2015 11/1(日) 天皇賞(秋) 東京芝2000m
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今年のマイル路線でモーリスとともに注目を集めていたのがヴァンセンヌ。勢いに乗ってまずは東京新聞杯で重賞初制覇。そこから京王杯スプリングC2着、安田記念2着と高い府中適性を示しながら結果を出してきた。この秋は中距離にシフトして初戦に毎日王冠に挑んだがここで積極策から直線伸びを欠く形となった。距離はさらに延長する形になるが、戦法含めてどういう競馬を見せてくるか。持ち味の末脚を引き出して逆襲したい。
前走でどこまでやれるか見たかったんだがポジションを取ったことで何が敗因かちょっと掴みにくかったのが厄介。今回は更に距離延長してくるのでもちろんポイントになる。なかなか難しいがマイルの感じを見ると1800までは問題ない感じだったんだがなあ。前走をどう解釈するかだろう。
まずは東京新聞杯、嬉しい重賞初制覇の舞台から振り返る。2月開催で良でも時計が掛かり気味だった中で稍重と明らかに時計が掛かっていた状況での競馬。ペースバランスは48.3-47.4とややスローの範囲で12.0 - 12.2 - 11.8 - 11.3 - 12.1とL2最速11.3は馬場を考えればトップスピード面を要求され、L1で落ちている中でのバテ差しが示すように基本的にはTS持続力が問われた。出負けして後方列からスタート。そこからペースもあ上がらなかったこととスペースもあったことで掛かりながらスペースを押し上げていく感じになった。それでも3~4角で上手く壁を作って3列目で直線を向くと序盤で進路を確保して早い段階で伸び、L2では先頭に立つ。L1で外からアルフレード、内から古^キー辺りも詰めてきたがこれを何とか封じ切った。まあL1結構危うかったが掛かりながらも上手く進路を取って直線抜け出す脚というのは見事だった。また馬場も重め、ペースも遅くマイルよりは中距離適性を要求される形になって結果を出してきたなという感じだった。余談だが福永が意図していたかどうかは分からないがここでのポジションの押上げはスミヨンのような競馬ができていたと個人的には感じている。折り合いを抑えつけるよりはスペースを活かしてポジションを上げると同時に少しガス抜きするというようなちょうどいいバランスを取れていたんじゃないかなという内容でもあった。ともかくゆったりとした流れから折り合いを何とかこなして直線でのギアチェンジ面を見せたというのは高く評価したいし中距離も十分戦えそうな印象をここでは持っていた。
京王杯スプリングCはかなり極端なドスローとなった。東京芝1400m戦でペースバランスは36.0-33.7と2秒以上のドスロー、11.6 - 11.9 - 11.3 - 10.8 - 11.6とL2最速10.8でここでも少し渋っていた割にかなり速いラップを要求された。外枠でここでもやや出負け気味で無理せずに後方からの競馬。道中かなりのドスローではあったが意外と折り合っていて後方外で壁を作らず動かない。3~4角でも後方馬群の中で進めつつ最後方列で直線。序盤でサクラゴスペルの直後のスペースを上手く押し上げてL2の最速地点でもしっかりと伸びて中団まで押し上げる。L1で内の各馬が下がったところでグンと伸びて来てサクラに並びかけるが届かずの2着。まあ結果的にこのドスローであの位置では如何ともという競馬だったが、恐らく福永的には折り合い不安で出していかなかったら案外ちんたら走ってしまったという感じかなと。直線まで待ってそこからの進路どりは良かったと思うが。まあいずれにせよ後ろ過ぎたのが敗因ともいえるし結果的に2着にはきたが内の切れる馬たちが軒並み詰まったのもあるのでこの一戦はあまり参考にはしづらい。
