2017年2月27日月曜日

ネオリアリズムはわずかなチャンスを生かしたデムーロの好騎乗

続いて、日曜の中山記念だね。

ネオリアリズムは、前半はスローの流れに戸惑ってムキになっていたんだけど、最後まで頭を上げさせないデムーロの抑え方が上手かった。とくに唸らされたのは向こう正面でペースが上がったところ。最初はロゴタイプが前にいて、ラチから1頭ぶんを空けながら走っていたよね。で、マイネルミラノが外から先頭に立った時に、抑えずにインを取りにいったでしょ。ちょうどあそこで馬と折り合いがバッチリついたんだ。中盤以降はスムーズに流れに乗れていたけど、もしロゴタイプより前に行かなければ、前半と同じく手綱を引っ張って消耗していたかもしれないからね。まあレースの流れには運の要素もあるんだけど、わずかなチャンスを生かしたデムーロの好騎乗だよ。今回は1800mをこなしたけど、気性面を考えればやはりマイルのほうがいい気がするね。

サクラアンプルールは、こちらもノリ(横山典弘騎手)の好騎乗が光ったね。具体的に何をやったというより、「ギリギリまで何もしなかった」ことが本当によかった。向こう正面でペースが上がった時も、勝負どころで他の馬が焦って外に出そうとした時も、この馬だけはラチにこだわってじっとしてるでしょ。そのくせ直線を向いたところでは意外と前に近い絶好のポジションにいるんだな。前半のペースが遅かったから後ろにいた馬の鞍上は焦って外に出したんだけど、コーナーで加速すると外を回らされるから届かない。現にアンビシャスとかはそういう負け方をしている。ギリギリまで脚を溜めたぶん、最後にインから伸びてこれたんだね。乗り方が上手かった分の好走という感じで、正直GII2着といってもそれほど強さは感じなかったかな。

ロゴタイプは、メンバーの中で一番器用な立ち回りをしていたな。スタートが良かったからハナに行ってマイペースを作り、他の馬が来たら大人しく下がって外めに待機。そして直線では早め先頭に立って文句のない形に持ち込めている。ただ、それでも勝ち切れないのは、やはり馬が本調子じゃないからだろう。調教の動きもなかなかいい頃の状態に戻ってこないしね。年齢が年齢だけにこれから変わってくるのかどうかはわからないな。

アンビシャスは、追い切り診断で「追ってからモタモタしていて動きが重い」と書いたけれど、実際その通りの内容だった。遅いペースを後ろ寄りのポジションでじーっとして、最後は外に持ち出したんだものの、そこまでキレる脚を使えなかったからね。ただ、僕の個人的な見解だと、今回のレースぶりは想定の範囲内。いかにも先を見据えた調教内容だったし、陣営も次の本番に勝負をかけてくるはずだと思う。負けたとはいえそこまで着差を付けられたわけではないし、悲観することはないと思うよ。

ヴィブロスは、テンのペースが遅くて随分かかっていたし、少頭数のわりに狭いところに入ってしまって流れに乗り切れなかった。それでも最後はよく差を詰めているし、アンビシャスと同じで負けたといっても差は少しだけ。牝馬限定の重賞なら十分勝負になるはずだよ。

不可解な負け方だったのはリアルスティール。レースを見直しても走る気がほとんど感じられない。4コーナーの感じがすでにいつものこの馬じゃなかったね。馬ってのは繊細な生き物だから、ほんの小さな原因でコロッと変わってしまうことがあるんだけど、もしかしたら精神面の問題なのかもしれない。馬券を買うとしても次走は一旦様子見のほうがいいかもね。今の状態だとドバイに行くかどうかも怪しいかもしれないな…。

ヌーヴォレコルトは追い切りもよくなかったし、今のデキでこのメンバーに入ればこんなもの。正直全盛期は過ぎているのかもしれない。ツクバアズマオーはこのメンバーで後ろから行ってあれだけ外を回らされたら、さすがに届かないだろう。GIIIの2000m戦なら挽回の余地は全然ありそうだね。



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