2017年5月15日月曜日

ルメールが絶妙の捌きを見せたアドマイヤリード【ヴィクトリアマイル回顧】

それでは先週の重賞を振り返ろう。まずはヴィクトリアマイルから。

アドマイヤリードは、もうルメールが最高の競馬をしたね。道中は後ろ寄りのインでゆったり運んでいたんだけど、勝負どころから直線を向くあたりの捌きが絶妙。他の馬が外に持ち出してぽっかり空いたスペースに入り込むと、残り500m地点ではもう先団につけている。あの立ち回りならロスはほとんどゼロみたいなもので、最後はスマートレイアーとソルヴェイグの間をスッと抜けて差し切った。重馬場でも気にしない馬だから今日みたいに少し時計のかかる馬場も相対的に良かったんだろう。色々と恵まれた面があるにせよ、馬自身も力をつけている。今後も牝馬路線を引っ張ってくれる存在になりそうだね。

デンコウアンジュは、びっくりするぐらいいい脚を使ったね。正直こんなにやれるとは思わなかった。あまり追い切りではよく見えないタイプなんだけど、2歳時に東京マイルの重賞を勝っているし、今回の舞台はよほど適性があるんだろう。それに蛯名も言っていたけど、少し時計のかかる馬場もよかったかな。勝ったアドマイヤリードとはコース取りの差が出たという印象だね。でも枠を考えれば仕方のない面もあるし、持てる力は十分に出し切ったと思う。いつでも好走というタイプではないから、レースに応じて取捨選択の必要がありそうだね。

ジュールポレールは、まずまずのスタートから先団インでうまく流れに乗れていたし、直線の進路取りもほぼ文句なし。もともと直線の追い比べというよりは器用さで勝負するタイプだから、最後に伸び負けたのはしょうがないこと。このメンバー相手に3着までこれたら上出来でしょう。今の状態ならいつでも重賞を勝てるんじゃないかな。

スマートレイアーは、やはりGIになるともうひと伸びが足りないね。多少促し気味ながら先団につけてリズムよく運べたし、直線を向いた時の手応えも十分だった。それで最後は勝ち馬に交わされたのだから、もう相手を褒めるしかない。ずっと長い距離を使われているにも関わらずマイルGIでこれだけ走れれば大したものだよ。

クイーンズリングは、デムーロが中団インで流れに乗せてほぼ文句なしの立ち回り。前走よりは走る気を見せていたからいけるかと思ったけど、最後はグッと来るところがなかった。もしかしたら馬場の影響があったのかもしれないし、あるいは海外遠征の疲れが取り切れていないのかもしれない。どちらにせよ、ちょっと立て直しが必要だろうな…。

ミッキークイーンは、直線で前をカットされたのがキツかったかな。もともと少し仕掛けてピュッと切れるような脚は持っていないから、一度ブレーキを踏んでしまうとどうしても後手に回るハメになる。それに道中も気負い気味の追走で、息を入れる余裕が感じられなかった。追い切り診断で「姿勢が少し高い」と書いたけど、はっきりはわからないものの、もしかしたら本調子になかったのかもしれない。そこまで大負けしているわけではないから、立て直してくれば普通に巻き返すはずだよ。

ルージュバックは、やはりマイルが合わなかったね。道中は後ろ寄りにポジションを撮ったんだけど、終始流れに乗れていなかった。あれでは直線で伸びなくてもしょうがない。もともとスイートスポットの狭いタイプだし、得意条件なら挽回の目はあるだろう。

レッツゴードンキは、3コーナー入る前にもう「ダメだ」という感じだったね。外枠のせいで前にカベを作れなくて、直線までずっとハミを噛みっぱなしのチグハグな競馬。あれではゴールまで持つはずがない。スプリント路線で十分主役を張れるんだから、個人的にマイルを使う必要はないと思うんだけどね。


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