2016年5月30日月曜日

長丁場は乗り役と馬が喧嘩をしないことが大事

次は、目黒記念だね。

クリプトグラムは、道中は中団よりもやや後ろ、2着のマリアライトのすぐ後ろにいたんだけど、(福永)祐一があの馬をマークしていたのかどうかは分からない。長丁場で大事なのは、馬と乗り役が喧嘩をしないでリズム良く運ぶことで、その通りの競馬ができたのが一番良かったんだろうね。もちろん54キロの軽ハンデも効いているし、すごく素直で折り合い面の問題はなさそうな馬。そして、それほど切れる脚を使える感じもないだけに、しぶとさが生きるこの距離も合っていたんでしょう。まぁ、その気になれば前に行けそうだから、もっと短い距離でもある程度の位置から流れ込む競馬ができればいいんじゃないかな。あとは、別定戦、定量戦で周りと同じような斤量を背負ってどこまでやれるかがカギになりそうだね。

マリアライトは、1コーナーで外から寄られる不利はあったけど、すぐに立て直して中団で流れに乗れていたよ。ペースが遅かったから3~4コーナーで徐々に上がって行った(蛯名)正義の判断も良かったと思う。直線の追い比べで負けたのは、2キロのハンデ差が出たからじゃないかな。斤量を余計に背負っていたうえで、勝ちに行く競馬をしてクビ差の2着。交わされてからもゴール前で差し返すような脚を使っていたんだから、全然悲観することはないと思うけどな。2カ月ぶりの今回をひと叩きして、次はもっと動けるようになると思うよ。

ヒットザターゲットは、中団のインでジッとできていたように、一切ロスのない競馬ができていたよ。最後の直線でも追い出しをギリギリまで我慢して、開いたスペースを突く完璧な競馬。去年、このレースを勝った時とまったく同じ競馬ができても抜け出せなかったのは、5カ月のブランクがあったから。58キロのトップハンデも背負っていたしね。このひと叩きでどこまで良くなるかだけど、年齢的にそう大きくは変わらないだろうから…。それに、調教ではいつもトモが開き気味の走りで、追い切りだけだと調子の良し悪しが掴みづらい馬だからなぁ。次も走れるかとなると何とも言えないよ。

レコンダイトは、勝った馬と同じような位置取り、インコースを通ってロスもない競馬ができていたんだけど、動きたいところで動けないのは相変わらずだね。2走前の中日新聞杯(3着)の時と同じで、4コーナーあたりで豊がゴーサインを出してもモタついちゃうんだよ。後手に回ったぶん、最後の直線ではゴチャついた所に入る羽目になる。まぁ、そこも器用な脚があれば抜け出せるわけで、いずれにしても決め手が足りないとしか言いようがないよなぁ。調教でもトモの蹴っぱりがイマイチだから、その辺が良くなれば変わるかもしれないけど…。

モンドインテロは、好位で流れに乗れていたし、直線でもうまい具合に前が開いたのに、追ってからがだらしなかったね。調教でも追われると首を硬くしていたんだけど、競馬に行ってもそういった面が出ちゃうみたい。乗り手に反抗する気難しいところがあるんだろうなぁ。追い出しをギリギリまで我慢していたらキツそうだから、早いぐらいの仕掛けでちょうどいいかも。3コーナーあたりからゴーサインを出して、馬をその気にさせておいた方がいいかもしれないね。

タッチングスピーチは、いつも後ろめからジックリ行く馬ではあるけど、今回はずいぶん道中の行きっぷりが悪かったね。最後は差のないところまで詰めて来ているから、体調面の問題ではなさそうだしなぁ。調教では力強さはある反面、体の使いはイマイチ。気分良さそうに走れていなかったあたり、女馬特有の気難しさ、繊細な面が出てきているのかも…。女馬が一度スランプに陥ると立ち直るのには時間が掛かりやすいもので、完全復活となるとそう甘くはないかもしれないね。

スーパームーンは、道中は休み明けのせいか気負って走っていたね。ペースもペースだから余計に行きたがっちゃったんだろう。これが2000mあたりなら粘れたのかもしれないけど、長丁場だからさすがに最後は苦しくなったみたい。まぁ、このひと叩きでガス抜きができれば、次は変わるんじゃないかな。



see more info at 元騎手・坂井千明の乗り役流儀~騎手にしかわからないことが、ある。~