日程:2018年1月6日(土)
第56回 京都金杯(GIII) 京都芝外1600m
予想用・出走予定馬一覧
強烈な末脚は嵌ればズドンも、嵌らなければ不発と両極端なブラックムーンが武豊とのコンビで京都金杯に出走予定だ。マイルチャンピオンシップでも今回のメンバー中最先着を果たし、前走リゲルステークスでも上がりは最速。名手の手を借りて持ち味の鋭い末脚をどこまで引き出すことができるかが注目点だが、期待先行の馬ではあるだけに予想の取捨としては重要な一頭となりそうだ。
少し読みにくいところはある。一応この馬の適性として表にあるのはやはり超高速馬場での異常なTS持続力にある。一方でキャピタルSを勝っていたり、2017年のマイルCSでも流れた中で脚を使ってきたりと一応のペース・馬場の幅を持っている馬。ベストはスローでL3最速ぐらいのTS持続だと思っているが、今回は取捨が非常に難しい。
●米子S(OP) 1着 10頭4枠4番
阪神芝外1600m良 1:31.9R 47.1-44.8 S^2
12.6 - 11.2 - 11.6 - 11.7 - 11.4 - 10.7 - 11.1 - 11.6
まずは米子S勝ちから。レコード勝ちではあるのだがこの時は超高速馬場でペースは2.3とかなりのスローでも後半4Fで44.8と異常に速いラップを踏んだので高速馬場になった。しかもこれはレースの上がりであって、最後方からズドンしたこの馬はもちろんこれより速く、恐らく推定ではあるが43秒台と4Fでハロン平均11を切ってくるというえげつない競馬になっている。
4番枠からやや出負け、そこから無理はせずに後方2番手ぐらいで進めて前に壁を作りながら3角。3角でもまだ動かずに前に壁を置いて我慢、下りでじわっと加速しながら外目に誘導しつつ勢いに乗せていって最速地点の4角出口で外に誘導しながら最後方で直線。序盤でそこからの伸びはまだ地味、しかし中団に取り付いてからL1の減速地点でグンと来て最後はきっちりとサトノラーゼンを捕えての完勝だった。
L2でも差を詰めていたがL1まで伸び続けるTS持続力が異常なレベルにある。一方でこのレースに限らないが、最速地点でのキレというのはあんまり目立たない馬。速いラップを踏んでの減速でグンと来るTS持続タイプだが質がそこまで高いレベルにあるというわけではないのが難しいところ。完全に嵌り切るととんでもない競馬をするけど、そうでなければ結構甘い。それにしても超高速馬場で43秒台の上がり4Fというのはとんでもない適性だと思う。
●リゲルS(OP) 5着 13頭8枠13番
阪神芝外1600m良 1:33.6 47.0-46.2 S^1
12.5 - 11.0 - 11.6 - 11.9 - 12.1 - 11.1 - 11.1 - 11.9
ただ同じ阪神マイルでも前走のリゲルSでは届かなかった。上がりは最速だが伸びは地味、という感じ。ペースは0.8でややスローだがある程度流れている。ラップ推移的に見てもL3最速タイなので仕掛けどころは遅くはないのだがそれでも届かなかった。
13番枠から出負けして最後方からの競馬だがいつもこんな感じ。ただ前半前がそこそこレースを作っていく中で一頭だけ離される感じで3角に入っていく。3~4角でも集団の後ろで追走に苦労しているような感じで単騎で最後方、4角で促しながら追走してスペースを潰しながら直線で大外。序盤でそこから追いだされるが伸び始めが遅くL1の段階でもまだ最後方列。L1でそこから流石の伸びは見せるがそれでも地味な伸びで最後までジリジリの完敗だった。
