2015 ジャパンカップ(GI) 東京芝2400m良
レース回顧・結果
2:24.7 12.7 - 10.8 - 11.7 - 12.1 - 12.0 - 12.3 - 12.6 - 12.7 - 12.5 - 11.8 - 11.5 - 12.0
59.3-60.5H
カレンミロティックがラビット役になった感があるジャパンカップ。もちろん蛯名が思い切って主体的にという感じもなくはないんだけど、いずれにせよ単騎逃げでペースは1秒以上のハイになっている。離れた番手では60秒ペースではあったので、実質的に番手以降は綺麗な平均ペースぐらいでは収まっているのかなという感じ。そしてペースがそこそこ流れているという認識を各馬が持っていたこともあって仕掛けが遅くなっている印象。カレンがこのラップ推移でも4角まで差をそんなに詰められていないし恐らく、2~3番手の馬も4角ではまだ12秒ぐらいでちんたらしていた感じ。イメージ的には去年のワンアンドのダービーみたいな感覚になったかなあという印象で、直線で結構団子状態になって僅差に終わったのもなんとなくわかる。意外と総合力が問われているんじゃないかと。もちろん極端なトップスピード戦にはなっていないとは思うが、それでもラブリーデイなんかは感覚的には11.4-11.0-12.1ぐらいで、動いてきた馬はある程度TS持続も要求されている感覚。ラブリーが直線でぐっと抜けてきたところからも見た目以上にある程度速い脚を要求されてはいると思うんだよね。秋天ほどではないにせよ。その辺がラブリーが想像以上に強い競馬で頑張れた要因でもあるかな。そういえばワンアンドも結構頑張ったのはその辺かなあ。
1着ショウナンパンドラは五分のスタートからある程度積極的に突いていって中団外ぐらいで追走していく。道中もある程度は流れている中で中団馬群から3角へ向かっていく。3~4角ではシップが動いてくれたので中団馬群の中でラブリーデイを目標にしながら中団やや後ろで直線。序盤でしっかりとラブリーが抜け出した直後を選択。L2でもジリジリと伸びて来て最後に上手く進路を取ると、L1で強襲バテ差しとこの馬の良さを引き出し切って内で頑張るラストインパクトを捕えきった。いやあ、もうこれは池添を褒めるしかないんじゃないかなあ。めちゃくちゃ上手かったよ。全てにおいて良いバランス、良い選択を取ってくれた。厳しい流れの中でまず無理をしない中でも中団は確保して流れに乗った。シップが動いていく中で進路としては一番信頼できるラブリーデイの後ろを選択、我慢しながら直線で完璧に取り切った。そしてL1でラブリーを捕えてバテ差しを完了。素晴らしいですね。やっぱり池添には良い馬に乗ってもらいたいね。馬に関しては恐らくトップスピード持続戦に近い形でL1は落ち込んでいる中でばてずに食い込んできた。過去はこの競馬だとちょっと甘くなっていたんだが、今年の秋はポテンシャル戦で圧倒したのもあるが天皇賞秋でもこれまで甘かったところをしっかりと詰めてきた印象だったし、あの段階でジャパンカップではラブリーデイより上に打ちたいなと思わせる内容だったが、完璧にL1でのバテ差しを見せてくれた。TS持続力も今はトップクラスにあるだろうね。極端なトップスピードの質を要求されなかったのも良かったと思うけど、今回に限っては池添アッパレだったかな。有馬記念でも当然狙いたい馬だし、オールカマーの内容や今回のJCの内容からも池添ならと思っちゃうね。良い騎乗だったし馬も最高のパフォーマンスで応えてくれたね。言うことがほとんどない、人馬ともに完璧でした。
