2017年5月30日火曜日

安田記念 2017 出走予定馬:サトノアラジン、トップスピードの質、持続力は一級品も…ゲート・ギアチェンジが甘く展開次第

2017 6/4(日)
第67回 安田記念(GI) 東京芝1600m
出走予定馬一覧
安田記念2017の予想用・出走予定馬一覧

 昨年は京王杯スプリングステークス、スワンステークスと春秋1400mGII制覇を成し遂げたサトノアラジンが安田記念に出走予定。もちろんマイルGIを手に入れたい立場ではあるが、この距離では後一歩の詰めの甘さを露呈している感はある。それだけに、モーリスが去ったマイル路線で末脚を引き出し切りなんとかその印象を払拭したいところだ。


 やっぱりマイルはちょっと長いかなという気はする。トップスピードに乗ってからの質、持続力は一級品だけど好走した一昨年のマイルCSも少し詰めきれなかったし、昨年も不利を被ったのはあるが決定的な伸び脚が見せられたかどうかは何とも言い難い。1400で鋭さを増してきた感がある中で、モーリスこそいなくなったが層は厚くなったマイル路線…微妙な立ち位置かな。


スワンS(GII) 1着 18頭6枠11番
京都芝外1400m良 1:20.7 34.4-34.5 M
12.3 - 10.6 - 11.5 - 11.8 - 11.3 - 11.4 - 11.8

 4走前のスワンS勝ちから見ていきたい。個人的には直近ではこのレースがサトノアラジンにとっては条件的にベストだったかなと。更に言えば理想は昨年の京王杯SCだったかもしれないが。ペースバランスは綺麗な平均。中間少し息が入るがL3最速なので仕掛けのタイミングはそこそこ早かったと。良馬場だが少し雨の影響があって完全な高速馬場と言えるほどではなく標準ぐらい。


 11番枠から出負けして後方からの競馬。道中もペースは良い具合に流れていてその中で後方の外目で様子を見ながら3角に入っていく。3角の下り地点で前が少し減速、ここで掛かり気味になる。4角で大外から仕掛けながら最後方に近い位置で直線。序盤でそこからしっかりと伸びてきて中団列から一気に好位を窺う。L1でも大体3馬身ぐらいの差をきっちりと捕えての完勝だった。


 L1でもかなり詰めてきているし11秒前半、L2でもしっかりと差を詰めてきた。L3最速の中でしっかりとエンジンをかけながら直線2Fで末脚を引き出せたのはL3から前のペースが上がったことで仕掛けのタイミングが早かったことが大きいと思う。また1400m戦で後傾に持ち込むことでこの末脚を高めてきている印象なので、この分だとマイル自体は問題ないけどベストかどうかと言われるとやっぱり1400が合っているかなという感はある。


マイルCS(GI) 5着 18頭1枠2番
京都芝外1600m良 1:33.4(+0.3) 46.1-47.0 H^1
12.3 - 10.9 - 11.2 - 11.7 - 11.4 - 11.7 - 11.6 - 12.3

 3走前の昨年マイルCSは直線で決定的な不利を受けたこともあったので何とも言い難い。ただ冷静に見返しても3着までだったかなという感はあるし、もっと大きな不利を受けたディサイファもいたのでその辺りの着順を細かく判断するのは難しい。ただ、厳しい流れの中でイスラに見劣ったというのは事実としてはあるかもしれないと。


 2番枠から出負けして後方からの競馬、内の先行馬が前に行ってくれたことでそのスペースを上手く押し上げて中団の内内まで上手く持っていく。3~4角でも中団の内でロスなく立ち回って完璧に直線に入ってくる。序盤で2列目から追いだされるがいつもの伸びはなくここでイスラに前に出られる。L1でバテ差しを狙ったところでミッキーアイルの斜行がもとで決定的な不利を受ける。ディサイファほど下がらなかったが致命傷で5着に残ったのがやっとだった。


