月曜恒例の重賞回顧を始めよう。まずは、土曜のスワンSからいこうか。
サトノアラジンは、ゲートの出はイマイチだったんだけど、この馬のリズムを守る形で終い勝負。平均的なペースで流れたように、決め手のある馬に有利な展開。溜めれば1箇所は脚を使えるこの馬向きの展開になったのが良かったんだろうね。トビの大きな馬で少しでもブレーキを踏むとエンジンを掛け直すのに苦労する馬だから、ゴチャつきやすい内に入れないで外を走らせたのも良かったんだと思うよ。そういうタイプだけに、もう少し長い距離、マイルの方がノビノビ走れて競馬がしやすくなるだろうけど、やっぱり今回のようにリズム良く運べないとキツいはず。マイルCSでも自分の競馬ができるかどうかがカギになるんじゃないかな。
サトノルパンは、1200mでも行きたがるところがあるだけに、1400mの今回も行きたがって和田がなだめるのに苦労していたね。でも、内枠を利してインでなんとか我慢しつつ、4コーナーからはノビノビ走れる外へ持ち出している。折り合いに苦労したなかでも、和田がうまく乗っていたと思うよ。これでピリッとした脚があれば勝負になるんだけど、追ってからがジリっぽかったからなぁ。スローペースで瞬発力勝負になっていたら、切れ味のある馬に交わされるか、前の馬に残られて2着はなかったかも。そもそも今回以上に折り合いに苦労していたかもしれないし…。あくまでも展開、折り合い次第になるだけに、アテにはしづらいよね。
ハナを切ったエイシンスパルタンは、ペースを落とし過ぎず、速過ぎず、平均的な流れで引っ張っていたね。後続に脚を使わせるような逃げを打っていたように、岩田がうまく乗っていたと思うよ。とはいえ、調教の動きは物足りなくて休み明けの影響があったと思うから、これだけ走れれば上等だろう。状態面が上向けばもっと頑張れそうだし、オープン、重賞でもやれるメドは一応立ったといえるんじゃないかな。
デキが良さそうだったムーンクレストには、もっと積極的な競馬をしてほしかったのが正直なところ。昇級初戦で挑戦者の立場だっただけに、余計にね。スタートが良くてすぐにいい位置に付けられたのに、ペースが落ち着いた時にもジックリ構え過ぎたあまり、位置取りが下がっていたでしょ? 体全体を使って走る馬でもあるから、レースの流れに乗せて走らせた方が良かったと思うんだよなぁ。後手に回ったぶん、4コーナーで外へ持ち出す羽目にもなったしね。最後は伸びて来ているだけに、ちょっともったいない競馬になっちゃったよ。まぁ、チグハグになりながらもそう大きく負けていないし、乗り方次第ではこの馬もオープン、重賞でもチャンスがありそうだね。
アルビアーノは、レースの流れに乗れていたのに、直線で追い出してちょっと脚を使っただけで止まっちゃったね。調教ではいい走りだった割に思ったほど時計が出ていなかったように、休み明けの影響があったんじゃないかな。直線半ばまでのレースぶりは悪くなかったから、このひと叩きで変わってくれると思うよ。
フィエロは、スタートで躓いて、位置を取りに行ったぶん、テンからハミを噛んで戸崎が抑えるのに苦労していたね。スタートからリズムを崩して、この馬の競馬ができなかったのが響いたんじゃないかな。まともならこんなに走らない馬ではないし、今回の結果は参考外。スタートを決めてスンナリ運べれば巻き返してくれるでしょう。
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