2017年6月1日木曜日

安田記念 2017 出走予定馬:グレーターロンドン、蹄葉炎を克服しての5連勝…福永が強烈な切れ味を引き出せるか

2017 6/4(日)
第67回 安田記念(GI) 東京芝1600m
出走予定馬一覧
安田記念2017の予想用・出走予定馬一覧


 今回最大の台風の目でありながら直前まで出走未定…蹄葉炎を克服しての破竹の5連勝でここまで駆けあがってきたグレーターロンドンが安田記念に出走予定だ。陣営も出走にゴーサイン、出馬表に名を連ねまずはGIを取るための最低条件をクリアした。連勝の勢いで安田記念を制したモーリスが現役を退いて、その幻影を重ねるかの如くの台頭劇でここまで来た。本家に並ぶか、或いは超えるのか…それとも…すべてはこの府中のマイルが受け止める。


 福永とのコンビでどうなるか、というところ。この馬に関しては少なくとも田辺的な騎乗でトップスピードに乗っていくまでに上手くスペースを作りながら加速をスムーズに、というのが必要だと思う。特に気になるのが追い切りで福永が『操縦性が高い』と評していたところかな。自分のイメージではそこまで要所の反応が良い感じではないしそこを頼っていい馬ではないと思うので、素材の高さを信じてしっかりと動き出しだけフォローしてほしい。通用するかどうかはともかく最大の武器は爆発的なトップスピードの質であり、それを維持できるTS持続力になる。スムーズに乗って厳しい流れで勝ち負けになるかはともかく、上手く引き出してやらねば難しい馬という認識は必要かなと。


東風S(OP) 1着 10頭3枠3番
中山芝外1600m良 1:36.7 50.1-46.6 S^3
12.9 - 12.2 - 12.5 - 12.5 - 12.4 - 11.9 - 11.1 - 11.2

 まずは前走強烈な末脚を披露した東風Sから振り返る。ペースバランスは3.5で超超に肉薄する超スロー。ラップ推移的にも2F戦なので中山マイルでも直線勝負と言ってしまって差し支えない。


 3番枠からやや出負け、無理はせずに後方に下げてという形になる。道中も前が引っ張らずドスローで進む、その中で後方2番手外でいつでも動くという意識をもって3角。3~4角で徐々に外から動き出しの意識をもってじわっと。4角出口で促しながら進路確保で直線で後方外々。序盤でそこからの伸びはまだイマイチで前との差は大体4馬身差。それをL1の坂の上りでグンと切れて突き抜けた。


 個人的な見方としてはこの勝ち方をした馬は基本的には府中は合っている、という認識。もちろん府中巧者、というのをどう見るかというのがポイントなんだがこのレースでハッキリと言えるのはレースラップで11.1-11.2とほぼ誤差の範囲で落としていない。映像的に見ても間違いなくL1で決定的に詰めていてL2の地点ではそんなに差を詰めていない。自身でのL1最速ラップは間違いなくて、推定で4馬身差を詰めたなら10.5前後はまず確実、ということになる。坂の上りでしっかりと加速、かつここで鋭く脚を使ってきた。府中ではこれが問われることが多い。この時は1000万下の1200m戦でも34.2-34.9と流れて淀みなくで1:09.1と時計が掛かっていた。ドスローの上がりだけの競馬ではあるにせよ、この馬場状態でL1の坂の上りで推定で最速10.5というのは非凡なのは間違いない。もちろん言うまでもないが基礎スピードが全く問われていない中でのものであるという前提は必要。


節分S(16下) 1着 13頭4枠5番
東京芝1600m良 1:33.6 47.8-45.8 S^2
12.9 - 11.3 - 11.9 - 11.7 - 11.7 - 11.5 - 11.2 - 11.4

 府中マイルとしてはやはり2走前の節分S。ただし残念ながらこのレースもペースは遅かった。2.0でかなりのスロー、ただ中盤以降はそこそこ流れて分散してのL2最速戦。2段階加速に近い競馬となった。またこの時は超高速馬場状態ではあったのでそこは考えておく必要はあると。


 5番枠から出負けして最後方からの競馬。道中もペースが最後方の内目で我慢、徐々に前がペースを引き離して単騎気味。3~4角で単騎逃げ馬を2番手以降がじわっと詰めていくという過程の中で内内でジッと我慢しながらスペースを保って直線に入る。序盤でそこからがっぽりあいた内を突いてジリジリと伸びる。L2の地点ではまだ3馬身差ぐらいあった差をここでスパッと切れて坂の上りもあって一気に先頭列に並びかけてくる。L1でそのまま抜け出して後続を寄せつけずの完勝だった。


 ここからもわかるが内をスパッと切れた、というところに目が行くが加速の地点では上手くスペースを取って田辺がしっかりと促しながら直線に入っている。この辺りの意識があるからこそギアを順々に上げてトップスピードに入れられるというイメージ。また、逃げ馬がこのラップを刻んでいて4角で2列目が詰めてきていたので前の仕掛けはそこそこ早かった。スペースが開いたことだけでなく展開的にもトップスピードに乗せやすい状況だったかなと感じる。最速地点でスパッと切れているようにトップスピードの質は相当なレベルにあると思うし、L1までしっかりと落とさず踏ん張れるというのも魅力だ。後半要素はここでもメンバー中最強クラスにあると思う。東京新聞杯と違って現実的なペースの中でこれを引き出せたというのは侮れないが、それでも自身では38.1-32.3と極端な後傾バランスにはなってくる。