 もちろんこの不利が無ければ、というのを判断するのは難しい。実際イスラはL1甘くなる傾向はあるわけで、こちらも前には出られたがL1の手前では食らいつけていた。ポテンシャル戦に近い競馬なのでここから巻き返すことができたかは何とも言い難い、どちらかというとディサイファの方がよりポテンシャル型のタイプなのでもしかしたらディサイファに見劣った可能性もある。ただいずれにせよこの厳しい流れで引き出せた末脚という点で少なくともL2の地点まではイスラに見劣ったし、L4最速と3角最速の中でしっかりとロスなく運べたことを考えても評価は難しいところもある。


香港マイル(GI) 7着 14頭8番枠
シャティン芝1600m良 1:33.82(+0.34) 47.02-46.45 M
24.48-22.54-23.01-23.45

 前走の京王杯SCに関しては道悪というよりも進路確保で詰まって後手を踏みまくった結果なのであまり触れる必要もないかなとみて、この香港マイルを振り返る。ペースは日本の計測方法で見れば大体46.0-46.5ぐらいのイメージ、ラップ推移的には前半の3-4Fが速いという流れで割と淡々とした基礎スピードと後半のポテンシャル勝負に近いのかなという感覚。


 8番枠から出負けして後方からの競馬はいつも通りのパターン。道中も無理せず後方の外々で3角に入る。道中も追走に苦労で最後方で3角。3~4角でも最後方、徐々に外に持ち出して出口で大外。序盤で追い出されるがここで伸びが無くイマイチで最後方のまま。しかしL1で各馬がしんどくなってきたところでジリジリとは詰めてくるがロゴタイプは差せずの7着完敗だった。


 L2地点で再加速しているのかどうかが2Fのラップ推移では読めないので何とも言い難い。ただロゴタイプがL2で動けていて、こちらが動き出しが鈍かったことから推測すればL3-2にかけて加速ラップを踏んでいる可能性は高いかもしれない。目視で見てもちょっと難しいところはあるので何ともだが、エンジンの掛かりの遅さは見せてしまった感はある。ただラストの伸びはジリジリではあれども伸びてきていて、この感じならマイルCSで仮に不利を受けなければもうちょっと、というのに現実味を与えた内容かなと。ただ冷静に見てもビューティーオンリーには前半のポジションや3~4角で通したコースがほぼ同じながら力負けしているという事実は決して軽くはない。流れると少し削がれる感はあるかな。


2017安田記念に向けての展望

 この馬のイメージとしてはやはり少しエンジンの掛かりが悪い。そして前半無理をしなければ後半の末脚、質的な鋭さやトップスピードの持続力といったところを高めてきているという認識かな。その点で前半無理なく、かつ早い段階である程度流れている状態で直線に入ってきやすい1400m戦の方が噛み合う感覚ではある。L1の持続力も1400路線では突き抜けているし、質的にももちろんかなり高いレベルにある。ところがマイル戦線だとレベルの違いもあるかもしれないが、昨年の安田記念ではL1でジリッときたもののフィエロに見劣り、一昨年のマイルCSでも少し踏み遅れた面はあるがそれでもイスラ、フィエロに見劣っている。また不利はあったにせよ昨年のマイルCSではイスラに先着され、香港マイルではロゴタイプに先着された。流れてもスローでも少し足りないなというのをマイルでは感じる次第。


 ただ、敢えて言えばやはり出し切ってこそではある。特に昨年の安田記念の場合はギアチェンジが問われたことで上手くエンジンをかけ切れなかったところもある。前述のとおりでまだ完璧なタイミングで仕掛けられたことというのは無いと思うので理想を言えば前半スローからしっかりと前を向いてトップスピードに乗せられる展開、L1でバテ差してくるというイメージを持って入ってほしいかなと。イスラとの比較で見た時に優位に立てる部分はTS持続だけだと思っているので、これを上手く引き出せないと勝ち切るのは困難だろうと。イスラやエアスピネルといった要所で動ける馬の後ろをイメージしながら取り付いて同時に加速の準備をしていきたい。チャンスはあるが、ゲートは安定して拙いし内に入ったとしても要所で動き出しが甘い馬なのでいずれにせよ仕掛けのタイミングが早くならないと難しい。安田記念はそういう展開自体にはなりやすいはずなので、噛み合えばチャンスはあるかなという認識かな。



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