2016 11/6(日) アルゼンチン共和国杯(GII) 東京芝2500ｍ
予想用・出走予定馬一覧
地方のＪＢＣデイが今週開催されるが、中央も負けていないラインナップ、ステイヤー路線の重鎮が一堂に会した今年のアルゼンチン共和国杯、その中でも阪神大賞典で圧倒したシュヴァルグランが注目の出走予定馬だ。何といっても騎手は福永祐一、友道厩舎、そして馬主は佐々木主浩氏、そして半妹には秋華賞を制覇したヴィブロスと話題性にあふれる組み合わせだ。相手は揃った中で58kgトップハンデタイは簡単ではないが、 ここで強さを証明したい。
アルゼンチン共和国杯を予想する上ではハンデ戦でもかなり豪華な出走予定馬ラインナップ。この辺を考えても一筋縄にはいかないとも思うんだが、それでもステイヤー的な競馬をして春は確実にこの路線でもトップレベルの競馬ができると感じさせられた。目標はもうちょっと先だと思うが、楽しみな一戦だ。
ひとまずは今年の阪神大賞典を振り返る。当時は超高速馬場が続いていたのだが、この日は雨の影響があったので幾らか時計が掛かっていた。ペースバランスも61.6-64.4-59.8と前半はやや遅く、中盤はそれより緩んだが極端ではないという感じ。まあ総じてみても明確にスローだといえるし、ラップ推移を見ても13.3 - 12.6 - 12.3 - 11.9 - 11.6 - 11.6 - 12.4と中弛み気味からの再加速、じわっと加速していく形で４Ｆ戦、Ｌ１は落としたという形。11番枠から出負けして無理せず、しかし下げ過ぎずにじわっと中団という感じ。最序盤はそれなりには流れていたので中団の内目で我慢しながら、それでもスタンド前では前にスペースを置いて多少は力んでいたもののスペースを潰さず折り合うことができていた。向こう正面で徐々に加速していく中でじわっと動きだすイメージ、３角で各馬が更に動いていくという中で外からタンタアレグリアを目標にしていたが主体的に外から動いて仕掛けていく。４角で一気に２列目まで押し上げて直線。序盤でタンタアレグリアを振り切って堂々と先頭に立つと、Ｌ１の坂の地点でもタンタを引き離して最後までメンバー中で一番いい脚を維持してきた。この辺からも基本はポテンシャルが非凡、というところにある。なので典型的ステイヤーという感じの競馬だったとみていい。スローの流れである程度の範囲で折り合えていたし、後半の良さを引き出せる余力があればこれぐらいはという競馬をしてくれたと思う。タンタアレグリアはこの路線では良い物差しになっていると思うが、これを横綱競馬で後半４Ｆ戦での２馬身半は立派。もうちょっと早めのロンスパだったらもっと差は広がっていたかなと思う。文字通り完勝と言っていい。
天皇賞春も悪くはない３着だった。京都芝外3200ｍ戦で良馬場、そこまで雨の影響もあったし極端な高速馬場ではなかったが、その中でペースバランスが61.8- 74.4（FA12.4）-59.1と前半はスロー、しかし中盤の淀みが小さくハロン平均で12.4は結構特殊。前後半で見れば３秒近いドスローだが、中盤がそこまで落ちていないのは意識したいところ。そのうえでラップ推移も12.6 - 12.7 - 12.5 - 11.6 - 11.4 - 11.7 - 11.9とこのラップ地点の前に若干道中淀みはあったがそれでもトータルで見ればテンの１Ｆを除いて13秒台を踏んでいないのでペースの緩急の幅はあまりなかったかな。８番枠から五分に出てそこからじわっと促しながら勝負に出る中団へのポジショニングというところ。最初の３角で少し窮屈になるがそれでも上手く中団内目は確保。スタンド前では最内のスペースに入っていたし折り合いもついていた。向こう正面でも極端に淀みがない分各馬も動けずに淡々とした流れで３角に入る。３～４角でも中団の最内で我慢しながらの競馬になって４列目で直線に入る。序盤でそこから前のアドマイヤデウスが外に行ってくれたことでがっぽりと進路ができたがそこまで鋭く反応できない。伸び始めたところで外に出してＬ１はジリッと伸びてきて３着を確保した。