2017年8月1日火曜日

【アイビスサマーダッシュ回顧】フィドゥーシアはいずれ重賞を勝てる器

続いて新潟のアイビスサマーダッシュを振り返ろうか。

ラインミーティアは、西田が上手く乗っていたし、馬自身の調子もすごく良さそうだったから、そのへんが噛み合っての好走という感じ。序盤は自分のリズムで走って、最後の3Fに賭ける競馬がハマったんだろう。新潟の千直は僕も経験があるけど、とにかく「格より適性」という舞台。どれだけキレる脚を持った馬でも、スピードがないと勝ち負けには加われないからね。この馬はまずまずの持ち時計があったし、そこに状態の良さが加わってさらに時計を詰められたということじゃないかな。

個人的な話になって申し訳ないけど、僕はあまり新潟千直という舞台は好きじゃない(笑)。正直なところ、騎手の駆け引きみたいな要素はほかのコースに比べて少ないし、スピードの有無でほとんど勝敗が決まってしまう。昔の話をすると、覚えているのはカルストンライトオが勝った2002年。乗っていた馬の名前は覚えていないんだけど、ほぼ負けることがわかっていたから、玉砕覚悟でカルストンライトオに付いていったんだよね。でも、なんとか食い下がったのは最初の1Fぐらい。最後は脚がなくなって惨敗してしまった。どちらかというと、小回りで乗り役の腕が試される福島とかのほうが好きかな。

フィドゥーシアは、負けはしたものの内容は良かったよ。好スタートからスンナリ先行して、ラチ沿いのアクティブミノルのそばまでスッと寄せる立ち回り。一旦は先頭に立って勝ち切るかと思ったけど、アクティブとやりあったぶん最後は甘くなったね。とはいえ、人気通りの実力は示したし、スピード能力はなかなか高い。1200mでも問題ないタイプだから、どこかで重賞を勝つチャンスはありそうだよ。あとは調教の動きが良くなれば言うことないね。

レジーナフォルテは、フィドゥーシアを見ながらレースを進めて、最後まで粘りを切らさずなだれ込んだ形。馬場のいい外ラチ近くを走れたのはよかったし、51キロという斤量も有利に働いたんだろう。正直なところ、このレースを見て「新潟千直は合っている」意外のことを言うのはちょっとむずかしいな。

アクティブミノルは、最後まで粘ったあたりやはり体調は良かったと思う。ただ、この馬の好走パターンは好スタートから楽にハナを奪っての単騎逃げ。1000mではさすがに先手を取り切るほどのスピードはなくて、その分終いが甘くなった感じだね。まあ状態がいいのは間違いないから、今のままをキープできればチャンスはあるでしょう。

ネロは、58キロが響いたのもあるけど、やはり状態面が良くなかったんだろう。追い切りの時計は出ていたものの、動きのキレはイマイチに見えたからね。これが衰えなのかどうかは判断がつかないけれど、調教内容が改善されればまだ重賞で挽回する可能性はある。今回のような得意舞台での敗戦は人気落ちの原因になりやすいだけに、次あたり立て直しれくれば面白いかもしれないよ。


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