続いてユニコーンSを見ていこう。
サンライズノヴァは、馬の強さももちろんだけど、戸崎の冷静な騎乗が印象に残った。枠なりにズーッと外を回しているように見えるんだけど、大型馬だから変にブレーキをかけて内に入れたりするよりは、たとえ距離ロスがあってもリズムよく走るほうが脚は溜まりやすい。そして注目は3~4コーナーの勝負どころ。ここで戸崎は他の馬が上がっていく動きに合わせず、徐々にポジションを下げながらもマイペースを崩さずにジックリ仕掛けのタイミングを計っているんだ。普通の騎手だと周囲の動きに合わせて動いてしまうけど、そこで慌てずに自分の競馬に徹したのがよかった。だからこそ最後にあれだけの脚を使えたわけだね。もちろん、馬自身も文句なく強い。器用なタイプではなさそうだから地方の競馬場は合わないかもしれないけど、何にせよ今後が楽しみだね。
ハルクンノテソーロは、スタートで出遅れて後方から。勝負どころまでに徐々にポジションを上げて、直線では外からジリジリ脚を伸ばしている。悪くない競馬をしているものの、やはり道中に脚を使ったロスが響いたのか、勝ち馬に交わされた時は抵抗できなかったね。まあ、あれだけ着差を付けられたということは、たとえ出遅れがなかったとしても勝ち負けできたかどうかはわからない。とりあえず今回は完敗といったところだろう。
サンライズソアは、リエノテソーロをマークする先団外めの位置取り。道中のレース運びは問題なかったし、直線を向いた時の手応えも良かったんだけど、最後の伸びはジリジリといった程度だった。着差的には完敗だけれど、先行勢に厳しいペースだったことを考えるとそれほど悲観する内容ではないと思うよ。
リエノテソーロは、色々な意味で厳しいレースになってしまったね。一番気になったのはスタートして2F目の14~18秒あたり。ウチパク(内田博幸騎手)がチラッと後ろを確認するシーンがあったと思うんだけど、その直線あたりで走りのリズムがほんの少しだけ狂っているように見える。口で上手く言いづらいんだけど、もしかしたら内からハナを奪ったシゲルコングに砂をかけられたのかもしれない。これまで砂を被って揉まれるようなキツい競馬は経験していなかったから、そのあたりが影響した可能性もあると思う。
それに、ダートのマイル戦は川崎で経験しているとはいえ、コーナー2回で息を入れる箇所が少ない東京マイルとは別物。最後息切れしたのは距離が原因かもしれない。いずれにせよ、今回はちょっと厳しいレースだった。レースセンスは高い馬だから、今後の成長次第で巻き返しの余地はあるはずだよ。
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