まあ前のキタサン、カレンを褒めるのが第一だけど、ペースが思ったより淀まなかったことで２列目の仕掛けのタイミングがちょっと遅かったし、そのせいもあって４Ｆ戦までで落ち着いた。コーナーで最速なのでここはうまく立ち回れているし、それでもＬ１で急追できるほどのポテンシャルはなかったというところで、この時点ではキタサンブラックやカレンミロティックを評価する必要があると。まあもちろんこの馬の場合、内内でこういう競馬で器用に走るのが合わないという可能性もなくはないが、レースの流れとしてはＬ３最速、４角で最内ならロスは無く完璧なコース取りだった。
ただ、基本的にトップスピード戦ではそう強気にはなれないというところはある。例えばラップ推移からはちょっとわかりにくいのだが、４走前の日経新春杯なんかはメイショウカドマツが３角手前で動いたことで12.8 - 12.0 - 11.6 - 11.7 - 11.8 - 11.6と４Ｆの中間的な競馬になっているが、恐らく離れた２列目以降はＬ３最速のＴＳ持続戦という感じかなと。その中でレーヴミストラルに突き抜けられた。この馬としては中団外から前を向いてという感じなんだが４角出口からルメールがちょっと怯んだ感じで捌ききれない内に勢いづいたレーヴミストラルに交わされる。Ｌ１までジリッとは伸びたが恐らく４角でペースが上がってここで速度的に苦しくなってルメールが少し下げて内をと意識したのがあったかなと思う。Ｌ１ではしぶとく伸びてきたが質的にちょっと足りないなというのは感じた。スローの後半特化ではサトノノブレスは大した相手ではないのだがこれを捕えるのがやっとという感じではあったと。また基礎スピード面でも無理が利きにくい馬でこの辺りはハーツクライ産駒らしい。前走の宝塚記念では３～４角で前のアンビシャスを当てにしていたらこれが伸びなかったことで詰まって終戦という形だったのでこれはある程度仕方ないし、この一戦でハイペースが必ずしも拙いとは決めない方が良いかもしれない。それでも一応この馬のパフォーマンスを見るとやはりゆったり入って後半長くポテンシャルを引き出してくる形が理想だし、窮極的に見ればトップスピードの質ではちょっと足りないなとは感じる。
今回のアルゼンチン共和国杯では58kgを背負わされる形になるので、ハンデ戦としてはやはり辛い立場である。加えてやはりトップスピードの質的には最上位相手に苦労はしていたのでここでも圧倒できるとは思わない。ただ先週の馬場を見てもそこまで高速状態にはならないだろうから、東京2500らしい展開になればやはり極端でないレベルでスロー、ある程度ゆったり入っての４Ｆ戦ぐらいにはなりやすいので条件としては面白い。この馬は阪神大賞典で坂減速でしぶとく踏ん張ってリードを広げているが、府中適性だと場合によってはＬ２最速、つまり坂の上りで加速が強いられる可能性が出てくる。まあ東京2500ならＬ３最速になりやすいしそんなに気にしなくてもいいかもだが、府中はこれが初めてになるしポテンシャルタイプではあるのでそこも不安と言えば不安要素かな。長距離路線の新星３頭の筆頭格になるわけで、ここで長距離路線の大将格だったフェイムゲームを相手に同斤量でどういう競馬ができるか注目したい。まあフェイムも衰えを感じる面もあるので何とも言い難いけど、東京2500だと結構強い馬だと思うので、その辺りとの比較にクリールカイザーやヴォルシェーブといった器用さを持った馬と展開面含めて色々と考えてというところ。もちろん新星３頭の一頭と言っていいアルバートも出てくるので（ちなみにもう一頭はトゥインクル）、純粋に楽しみなレースになりそうだ。穴目も含めて予想するとしたらかなり難解にはなりそうだが…。そんな中で主役になるだけの器ではあると思うし、後は休み明け初戦、目標が有馬だとすればまだ先、とはいえ賞金も積みたい立場。58kgを背負って未知数の府中でと、なかなか判断が難しい一頭になる。
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