の段階でも11秒半ばに入っていて後半5Fで57.9と58秒を切ってきているようにかなり高いレベルのTS持続を要求された。12番枠から五分に出て枠の違いもあり下げて後方外。３角の段階でも外を回すはめになり、４角で外から仕掛ける形で直線を向くが直線入り～L2の上り坂でもジリジリとは伸びてくると、L1で強襲して最後まで差を詰めてサトノアラジンを詰め寄っての３着だった。上位のエイシンヒカリ、サトノアラジン、４着のフルーキーまで含めて３～４画は最内を立ちまわっている中でこちらは３頭分は外で終始入っている。このロスはかなり響いたと思っているので、少なくとも後半要素だけで判断すればサトノアラジンとは逆転可能なTS持続力を見せているといえる。1800～2000路線では現役でもトップクラスと言っていい。
が、この馬の課題はやはり高いレベルではギアチェンジの性能がやや低いところにある。負けパターンが金鯱賞だったり天皇賞秋、もっと言えば前走の日経賞のような負け方で、緩い地点から加速させていくまでの家庭は遅いのである。この３走はざっと振り返るが、金鯱賞は中京2000で12.3 - 12.0 - 11.8 - 11.1 - 12.0とL2最速、11.8-11.1とギアチェンジ戦の中で２列目ポケットで置かれてからL1でジリッと伸びてという競馬。秋の天皇賞も60.6-57.8とどスローで12.2 - 11.6 - 11.3 - 11.1 - 11.6と段階的ではあるがそれでもL2最速、坂の地点での加速を問われたが、１番枠から中団の内々、追い出されたが反応乏しくL2の上り坂でもジリジリ、L1でも雪崩れ込む程度には足を使ったが詰め切れず外差しの勢いに完敗。まあこの時の府中は基本外差し有利だったので内目だったのも響いたが、それでも完敗だった。日経賞はペースバランスを出すまでもなくどスローで13.2 - 12.4 - 12.2 - 11.8 - 10.9 - 11.2と２段階加速だが仕掛けのタイミングが遅すぎた。逃げたのは良いが仕掛けを待ちすぎて直線序盤でキレ負、L1まで下がってしまっての完敗だった。まあこういった瞬時の加速が要求されると脆いのはこれまでも見せてきている要素である。
その点を考えるとひとまず安田記念は適性的には面白い。今年は頭数も少ないので例年の傾向をそのまま鵜呑みにはしない方がいいが、基本的には流れる傾向、仕掛けも早い傾向である。この馬としてはエンジンの掛かりの遅さをフォローできる競馬にはなりやすい。それと、この馬はパフォーマンス的に見ても金鯱賞のように仮に総合力勝負になっても60秒を切って平均ペースの中での競馬なら他が基礎スピードで苦しむ分だけ対応できている。1800～2000でも秋店ではドスローで崩れているように前半の要素がある程度問われたほうが良いのは確かかなと。その点ではマイルへの短縮でも対応できる可能性は十分に秘めていると思うし、タイプ的にも厳しい競馬で良さが出てきているのでマイルの距離が噛み合えばチャンスは有るだろうと思う。ただ、モーリスのTS持続力も相当なレベルで、サトノアラジンやフィエロあたりマイルCSでも４角最速地点で外を回しながら寄せ付けない競馬ができている。モーリスを差すのはまず難しい。戦うのであればやはりモーリスより前、モーリスより先に仕掛けての粘り込みを狙うしか無いだろう。出足は速い馬だがマイルでどこまでやれるか。個人的には確実に動けるイスラの直後、モーリスより前というポジションになれば理想的かなと。安田記念の場合仕掛けどころ自体は早くなりやすいし、ややスローぐらいからのTS持続特化戦になればチャンスは出てくる。逆に仕掛けのタイミングを前に支配されて遅らされると仕掛け遅れは致命傷になるだろうと。特にイスラやクラレントなんかは瞬時のギアチェンジの性能が高く、ロサギガンティアも機動力が高い。これらが前々でモーリスを封じ込めた形になった時に巻き込まれると…というところだ。モーリスはあくまで瞬時に動けるエイブルフレンド比較で見劣った感じだし、それよりもギアチェンジは足りないと思うので、モーリスより仕掛け遅れのリスクは大きいだろうと。とにかくTS持続戦になることが望ましい。イスラの直後が３列目のポケット、あるいは各馬がモーリスを封じ込めに掛かるなら好位外から仕掛けで先手を打てるというような展開になればというところで、モーリスとの位置の関係と展開、この馬のマイル適性次第では、サトノアラジンとのTS持続力比較で見てもワンチャンスはあるかなと思う。モーリス絶対という雰囲気の中で一歩早く動くイメージを持てれば。その点ではダービーのエアスピネルで勝負を賭ける仕掛けを見せた武豊とのコンビと言うのはやはり面白い。
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