恐らくだが高速馬場で流れてしまうと単純に質的に基礎スピードが足りないのかなという感じ。これまである程度流れた中で好走してきたレースを見ても後で取り上げるマイルCS6着、中京記念3着、キャピタルS勝ちで、いずれも程度の差はあるがある程度力の要る馬場にはなっていると。リゲルSの場合超高速まではいかないが顕著に軽かったわけで、そこで47.0を刻まれてしまうと追走に苦労したし、L3最速で外から自分で取り付いていく形になってもそこまで速い脚を引き出せずに末脚全体が甘くなってしまったんだろうと思う。強烈なTS持続を引き出すには絶対的に速いラップを踏んで勢いをMAXにしてしまいたい、というイメージかな。何となくだけどルージュバック的な感じに近いと思う(ルージュはそこまで不器用ではないけど)。
●マイルCS(GI) 6着 18頭1枠1番
京都芝外1600m稍 1:34.1(+0.3) 46.7-47.1 M
12.2 - 10.8 - 11.6 - 12.1 - 11.9 - 11.5 - 11.6 - 12.1
2走前のマイルCSは内容的には意外と頑張ったなという感じで、これがちょっと予想外だった。まあ確かにキャピタルSでもやれていたわけなので、タフな馬場での厳しい流れそのものは対応できても驚けないわけだが。ペースは平均、L3最速ではあるがトップスピードは問われず、力の要る馬場で基礎スピードとポテンシャルのバランスを問われたし、出し切りやすい展開だった。
1番枠から出負けして最後方からの競馬はこれまでとそう変わらないスタート。道中も後方馬群の中目に入っていこうとするが結局最後方で3角。3~4角で前が徐々に加速する中で最後方でサトノアラジンの後ろを狙う。4角最速地点で大外から直線でサトノの外に持ち出す。そこからの伸びはよく大外から中団に取り付く。L1までしぶとく伸び続けていたが4着争いまでなだれ込むところまで、3着圏内には見劣った。
3~4角でサトノアラジンの後ろからの競馬になったが、4角地点でもサトノにぴったりとつけていたわけではなかったし、3角までにもうちょっと上手くいい位置まで持って上がっていけたら面白かったかも?というのはある。3角手前までに後方馬群の中に入れてリカバーしようとして結局下げながら3角に入っているので、勢いをつけていくのにワンテンポ遅れたのかなという感じ。ただこの流れで素材的に見て上位と見劣らなかったのだからやはり秘めている素質だけならGIでも通用する。
●2017京都金杯に向けての展望
出し切れさえすればGIでも通用するチャンスがあるぐらいなので単純な素材としてはかなり高いレベルにあるし、ここでも1,2を争うと思う。ただし、根本的に高速馬場だとしたら多分マイルは少し短くて、前走のリゲルSみたいにマイラーがマイルの流れにコントロールしてくると3~4角で外々から動いていったとしても質的に切れるわけではないのでL1バテ差しだけでは届かない。後半要素をスローにすることで高めてきているので個人的にはこの馬は1800の方が適性的には高いだろうと。ただし、平均ペースがダメというより単純についていけない、ポジションが悪くなるのが痛いわけで、平均ペースに近い流れでも結果を出しているケースは大体時計が少し掛かる力の要る馬場で前が落ちてくる、という前提があると思う。この辺も多分1800寄りの適性なんじゃないかなと。なので馬場と展開次第で狙いが変わってくる。スローからのTS持続ならここではクルーガーが強敵で後は1枚上だと思う。また流れてもタフな馬場で前がある程度落とすなら差し込むチャンスはある。変にコントロールされて全体の仕掛けが遅れるパターンが嫌かな。一度武豊で見てみたい一頭だったし、エンジンをかけていく過程が重要な馬なので段階的に加速していく意識が強い武豊との相性はいいと思う。昨年は45.9-46.9とハイペースの流れに中団で乗って中途半端になったが、マイルならゆったり入った方が良いと思うし、後は噛み合うかどうか。何とも扱いが難しい馬になるが、個人的にはマイルは短いと思うので噛み合ったとしてもなかなか貫ききるところまでは難しいと思う。3着ヒモ程度で押さえるところまでかな。
see more info at 敗因分析のバイブル~競馬をやって何が悪い。