2015年9月16日水曜日

第52回東京記念②

では出走馬の評価をしていこう。

1枠1番ウインペンタゴン
13年の東京記念で3着した実績はある長距離得意のタイプだが、本来は左回りがベストで右回りの大井では割引が必要で、しかも近走は年齢による衰えが顕著で以前のような先行する事が出来ず、如何に得意の長距離戦と云えども追走で手一杯になる公算は大で軽視が妥当。

1枠2番プレティオラス
これまで東京ダービー・東京記念・大井記念の3重賞を何れも直線一気の末脚で勝利している事から判るようにツボにハマった時の末脚の破壊力は抜群で、中途半端に動くと終いの脚が鈍る事から直線勝負に賭けるだけの個性派で、今回は大井記念から一息入っているだけに最速の上がりを使えるようなベストの状態で出走可能かと云う部分が気になるし、前走の大井記念を含めて昨年暮れの南関に再転入してから常にレース最速の37秒前後の脚を使っているが、最後に届くか届かないかは外差しが決まる馬場と展開次第と云う他力本願タイプで少々アテにし辛い馬だけに能力は認めても取捨に迷うが本音。

2枠3番ファイヤープリンス
気難しいタイプだが、古馬になり気性面の激しさがレースで良い方向に出ており、川崎マイラーズで2着するなど上のクラスで実績を残しているのは好印象で、前走のスパーキングサマーCは一息入っていただけに7着と惨敗するも度外視は可能だが、気性の激しい馬だけに東京記念のようなコーナー6回の競馬は明らかにマイナスと云う印象があり、現実に同じくコーナー6回の今年初戦の報知オールスターCでは7着と敗れている事からも食指が動かない。

2枠4番ツクバチャーム
半姉に10年のTCK女王盃と中山牝馬Sのダートと芝の重賞で2着したウェディングフジコが居る血統で、ツクバチャームは中央未勝利で3歳の暮れに南関へ移籍、順調にレースを使えない為に下の条件から3年半と時間は要したが、ほとんど足踏みをせずにA級入りした馬で、待望の重賞初挑戦となった金盃では8歳馬ながら中団より前のポジションをキープ、派手に切れる脚は無いがバテずにジワジワと渋太く長い脚が使える自身の特性を活かして3角手前で2番手に上がる積極策から流れ込みを図り、勝ったフォーティファイドから2馬身差の2着と好走。
ただ、近走は加齢の為かズブさが増して前に行けず後方からの追走のシーンが目立ち、追い込んで届かずの結果が続くだけに長距離レース特有の緩い流れになり中団のポジションにつける事が可能ならば見せ場くらいは作れるかも知れないが、9歳と云う年齢からピークは過ぎた印象があるだけに今のツクバチャームに大きな期待をするのは酷。

3枠5番ビービーガザリアス
13年の距離2600の大井記念では軽量の52Kを最大限に活かしヤネが無理にハナを主張せず番手に控えて勝負ドコまでジッとガマンを決め込みスタミナを温存した事とこの日の馬場のインが軽い事を考慮してインコースに拘る騎乗が奏功してテラザクラウドをアタマ抑えてフォーティファイドの2着を確保、その後も道営・名古屋・金沢を渡り歩きながら長距離レースに照準を絞り、重賞の門別・ステイヤーズC、園田・六甲盃、笠松・オグリキャップ記念で其々2着するなど短距離ベターのサウスヴィグラス産駒ながら長距離レースに強いタイプだが、重賞2着と云えども勝ち馬がハルイチバンやリワードレブロンでは評価は微妙だし、大井記念では2着と云えども勝ったフォーティファイドから10馬身もブッちぎられており、それから2年以上も経過して今回は斤量を56背負わされる事を考えると勝ち負けは厳しいと考えるのが妥当。


