先週の小倉で行われた新馬戦は11番人気の伏兵オウケンダイヤが勝利して単勝1万8000円、1番人気タガノフォルトゥナとの組み合わせの馬単は3万2000円、3着に8番人気のブルベアカトラスが入った事で3連単は92万の大万シュウと大波乱を演出、500Kを超える体重の巨漢の馬が珍しくなくなった昨今、このオウケンダイヤの馬体重は376Kと驚くほどガサがなく、この馬体の寂しさも手伝ってシンガリ人気に拍車をかけたのかも知れない。
新聞でオウケンダイヤの父を確認、オウケンマジックと知る。
オウケンマジックは父タニノギムレット、母オウケンガールで、同期はトランセンドにテスタマッタやスーニ、今も現役で頑張っているワンダーアキュートなどが居るが、オウケンマジックは通算成績は27戦して【3・3・3・18】と平凡な成績で、重賞勝ちがあるどころか重賞に出走したのは3歳時のユニコーンS1回だけで、その時は勝ったシルクメビウスのコンマ9秒差5着で掲示板に載っただけだった。
このオウケンマジックの事を覚えていたのは母がオウケンガールだったからで、オウケンガールの半兄に第1回JBCクラシックを勝ったレギュラーメンバー、二代母のシスターソノはロジータの初仔と南関ファンからすればインパクトのある血統なのは間違いない。
しかし、オンナ馬でも競走生活を引退後はスンナリと繁殖入り出来るか判らない現在、如何に南関の名馬ロジータの血を引くオウケンマジックと云えども、重賞未勝利の平凡な競走成績から本来は種牡馬になれる可能性はゼロに等しかったはず、そんなオウケンマジックが種牡馬入りする事が出来たのは、おそらくこの馬のオーナーである福井明氏の意思が働いていると考えるのが正解と思われる。
この件で思い出すのはタレントの萩本欽一氏の事。
欽ちゃんの持ち馬で初めて日本ダービーに出走したナディア産駒のパリアツチ、このパリアツチはダービーでラッキールーラの9着と敗れたが、18番人気ながら最後まで見せ場を作った事に感動して、引退後のパリアツチを引き取り、種牡馬として繋養する牧場を身銭を切って確保して最後まで面倒を見たのは有名な話だろう。
また、オーナーのたっての願いで種牡馬入りした馬と云えば船橋の佐藤賢二厩舎所属だったセレン、確かに現役時代に京成盃GM・勝島王冠・大井記念・東京記念を勝ち、三代母のバーガーは、「鉄の女」トリプティクの全妹にあたり南関の名馬フリオーソと同じ牝系だが、重賞で4勝挙げたと云えども何れもダートの南関ローカルGと考えれば種牡馬としての需要があるかは微妙で、やはりオーナーサイドの後押しがなければ種牡馬になるのは厳しかっただろう。
3歳時に大井の1200で1分11秒フラットの好時計を出しながら重賞未勝利と「未完の大器」のままに終わったブリーズフレイバーが種牡馬入りしたのもやはりオーナーサイドの希望があったと考えるのが自然。
基本、競馬はバクチと思っている私だが、バクチだけで割り切れないロマンがあるからこそ競馬に惹かれている訳で、最近は競走馬のオーナーは競馬はビジネスと割り切り、自分の所有馬に対する思い入れが少なくなってしまったケースが目立つだけにこのように自分の所有馬に愛情を持ち、引退後の面倒を見るオーナーが居るのは本当に素晴らしい事だと思う。
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