そして安田記念である。東京芝1600m戦、不思議なことにこの馬が走るレースは今年の上半期の府中全てで雨が残っている馬場である。安田記念も良馬場発表だが雨で先週までの超高速馬場とは一線を画していた。ペースバランスは45.9-46.1と平均、11.6 - 11.4 - 11.2 - 11.3 - 12.2と淀みなくコーナーでも速いラップを刻んでL1減速という厳しい競馬になっている。五分に出てそこから無理をせずに、しかしさすがに今回はある程度の位置、中団で進めていく。道中も中団馬群の中で折り合いに注意しながら壁を作りつつ3角。3~4角でも中団馬群の中で進めながら直線。序盤で内目を狙うがここで進路がなくなって外に誘導、L2ではまだ進路確保できずにそれでもスルッと伸びてくる。L1で捌ききってもう一伸びというところだったがあと一歩が届かず悔しい2着となった。まあ福永らしいというか、上手くバランスとって乗ってきたときに限ってそれ以上の競馬をした人馬が前にいると。このケースではモーリス川田がギャンブルを仕掛けてポジションを取って強気の競馬で押し切った形だが、このヴァンセンヌの形の中ではしっかりと脚を引き出してきたとは思う。第一L1で結構落ちているしコーナーでロスなく立ち回ったのでL1であの差なら差し切れても良かったと思う。その辺りもうちょっと馬の地力も足りなかった面はあるかもなあという感じ。まあ強いて言えば後ろからの競馬より序盤怖がらずに競馬してどうか?というところも試しても面白いかなとは思ったが。
さてそんなこんなで夏を越えて毎日王冠である。福永が降ろされて鞍上に横山典弘を用意。東京芝1800m戦で距離延長とコンビ解消でどういう競馬になると思ったが悪い意味で予想外の競馬となった。ペースバランスは47.9-45.7と2秒以上のかなりのスロー、12.0 - 11.7 - 11.0 - 11.3 - 11.7とL3最速でTS持続特化戦をエイシンヒカリが展開してきた。この中でまずまずのスタートを切ってきてそこからじわっと出していきながら番手を確保する。流石に頭が上がって折り合いに苦労していたがコントロールしながら進めていく。3~4角でもまだ持ったまま楽な競馬で進めて2列目真ん中に吸収されて直線を向く。序盤で追い出されると反応はしていてジリジリとは伸びるがイスラに一気に抜かれる。徐々に減速して呑み込まれての完敗だった。ひとまずこのクラスまで来るとトップスピードの持続力が足りない可能性があるのと、やはり前目で競馬したことも多少は影響があったかもしれない。このペースなのでポジションを取っての競馬自体は良かったと思うんだが、それでも結果としてこれまでにない失速をした。TS持続力はそこまで高くない感じはあるんだが、特化戦になったことが響いたかなと言う面もある。後は前述のとおり上半期は全て渋った馬場でもあったのでその点で開幕週で完全な良馬場というのも適性的にミスマッチだったかもというところ。距離も延びたしいずれにせよ考えうる敗因が多すぎてかつ大きく崩れたので非常に難しい。
ひとまず距離に不安があること、加えて外枠を引いてしまったので出していって掛かるリスクが大きくなったことをどう判断するかである。そのうえでこの馬にとっての武器を考えるとやはり最速地点まで、特にトップスピードの質に良さを感じる馬なので、それを引き出す展開になるかどうかだが現実的にはちょっと厳しいかもしれない、というところだ。ただし、どう見てもこの馬は少し渋ったぐらいの馬場の方がマッチしているので雨が降ってくるとかすかな希望は見えてくるのかなというところ。東京新聞杯でも結局はL1で強敵とはいえアルフレードやフルーキーの追撃を許しているし、余程上手く運ばないと難しいかなと感じる一頭だ。1800でもう一戦見てみたい気持ちはあるが、1800で結果を出せずに2000に延長…その過程で結果を出せなかったのは確か。色々な敗因は考えられるにせよ今回の条件で強気で狙うだけの材料に乏しいのは確かだろう。個人的には今回は馬券の対象にはしない予定だ。
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