3枠6番ユーロビート
昨年の東京記念を制してから不完全燃焼の結果が続いたが、ドロドロの不良馬場で力を出せなかった勝島王冠を別とすれば、エンジンの掛かりが遅い不器用なタイプで徐々に加速して他馬がバテるゴール前でようやくトップスピードになる馬だけに、コーナーで減速が余儀なくされエンジン全開になる前にゴールとなる直線の短い浦和や笠松のような小回りコースは不向きで力を出せずに終わったのは仕方ない。
やはりこの馬が真価を発揮するのは大井や盛岡のようなオオバコのコースで、現実に時計のかかるレースになった事や斤量54に恵まれたと云えども前走の盛岡・マーキュリーCでソリタリーキングなどの中央勢を一蹴しており、オオバコの大井コースで距離2400は自身ベストの条件と思えるだけに当然この東京記念の連覇を狙っているだろうが、今回気になるのは近走主戦騎手を務めていた吉原騎手が先日の落馬負傷で騎乗出来ない事よりも斤量59を背負わされる部分で、斤量が軽い他馬に足を掬われる可能性は否定出来ない。

4枠7番フォーティファイド
母はダートGで活躍したファストフレンドと云う良血で、南関でこれまで重賞2勝を挙げた古豪に相応しく今年の金盃で見せ場を充分に作る3着と好走したが、その後は順調にレースを使えない10歳馬だけに前走のサンタアニタTでは往時の能力があるかに疑問を感じたのは事実だが、そんな当方の考えをあざ笑うかの如くシンガリ待機から直線勝負に賭け、37秒6のレース最速の上がりをマークして4着と上位入線に成功、一息入れて不向きなマイル戦でこれだけ走れば、休み明けを一叩きして上積みが必至な事に加えて自身の適距離となる今回の2400Mならば見せ場以上を作る事は可能と思えるだけに注意が必要。


4枠8番タイムズアロー
中央時代は重賞勝ちは無いがナムラビクター・ソロル・メイショウコロンボ・トウショウフリークらの骨っぽい面子とOP特別で戦って僅差の競馬をしている事から能力はOP級なのは間違いない、事実前走の盛岡・マーキュリーCでは輸送の影響かマイナス19Kと馬体重を大きく減らしながらも中団待機から3角で仕掛けて前を捕まえに行く正攻法の競馬を試み、直線では口向きが悪い部分を見せたり、手前の替え方がスムーズでなかったにも関わらず最後まで2着争いに加わる4着と好走、今回は馬体が回復し万全の状態で出走すればマーキュリーCでのレース内容から勝ち負けしても不思議ではない存在。

5枠9番キタサンシンガー
中央では準OPで頭打ちとなり南関へと移籍したが、これまでB級の自己条件を5戦するも未だに勝利を挙げる事は叶わず、距離延長で一変するとは思えないだけに重賞では家賃が高く見送りが正解。

5枠10番アウトジェネラル
今年より2600Mの距離になった金盃を逃げ切って久々に勝利するも、長距離適性があると云うよりモマれ弱いタイプの馬がハナを切った奇襲策が奏功し、気分良くモマれずに競馬が出来た事が結果に繋がっただけの話で、モマれ弱いと云う課題をクリアしての勝利ではないだけにクラシックで活躍した実力馬の復活と安易に評価するの早計で、仮に今回ハナを切っても楽逃げを打った金盃の再現は厳しいはず。

6枠11番トーセンアレス
昨年の浦和に再転入後にスパーキングサマーCを快勝し実力健在をアピール、その後はダートGに出走し中央勢を相手に回して差の無い競馬をしている事もこの馬の能力を示しているが、再三指摘している様に中央時は1800~2000Mの距離で結果を残しているが、地方では距離が1900Mを超えると途端に詰めが甘くなり、現状はコーナー4つの1400~1800Mまでの距離がベストのタイプと云う印象で、如何に南関勢が相手と云えども今回の2400Mの距離に関して不安があり、自身ベストの条件だった前走のスパーキングサマーCで5着と敗れた事から休み無くレースを使っている事で疲労が蓄積している印象があり、ここは評価を割り引くのが正解だろう。

