5月29日(日) 2回東京12日目10R 第83回日本ダービー(G1)(芝2400m)
2013年に生を受けたサラブレッドの頂点を決める争い日本ダービー(G1)。3強対決と謳われた皐月賞では2着に甘んじ、その勝ち馬ディーマジェスティを混じえ、雌雄を決する“新4強対決”を見事に勝利し、第83代ダービー馬に輝いたのはマカヒキ(牡3、栗東・友道厩舎)だった。
過去10年でも6頭の勝ち馬を輩出している1枠にディーマジェスティが入り、Cコース替わりの馬場傾向もあってか、下馬評よりも人気が集中。同2着のマカヒキは3番人気と支持を譲った。しかし、レースではマイネルハニーが逃げたことで、2枠3番からのスタートとなったマカヒキは楽々と絶好のインを確保。その外にサトノダイヤモンドが併走し、1枠のディーマジェスティでさえラチ沿いを通らなかったことからも、この位置どりは最後にモノを言った。マカヒキは終始、ラチ沿いでパワーを温存できたのだ。
「ゲートを上手に出てくれて、位置もしっかり取れました」とは川田将雅騎手。直線を向いても、なかなか前が開かなかったが、前を行くエアスピネルとサトノダイヤモンドの間にスペースができた瞬間に一閃。あっという間に先頭に躍り出ると、負けじとサトノダイヤモンドが猛追。ゴール前は2頭の死闘になったが、追撃を凌ぎ切った。
「前走もゲートは上手に出ていましたが、少し気を遣った競馬をしてしまった分、勝てませんでした。斜め前のサトノダイヤモンドを見ながら運んで、4コーナー辺りではディーマジェスティも近くにいましたが、マカヒキは狭いところを割って伸びてくれました。最後は届いてくれという思いでしたよ」と殊勲の鞍上。デビュー13年目の戴冠に涙をみせた。
容姿からも父ディープインパクトを彷彿とさせるという呼び声も高いが、デビューからここまでに歩んできたレースは全く同じ。クラシック第一冠こそ手に出来なかったが、ダービーは父子制覇。その孝行息子を友道康夫調教師はこう評した。「今のところは何の欠点もない、最高の馬ですよね。特に素晴らしいのが精神面。今までこんなに落ち着きがある馬は、管理した中では見たことがないですよね」
戦前の段階で、同世代のライバル同様、日本競馬界の悲願でもある凱旋門賞(G1)にも登録しており、秋の動向に焦点が集まるが「(レース後に)オーナーと相談していないので」と前置きしつつも、トレーナーは「3歳で斤量の差もありますし、輸送があったとしても、このメンタルですからね」とトレーナー。さらに今年はシャンティイ競馬場で行われる点を問うと、「よりチャンスがありそうですね」と腕をぶした。
もちろん秋の海外遠征が決定したわけではないが、ハイレベル世代を極めた実力を思えば、更なる夢を託してしまいたくなるのも事実。13万人超の歓喜のるつぼの中心にいた、6913頭に一頭の逸材の物語は、まだ始まったばかりだ。
*競馬ラボより抜粋
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