1000万下 1着 13頭5枠7番
中山芝外1600m良 1:34.1 46.5-47.6 H^1
12.6 - 11.4 - 11.2 - 11.3 - 11.7 - 12.0 - 11.8 - 12.1

 流れたケースとなると3走前の中山マイル戦となる。何とか差し切ることはできたが、やはりちょっと不安があるなと感じざるを得ない内容。ペースバランスは1.1でハイペース。ラップ推移的に見ると3~4角で緩んでいるので取り付くタイミングがあったし完全に基礎スピード面だけの勝負にならなかった。個人的な印象だが、3~4角で緩まず淡々とした厳しい流れになっていたら恐らく取りこぼしていただろうとみている。


 7番枠から出負けして最後方からの競馬となる。道中も最後方で前にスペースを置いて加速の意識を持ちながらの競馬だがペースも速く縦長でかなり差のある状況。3角からようやく手が動いて進出、ここで前がコントロールする意識を持ったことでコーナーでそこまで速くない流れ、これを中目から外々に持ち出して直線。序盤でしっかりとエンジンがかかってきてL1でまとめてズドンと差し切った。


 ただ着差はハナ差でかなり際どかったし、基礎スピード的にはもちろん前の馬は前半要素を問われているが、後半に緩みがあったしコーナーで取り付けた、また外から押し上げていくことで自身はしっかりと加速しながら勢いをつけて直線に入ってこれた。コーナーでそこまで体力的なロスが無かったのは展開的に噛み合った面が大きいし、前の馬は下手に緩めたことでタイムトライアル的な基礎スピード特化戦にはならず、時計的に少し落としていたので結果的に届いた、という感覚。あのまま淡々と厳しい流れだったら個人的には届いていないとみている。雨の影響もあったので何ともだが、時計的にはそこまで出なかったし、負けパターンとしてはやっぱりこの形はあり得るかもというところ。ただ前半もうちょっと追走してもやれる可能性はある。このレースの場合はどちらかというと自分のリズムを重視しすぎて物理的に相当難しい競馬になってしまったというパターンで、ハイペースで削がれたというわけではない。実際この馬で見れば37.7-33.7と3Fではあるが4.0と超後傾。後傾バランスでもこれだけの時計を出せてしまう、というのはやはり武器にはなってくる。


2017安田記念に向けての展望

 まあ、基礎スピード的に未知数なのでハイペースで脚を削がれるリスクはもちろんあると思う。ただし、この馬の場合少なくとも後半の4Fを異次元に高めて来れるので、仮に46-46の1:32.0で決着したとしても、この馬自身は48-44でその時計を出してくる、という可能性が十分にある。そういう点でも高速馬場状態なら後半を極限まで高められるし、ペースに対する不安は意外とないかなと思っている。もちろんジャスタウェイが勝った時のような不良馬場で47-50ぐらいとかになってしまうと全く別だが。この馬自身後半のトップスピードの質が抜群に高いし、TS持続も高い。加速段階で脚を使っても削がれないイメージなので先週ぐらいの超高速馬場で終いに特化すれば上がり32秒台半ばは出てくると思うし、L4を11.5で入って44秒前後、43秒台も意識できると思う。そういうタイプの馬なので超高速馬場で極限まで質を高めてくる方が良いだろう。


 ただし、不安は2つある。ひとつは状態面。もちろん蹄葉炎という競走馬にとっては生死を彷徨うレベルの重症を患ったわけで、蹄に対するケアというのは今回も出走を直前まで躊躇っていたようにどうしてもリスクとしてはある(テンポイントで検索してもらえれば大体どういう仕組みかはわかってもらえるかなと。むしろ最近はこれで復帰できるのか…という感じ)。もう一つは鞍上が田辺から福永に替わったこと。個人的にはトップスピードの質が抜群に高い馬なので、それを引き出すことができるかが焦点になると思うのと、もう一つは4Fから長く脚を使ってこれる馬なのでしっかりとそこを頼ってエンジンをかけて行けるか、とみている。この馬の場合前半をどこまで詰めることができるか?という不安もあるが、意外と後半4Fをしっかりと速く出していけるかの方が重要だろうと。前述のとおり、高速馬場ならこの馬は後半4Fで44秒前後を意識できてしまう。しかしそれはL4地点でしっかりと加速する意識を持てていないと難しい。距離ロスはない方が良いのだが、この馬にとってはどちらかというとタイムロスをいかに減らしていくか。前半は無理しない方が今は良いだろうし、そうであれば後半4FをMAXで引き出せるかどうかだと思う。その点で田辺から消極的に我慢しがちな福永に替わるのはプラスとは言えないだろう。展開的に2走前の節分Sのようなパターンが嵌ればとは思うんだけど。まあトップスピードの質がかなり高いし坂の上りでグンと来るので、ドスローの団子でも十分問題ない。とにかくしっかりとこの武器を引き出せるかどうかだろう。高速馬場状態なら重い印も視野、本命も考えている一頭だが、全体の時計が掛かってくると後半のキレを削がれる、その分後半だけで一気に詰めるというのが難しくなるので評価を下げる必要があるとみている。


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