6枠12番ガンマーバースト
中央OPから南関へ転入後直ぐに頭角を現して重賞2連勝したが、翌年になると大崩れこそしないが勝てないようになり、重賞を連勝した頃の覇気が感じられないレース振りから売り切れたかと感じていたのは事実だが、本田騎手が騎乗してから控える競馬を教え込んだ事が奏功して3回船橋・柏の葉OPで直線一気の脚で差し切り勝ち、その後一息入れて臨んだ6回船橋・短夜賞でも次走の盛岡・マーキュリーCで4位入線したタイムズアローにゴール前でクビ差まで迫る2着と好走と控える競馬が板につき脚質転換に成功したレース振りからは再び旬を迎えたと判断したのだが、その後サンタアニタT7着・スパーキングサマーC4着と案外の結果が続き期待していた分だけ拍子抜けしたが本音。
ただ、南関転入後に勝った重賞は1900M・1800Mの距離だっただけに過去にマイル戦での勝ち鞍はあるがもう少し距離があった方がレースがし易いのかも知れず、距離が延長する今回がこの馬の正念場。

7枠13番センノデバギヤ
道営でデビュー後、2勝を挙げて中央へ移籍したが、中央では未勝利のまま再び道営へ戻り、道営で6勝を挙げてから南関へと移籍後は大井の外回りを中心に使われて勝ち鞍を積み重ねて昨年の金盃へと出走、斤量52と云う軽量を活かして6着と健闘したが、昨年の後半より得意の大井・外回りでの自己条件でも安定した結果を残せなくなるなど急激に失速したイメージが強くこの馬のピークは過ぎた印象があるだけに重賞では家賃が高く苦戦は必至だろう。


7枠14番カキツバタロイヤル
南関の重賞戦線を盛り上げたいぶし銀の存在も一時期は連対すら出来なくなり年齢から売り切れた思っていたのだが、昨秋に復帰してからは東京記念4着・埼玉新聞栄冠賞2着に年が明けてからも報知オールスターC2着などと勝ち馬から離されていたが復調の気配を感じるレース内容、続く報知グランプリCは順調さを欠き8着と敗れたが、その後は4回大井・隅田川OP3着・大井記念4着など勝負ドコで包まれたり、他馬に接触したりの不利がありながら上位入線を果たし、前走のサンタアニタTでも道中の手応えの良さに直線で外へ持ち出したヤネのボーンヘッドで3着に敗れたが、外へ進路変更しなければ2着の可能性があるなど9歳馬ながら元気一杯、全盛期よりやや渋くなった印象はあるが、元々左回りより右回りの方がスムーズに動けるタイプで距離の2400Mも守備範囲内だけに今回も上位入線する可能性は大。


8枠15番クラシカルノヴァ
半姉に金沢デビューで南関に移籍後も重賞で活躍、通算18勝を挙げたチヨノドラゴンが居る血統で、デビュー後は下の条件を使いながらジワジワと力をつけて4歳暮れの準OP特別でバト-ドールを降してOPクラスまで出世、12年の名古屋GPはエーシンモアオバーの半馬身差2着と健闘、その後13年のダイオライト記念で4着に入るなど地方のダートと長距離の適性は実証済みだが、今年に入っての3戦は何れも大敗ばかりに加えて前走のサンタアニタTを右前球節炎で出走取消と肝心の状態に疑問があるだけにここは静観が妥当と思える。


8枠16番ハブアストロール
昨年の勝島王冠では11番人気の低評価ながら53Kの軽量を活かして直線一気の末脚でステイブルメイトのハッピースプリントらを一蹴して大金星を挙げたが、軽量と他馬が実力を出し切れなかったドロドロの不良馬場に恵まれての勝利だけに鵜呑みには出来ず、事実その後は勝利を挙げるどころか掲示板すら載れない体たらくで、斤量58を背負わされる今回は厳しいと考える方が自然だろう。


see more info at 南関診断士の南関競馬徒然草