2015年10月4日日曜日

凱旋門賞 2015 敗因分析・回顧:トレヴの敗因は?デットーリマジック+3連覇の重圧で仕掛けが遅かった

2015 凱旋門賞(GI) ロンシャン芝2400m良
トレヴの敗因分析

2:27.23 88.78-24.19-11.95-10.76-11.55

1400:1:28.78
1800:1:52.97
2000:2:04.92
2200:2:15.68
2400:2:27.23


 3連覇を期待されながらも伸び悩んで4着に終わった凱旋門賞2連勝のトレヴ。敗因を分析していく。


 4着トレヴはやや出負けしていい位置は取れずに中団馬群の中でマークを受ける立場。これを最序盤の段階で嫌ってやや強引に捌いて外に持ち出し3角前に前を向く形になった。3角の段階では中団を意識する後方列という位置取りでポイントの下りに入っていく。ここで外からどうしてもかかり気味になって鞍上ジャルネが何とか前の馬を壁にしながら我慢をしていくという競馬。それでも折り合いに苦労しながら仕掛けることができず。フォルスストレートでもまだ大きくペースが上がらないまま口を割りつつ直線を向く。序盤で中団から外々伸びを見せて一瞬の脚を一気に天下。しかし最速地点でいつもの切れがない。そのままL1までなだれ込むだけで3着争い僅差まで持ち込むも4着となった。


 自分のイメージとは少し違う形の競馬での敗戦だったが、日本で凱旋門賞を狙う陣営は今日のトレヴの競馬とフランキー・デットーリ&ゴールデンホーンの競馬をしっかりとみておくべきだと思う。凄く良い教材になった。


 トレヴは最初の凱旋門賞時に猛烈に突き抜けられたのは斤量の恩恵が大きい。ラップ推移的にも今回に近いL2最速が明確なトップスピード戦で動いていったフォルスの段階ではまだ緩い流れだった。今年はなぜ伸びなかったのかは斤量の恩恵もあるのだが、フォルスで押し上げていった1年目と今回は直線までずっと我慢しっぱなしになったということが響いているだろうと思う。前を向いてフランキーが出し抜きの競馬を明らかに狙っているんだが、緩い地点で押し上げられずに直線の最速地点で仕掛けが遅くなったことで前の馬、ゴールデンホーンなんかもトップスピードに上手く乗せる競馬になったと。これが非常に痛かった。トレヴの場合は本当に凄いのは一瞬、加速してトップスピードに持って行くまで。このレベルの馬を相手に置きに行ってしまうとトレヴも苦しいということがまず一つ。


 このレースをラップ的に見た時に注目すべきはL3の遅さでフォルスから直線入りの段階でも11.95と非情に遅い。究極のギアチェンジ戦になっているが、もう出し抜く意識で乗っていたフランキーに対して外から差を詰めながら直線半ばで最速10.7というような速いラップを流石にトレヴも詰めるのは難しい。最後まで踏ん張って伸びてきた辺りは調子の良さもあったかもしれないが、結局あの位置で外でいつでも動けると満足して置きに行く仕掛けになった。もちろん超絶に高いレベルの話だが、トレヴにとって本当にいい脚は一瞬、昨年もかなり嵌ってポケットからラビットがよけて出し抜く形なので実質先頭列で一気に出し抜いたからそのギアチェンジが強烈に見えた。後ろからで前が仕掛けていく流れの中で我慢しながら徐々にという競馬になってしまうと、エンジン点火は速くても究極の10.7のトップスピード面に前が乗ってしまっている段階ではギアチェンジ面ではなく純粋にトップスピードの質勝負になっちゃうからね。





 まあジャルネがどうこうっていうよりも、やっぱり昨年みたいに気楽な立場で挑めたならともかく、マークされて明らかにラビットのシャアに対してニューベイやゴールデンホーンが策を講じてしっかりと対応できた中結局中団で我慢する競馬になってしまって勝てるほど甘くないということかな。ラップ的にはこの馬向きになってはいるけど、緩い地点で初年度の様に動けていたら違ったと思うんだけどね。まあ安全策で馬群の中から捌いて外に出してエキサイト気味、そこから3角の下りでやっぱり掛かり気味、こうなっちゃうと仕掛けの意識を持つ余裕がなくなってくるという感じはあるかな。


 日本陣営に言いたいのは、フォルスでやれ動くなとか、内でやれ我慢しろとか、そういうざっくりとしたアバウトな戦術じゃなくてもっと明確に意図をもって挑むべき。凱旋門賞では基本的に前で受けて仕掛けを我慢して出し抜く今回のゴールデンホーン的な先行を敢行するか、TS持続力に長けた馬を持って行って後方外から早めにエンジンをかける形で勝負に行くか。内で我慢するならせいぜい2~3列目まで。後方内とかは今のロンシャンでは死地。内で折り合わせて我慢とか、そうじゃなくて勝つためのポジションを取るにはどうすればいいかをちゃんと考えないと。今日のフランキーを見て思ったけど、天才というよりは鬼才的なんだよね。緻密に計算された乗り方をしていた。ああいうしっかりとビジョンをもってレースを作るなり、3歳時のトレヴやキズナみたいに緩い地点で仕掛けて壊すなりしないとダメ。オルフェーヴルがトレヴの動きについていってたら面白かったと思うし。そういうのも含めて、やっぱり基本的にはレースを作っていく意識を持ってほしいかな。今日のトレヴはデットーリに作られてしまったレースの中で置きに行く結果が伸びあぐねた原因だと自分は思っている。3連覇というのはなかなかに難しいのは馬というよりも騎手の心理的に難しいというのが大きいのかな。




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