2016年11月2日水曜日

アルゼンチン共和国杯 2016 出走予定馬:アルバート、ステイヤーズSで見せたように出し切れればポテンシャルは一級品

2016 11/6(日) アルゼンチン共和国杯(GII) 東京芝2500m
予想用・出走予定馬一覧
アルゼンチン共和国杯2016の予想用・出走予定馬一覧


 昨年のステイヤーズステークスでは、長距離路線に新時代を到来させる予感となる圧勝を果たしたアルバートが、今年秋の初戦にアルゼンチン共和国杯に出走予定。圧倒的な競馬で突き抜けたステイヤーズステークスの内容からその後は期待もされていたがなかなか結果にはつながらなかった。あの強烈な突き抜けをもう一度となるか。


 ポテンシャル面に関してはまだまだ底を見せていないしもうちょっと上を目指せてもいいはず。ここ数走は恵まれなかったし、ルメールとのコンビはあまり出し切ってくれるイメージがなかったのでそこは良い。ただ結局戸崎なので強気に攻める騎乗ができるかに注目したいかな。府中だと難しいところだが、それでもポテンシャルは最上位だと思うし適度に時計が掛かる今の馬場なら面白いかな。


 まずはステイヤーズステークスからみていきたい。中山芝内3600m戦で内回りを2周するコース。ペースバランスで見ると64.5-101.7(FA12.7)-59.7と中盤が意外と遅くない。最序盤が遅く、そこからカノンが掛かってペースが上がって、13.2 - 13.1 - 12.4 - 11.6 - 12.0 - 11.8 - 11.9と若干緩みはあったもののそれでも中盤以降の最遅で13.3ということになるので、これはステイヤーズSとしては結構淀みが小さい部類。その中で2番枠から五分に出て、そこからある程度促している感じだったがそれでも前に行く感じではなく後方に下がる。そこからもムーアが行ける範囲でリカバーをという感じで進めていって2周目のスタンド前では中団馬群の中ぐらいには入っていく。3角手前ぐらいからペースが一気に上がるが、その中で中団馬群の中目からできるだけ内目を通しつつファタモルガーナの直後ぐらいで、ファタモルが外に行ったそのスペースを突いて2列目に取り付いて直線。序盤でやや狭くなったが捌くことに関しては超一流のムーア、楽に捌いて後は独壇場。ラップを落とさずきっちりと突き抜けての完勝だった。中盤からある程度流れていたし、その中で3角のL4が最速という形なのでその中でムーアができるだけロスを小さく乗ってくれたのは良かった。ただそれでもロス自体がなかったわけではないし、4F戦の中でこれだけ突き抜けた、相手関係を考えてもポテンシャル戦でここまでのパフォーマンスというのは正直驚かされたかな。まあ相手はロスが更にあったが、それでもトゥインクルとの比較でみても圧倒してきたとみていいと思う。出し切る形で良さが出ていて、まあ勿論ムーアが内目を突きながらそれをやってのけたことが良かったわけで、決して内で溜めてそこから動けたという解釈は良くないと思う。3角の段階で既にレース全体が流れていたから加速があまり問われなかった(恐らくこの馬はL2最速にはなると思うし加速自体はしているが度合いが小さいという意)。


 ここから先はそういうイメージというか、直線で鋭く突き抜けた映像的なインパクトをそのまま引きずってしまったかなと思う。最たる例は日経賞。中山芝内2500m戦で良馬場、ペースバランスで見ても65.1-58.5と極端な超超スローである。ラップ推移でみても13.2 - 12.4 - 12.2 - 11.8 - 10.9 - 11.2と2段階加速にはなっているが1段階目でもL5からだしドスローの割には遅いうえに12秒前半とここでもまだ遅いぐらい。そこからの2F戦というようなイメージなので、実質的にギアチェンジの性能を相当問われた格好になる。7番枠からやや出負けしてじわっと促されながらもまず後方から。ドスローで団子状態の中外に出して動く意識は持っていて2角では中団にまでは押し上げる。ただ向こう正面で前がペースを引き上げて1段階目の加速、ここで動くタイミングを逸した感じで捲らずに中団のまま4角で一気に加速という中で明らかに置かれて下がって直線。そこからジリジリとは伸び始めたが置かれたのが決定的な致命傷となっての完敗だった。ルメールらしい感じで後半の競馬になった時に流れをイメージできずに向こう正面で流れたのでそれ以上に動く意識は持てなかった、前に仕掛けどころまで支配されてしまって4角~直線入りで11.8-10.9と中山で1秒の加速でどうこうできるほどギアチェンジは見せていない。実際映像を見ても明らかに置かれていて加速性能の差、と言ってしまっていいと思う。最低限最後伸びてきていてエンジンが掛かればトップスピード面もある程度戦えるが、そこまで持っていくのに少し時間がかかる。


 天皇賞春なんかはスローからの4F戦で12.7 - 12.5 - 11.6 - 11.4 - 11.7 - 11.9というラップ推移。ステイヤーズSに近いともいえるが、後方内内でポジションを取れなかったし、直線で追い出されてからジリジリとは伸びていたが結局3角の段階でのポジションが悪すぎた。ルメールはその辺りのポジションのリカバーの意識が薄くて、本仕掛けと仕掛けまでのバランスのとり方を上手く使い分けできていないしそういうタイプだとどうしてもこういったポテンシャルで勝負したい馬では苦しい。あくまで後ろからだと前の仕掛けに沿った競馬しかしてこないから、ポテンシャルを活かして前より先に仕掛けながらレースを作っていく競馬をしたいこの馬では…というところだろう。ただ戸崎に替わるのがプラスかと言われると戸崎も秋天のルージュバックがそうだったが基本動きが甘い騎手なのでその点でどうかというのはある。まあ京都の長丁場に比べれば今の馬場で府中の2500ならもうちょっとこの馬にとって競馬がしやすくなるかなとも思うが、それでも出し切って何ぼなので多少のロスは覚悟のうえでしっかりと前を向いて入っていけるポジションを取ってほしいかな。今の馬場なら極端なトップスピード戦にはならないと思うし、まあそういって天皇賞秋はドスローになっちゃったから難しいんだけど、スローならスローで早めの動き出しになりやすいカテゴリーの長距離路線だからね。適性的にチャンスはあると思うし完全なポテンシャル戦ならステイヤーズSで見せたインパクトは相当なレベル。シュヴァルグラン、フェイムゲームは強敵ではあるが、この条件なら積極的に狙いたいかなとは思う。ハンデ57kgも最上位勢と比べて1kgでも軽いというのはありがたいしね。




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G1が行われず競馬ファンにあまり注目されていない開催だが

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