レースは好発を決めた大外のケイティブレイブが内の面々の出方を見ながらジワリと大方の予想通りにハナへ立つ。
2番手にストロングバローズがつけ、直後のインにダノンフェイス、真ん中にキョウイエギア、愛知のカツゲキキトキトが外とほぼ横一列で3~5番手を進み、人気のゴールドドリームはその半馬身ほど後ろの6番手の外のポジションからの競馬、東京ダービー馬バルダッサーレはゴールドドリームの1馬身半差の馬群のちょうど中団の7番手をキープ。
快調に逃げるケイティブレイブは向う正面に入ると後続に4~5馬身差をつけており、大逃げを打っているように見えるが2ハ過ぎからは12秒5-12秒8-12秒7-12秒7と12秒半ばから後半のラップと見た目よりも案外楽なペースでの逃げ、残り1000M手前でバルダッサーレが動いて一気に先団に取り付くと2番手のストロングバローズも併せて動いてケイティブレイブとの差を詰めたが、3角過ぎにケイティブレイブが振り切りにかかり再びリードを3馬身ほどに広げて直線へと入る。
リードを広げて逃げ込みを図るケイティブレイブに外を通ったキョウエイギアがジワジワと差を詰め、残り200を過ぎた辺りでケイティブレイブに並び掛けると力強く抜け出して2着に4馬身差をつけてゴールした。
勝ったキョウエイギアは中央準OPから船橋へ移籍、8番人気の低評価を覆してエンプレス杯を制したローレルアンジュの息子の青森県産馬、これまでは好位追走から早目に動いて押し切りを図るパターンが多く、ゴール前で渋太い脚を使うも決め手の差で他馬に交わされるケースがあったが、今回は通常は動く3~4角で敢えてガマンを決め込み直線に入ってから追い出しを開始した事が奏功して息の長い脚を使って完勝とヤネの戸崎騎手がテン乗りのハンデがありながら馬の持ち味を把握、それを全て引き出した好騎乗がキョウエイギアを勝利へ導いた。
2着のケイティブレイブは名手武豊らしい絶妙のペースに持ち込んでレースの主導権を握り、後続が差を詰めて来た3角過ぎにスパートしセーフティリードを保ったまま直線へと入り、残り200まで先頭を譲らなかったが、最後はキョウエイギアの末脚に屈して4馬身差の2着。
前走の兵庫CSを見ても判るように現状は逃げる形がベターだが、これまでワンターンのレースで連対していないようにスピードに任せて逃げるタイプではなく、息を入れながら逃げるツーターン向きのタイプで、今回は他馬に早目に来られて3角でスパートした分だけ最後粘れなかったが、自分の持ち味を発揮して完全燃焼した印象。
3着のゴールドドリームは中団よりやや前の外6番手から追走、向う正面の入ると内へと進路を取って進出を開始するが思ったほどポジションを上げる事は叶わず、直線に入ってもジリジリと伸びただけで前を行く2頭を捕らえるどころか、いったんは完全に交わしたバルダッサーレの追撃を半馬身しのいで3着を確保するのが精一杯だった。
戦前に指摘したように小脚が使えないタイプでツーターンの競馬では道中で済し崩しに脚を使わされてしまい脚をタメる事が出来ないからワンターンの競馬と違って直線でジリジリとしか伸びないと云う印象。
4着のバルダッサーレは馬群のちょうど中団の7番手から追走し東京ダービーと同じく残り1000M手前で動くと3角では先頭を行くケイティブレイブを射程圏内に入れる2番手まで進出したが、マクリ切って4角で先頭に立った東京ダービーと違って今回はケイティブレイブに振り切られたまま直線へと入り、2番手グループの4頭横一列になっての叩き合いで真っ先に脱落しいったんは5番手まで下がるも、東京ダービー馬の意地を見せてゴール前で再び盛り返すとダノンフェイスを交わして3着のゴールドドリームに半馬身差まで迫る4番手に上がる事に成功した。
東京ダービーとほぼ変わらない2分07秒フラットで走破している事から力を出し切ったと判断出来るが、これまでダートで唯一負けた1戦はブリンカーを外している事から気性面に課題があるタイプの可能性があり、東京ダービーのように一気にマクり切れば自分の力以上のパフォーマンスが発揮出来るが、今回のようにマクリ切れないと案外に終わるタイプなのかも知れない、それでも一杯になりながら最後盛り返したのは気性面の激しさが闘争心に変換されたからと思え、気性がコントロールされるようになれば今後の活躍が期待される存在。
5着のダノンフェイスは終始インコースをキープして追走と道中極力ロスの無い競馬を試みた事が奏功して直線入り口で最内を突いて2着争いに加わるも、最後はジリジリとしか伸びずゴール前でいったんは交わしたバルダッサーレに差し返されて掲示板の端に載っただけの結果。
これまでワンターンのマイルまでしか経験が無いが、今回は距離延長とコーナー4つの競馬に対応して入着したのだから及第点のレース内容かも知れないが、母のアイアムカミノマゴは別として3歳の秋には売り切れる馬が多い一族だけに今後の活躍に関しては疑問符が付く。
2番人気のストロングバローズは好発を決めて道中は2番手からの追走も、直線では早々に手応えが怪しくなりズルズルと後退、勝ち負けどころか愛知のカツゲキキトキトに5馬身も離されて大井のキーパンチャーに辛うじてクビ先着しただけの7着と云う不可解な結果、軸馬の不甲斐ない惨敗にはただ唖然とするだけ・・・
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