最後に、昨日の弥生賞を振り返ろう。
前走(東スポ杯2歳S1着)はスタートで出遅れたけど、今回は逆に速いくらいだったサトノクラウン。道中も中団あたりでスムーズに折り合って、走りに遊びがあったのが一番良かったんだろうね。それにしても追ってからの反応が良かったし、渋った馬場でこれだけの脚を使えれば大したもの。時計が遅かったのも馬場のせいで、全然気にならない。とにかく強い競馬だったよ。ゲート再審査明けとは思えないくらいゲートの中で落ち着いていただけに、、もう出遅れの心配は要らないだろう。これだけ折り合いがつけば距離が延びても大丈夫だろうし、気になるとすれば、よっぽど酷い馬場状態になって持ち味の決め手を削がれることぐらい。皐月賞はもちろん、ダービーでも期待できるんじゃないかな。
ブライトエンブレムは後方からジックリ行っていたんだけど、脚を溜めるだけ溜めただけあって直線では弾けてくれたね。それに、力の要る洋芝で強い競馬(札幌2歳S1着)をしていたように、この馬には馬場が渋ってくれたのもプラスに出たんじゃないかな。逆にパンパン馬場のスピード勝負ではキツそうだし、終い一手で自分から競馬を作れないのもネック。今回は道悪を苦にした馬がいた上に、ある程度ペースが流れて前が止まる展開に助けられたフシもあるからね。馬場状態や展開に何かと注文が付きそうだから、本番でも楽観はできないよ。
タガノエスプレッソはスムーズに折り合って、中団からジックリ行ったのが良かったんだろうね。馬群がバラける展開になった分、揉まれずに気分良く運べたとはいえ、終いの脚をうまく引き出した菱田の好騎乗。溜めが利けば一箇所は脚を使えるみたいだから、今回のような競馬ができれば安定するんじゃないかな。ただ、これだけソツなく乗っても3着が精一杯だったあたり、上位の2頭とは力の差がありそうだね。
グァンチャーレは後ろからジックリ行っていたんだけど、その割に直線でいい脚が長続きしなかった。最後は止まっていたぐらいだから、2000mは微妙に長いんじゃないかな。外を回る形だとさすがにキツいし、この距離で勝負するとなると乗り方を工夫した方が良さそう。内々でジッとして、ロスを抑えるセコい競馬なら何とか我慢できるかもしれないけど、前が詰まったらアウト。イチかバチかになってしまうから…。僕は千六~千八を中心に使っていった方がいいと思うけどね。
トーセンバジルは追ってから思ったほど伸びなかったなぁ。中団あたりからジックリ行っていただけに、もう少し脚を使ってくれても良さそうなもの。馬場も応えたんだろうけど、ここでは能力的にキツかったのかもしれないね。
クラリティスカイは好位4~5番手でスムーズに流れに乗れていたし、向正面でもうまく内に潜り込むソツのない競馬ができている。直線ではロスなく内を突いたんだけど、伸びかけた所で止まってしまったね。道悪に脚を取られたのか、距離が長かったのか…。どちらにせよ、パンパンの良馬場で走れるに越したことはないと思うよ。
シャイニングレイはテンからハミを噛んでムキになって走っていたし、道中も後続に早めに来られる展開。こうなったらどんな馬でも苦しいよ。調教でもテンに行きたがっていたように、実戦でもそういった面がモロに出てしまったね。前走(ホープフルS1着)はスムールに折り合えていたんだけどねぇ…。いずれにせよ、もう少し落ち着きが出てこないと2000mは乗り切れそうにない。マイル路線に矛先を向けるのもひとつの手だろうね。
ベルラップは好位のインでロスなくスムーズに流れに乗れていたのに、3~4コーナーではもうアラアラ。3ヶ月の休み明けでプラス10キロだったにしても、いくら何でも走らなさ過ぎ。このひと叩きでどこまで良くなるかだけど、一変まではどうだろうね。
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