それでは、月曜恒例の重賞回顧。まずは京成杯オータムハンデから。
フラアンジェリコは、最後方でジックリ構えて終い勝負。直線では前が詰まったぶん、まともに追えたのは残り1ハロンだけだったけど、却って脚が溜まったんだろうね。それにしても終いの伸びは素晴らしかっただけに、スムーズならもっと楽に差し切れていたんじゃないかな。ただ、人気がなかったからこそ田辺も気楽な立場で、思い切って一箇所だけ脚を使う競馬に徹することができたんだろうし、53キロとハンデに恵まれたのも大きかった。最初の1ハロンの12秒台を除けば11秒台が続く平均ペースで、先行馬にとってはキツい流れ。後ろから行ったこの馬には展開も味方したように、ひと言で言ってしまえばハマった競馬だからなぁ。斤量を背負って今回のような脚を使えるとは思えないし、次も走れるかとなると何とも言い難いところだね。
エキストラエンドは好位のインで流れに乗れていたし、勝負所の4コーナーで(吉田)隼人の手は動いていたぐらいだけど、そこまでに息を入れて運べたのが良かったんだろうね。調教の動きからして力強さに欠ける感じだから、中山の直線の急坂を一気に駆け上がるのはキツいはず。徐々に加速をつける形で、早め早めに動いて行ったのも良かったんじゃないかな。抜け出すタイミングは気持ち早かった感じはするけど、そのままジッとしていたら、馬群に包まれてしまう可能性だってあるわけだからね。位置取り、仕掛けのタイミングを含めて、隼人がうまく乗っていたと思うよ。最後の最後で交わされてしまったけど、ある程度前で運んで残ったのはこの馬だけ。良績がなかった中山（ダービー卿CT4着が最高）でこれだけ走れたあたり、非力なタイプなりに、ここに来て力を付けているんだろうね。
ヤングマンパワーは中団からだったんだけど、4コーナーで必要以上に外を回るロスがあったぶん、差し届かなかった感じ。外枠、位置取りからして道中で外を回るのは仕方ないとして、勝負所であそこまで外を回ることはないだろうに…。着差も着差だけに、コーナリングがスムーズだったらこの馬が勝っていたんじゃないかな。まぁ、最後の直線でも外へ逃げるような格好をしていたように、まだ若さが残っているんだろう。そんな現状でも大崩れしないあたりは立派だし、気性が成長して走りを覚えてくれば、もっと良くなるはず。一気に馬体が減っていた（マイナス22キロ）けど、これだけやれるんだから問題ないでしょう。却って動きやすい体つきになった感じもするから、その点についてはあまり気にしなくてもいいと思うよ。
グランシルクは直線で窮屈な所に入ってしまっただけに、ここまで詰めただけでも大したもの。休み明けで一気に12キロも馬体が増えていたように、成長分を差し引いてもいくらか重め残りだったフシがある。それでいてこれだけ走るんだから、改めて走る馬だと思ったよ。このひと叩きで次は大きく変わってきそうだから、負けはしたけど全く悲観することはないんじゃないかな。
先行馬にキツい流れになっただけに、ショウナンアチーヴは後ろでジックリ構えたのが良かったんだろうね。前に行って同じ脚を使えたとは思えないし、イチかバチかの競馬がハマったという点ではフラアンジェリコと一緒。次も走れるかなんて、さすがに何とも言えないよなぁ。まぁ、この人気（14番人気）、最近の成績からすれば良く走っている方でしょう。
アルビアーノは、コスモソーンパークに外から被された所でハミを噛んでしまったのが響いたね。追って切れる脚を使えない馬だけに、先行馬にはキツい流れだったにせよ、2番手から早め早めの競馬をさせた柴山の判断は間違っていなかったと思う。もう少し落ち着いて走れてさえいれば、結果は違っていたんじゃないかな。まぁ、コンマ1秒しか負けていないんだし、折り合いひとつでいくらでも巻き返せると思うよ。
それにしても、1着から7着まではコンマ1秒差の際どい勝負で、最後はほぼ横一線でゴールイン。ハンデ戦とは、どの馬にも勝つチャンスを与えるためのレース。斤量を決めたハンデキャッパーからすると、“してやったり”といったところじゃないかな。
ダローネガは、中団でジッとできていたし、直線で追われてからの反応も決して悪くなかったんだけどなぁ。坂に差し掛かったところで伸びが鈍って、周りの馬と一緒に流れ込んだ感じ。あともうひと踏ん張りできれば、勝負になっていただろうけど…。中山の急坂は合わないんだろうし、千八でも勝っているとはいえ、本質的にマイルも微妙に長いのかもしれないよ。
レッドアリオンは積極的に前へ行ったんだけど、平均ペースで息を入れられなかったぶん、最後はバタバタ。走りに遊びがなかったとあって、4コーナーでは馬が自分から走るのを止めていた感じだね。これだけ成績にムラがあると、とてもじゃないけどアテにはできないよ。
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