2着ラストインパクトは五分に出てそこから内目を狙いながら少し押しつつ中団を確保する。向う正面でも中断の最内でジッとしてしっかりと我慢、3角へ向かっていく。3~4角では最内を追走しながら外から動く各馬を我慢して直線で内に切り込む。序盤でちょっとスムーズさを欠いたがそこから最内に入り込むと後はムーア劇場。L1まで猛然と追い通して一気に伸びてくるとL1までしぶとく脚を繰り出してあわやの2着、ラブリーデイを撃破しての2着と穴馬券を演出した。ムーアが良かったというのももちろんあるね。ムーアが良いというより日曜通してこの競馬をしているのにムーア以外の騎手がもっと内を狙えよというのはもろにあるんだけどね。ただこうやって進路を確保して流れが動いてからのムーアってのは最強クラス。剛腕というのは伊達じゃないね。シップが外から動いた段階で良い位置いたし捌ければと思ったら内もがっつり進路取れたからね。馬自体はこの展開でペースが上がったけど無理をしなかったというのも大きいし、トップスピード戦ではあったと思うんだが天皇賞秋と違っても極端ではなかったと思う。11秒を切るような脚を要求されなかったのは大きかったかな。基本的にはポテンシャル戦向きだと思うし、金鯱賞でラブリーを破った時も1秒以内で適度には流れていたからね。これぐらいの距離である程度流れた方がいいタイプ、かつ無理をせずにというのが良いんじゃないかな。TS持続力は微妙かなと思っていたんだけど、この辺を動かして最後まで持たせることはムーアの真骨頂だしね。出し切る競馬ができた時のムーアは本当に頼りになる。今日の府中は内ががばがばだったのもムーアの良さが出易かったのもあるし、人馬の良さが噛み合ったというのは大きいかな。やっぱり極端な特化戦にならない方がいいねこの馬は。ある程度の流れから極端なトップスピード戦にならない舞台で良さが出た。それとシップの動きでレースが動いたのも大きかったとは思うね。
3着ラブリーデイは最内枠からまずまずのスタートだが、やはり外からポジションを取ってくる馬が多く巻き込まれる形でポジション争いでは苦労しつつ…それでも何とか3列目のポケットは確保でひとまずは悪くない入り方。道中はある程度流れる競馬にはなって、結果的にイラプトより一つ後ろでレースを進めていく。3角ではまだ好位の中目で我慢、イラプトをマークしながら4角でシップの動きに合わせてイラプトの外から蓋をしてそのまま動いて直線。序盤で加速していく流れで瞬時に反応、一気にL2で先頭に躍り出る。しかし王者の走りもここから甘くなり、最後は内外から差し込まれて3着と涙を呑んだ。王者としては王者らしい競馬をしてくれたなと。負けはしたけど、イラプトを潰しにシップの仕掛けを利用して動いて勝ちに行く競馬。内外から来るなら来いという競馬をしたところに川田の成長だと思う。天皇賞秋で甘くなったから我慢はしたかったと思うけどそこそこ流れたうえでシップが動くってのは決していい状況とは言えなかったと思うんだが、その中で馬に託す競馬をした。まあ総合力で勝負するタイプなのでどうしたって仕掛けが手前になってしまうと苦しいんだが、それでもレース全体がある程度流れてくれたこともあってコーナーで動いたように見えてもまだあそこではラップ的に遅い地点だったし、そこから一気にギアチェンジでというのはこの馬の良さだよね。結果的に僅差だったからあとちょっと待てていればってところだけど、シップがきた段階ではあれが最善だったかな。まあ敢えて言うならやはり最序盤のポジションかなあ。最内枠でやはり攻める騎乗とまではいけなかった。ポケットでいいやって感じになったところ先行争いが激化してきたので外から外から来られたし、結果的にイラプトのパスキエが勝負所で致命的なミスをしたから直線入りでは一列前で競馬ができたけど、ラブリーとしてはやはりもうちょっと前で我慢したかったかな。あの位置にいたらあそこで仕掛けざるを得ないしね。結果的には早仕掛けだけど、1番人気を背負った競馬としては及第点の内容かな。馬はやっぱり要所のギアチェンジは凄いんだけどね。ただトップスピードに乗ってからはどうしてもちょっと甘くなる。今回はかなり頑張ったけど、ショウナンにL1バテ差しを許したのはL1のラップ12.0をほぼ自ら踏んでいるというように、最後の甘さが秋の天皇賞よりも明確だった。この辺りかな…。高いレベルで総合力を兼ね揃え、トップクラスのギアチェンジを持っている馬なので、勝ちに行くよりは基本的には我慢したい馬なのは間違いないと思う。しかしやっぱり来年の凱旋門賞を意識してほしいね。前でやれる馬としてはゴールデンホーンの出し抜きを許さないギアチェンジがあればとも思うし。京都大賞典みたいにドスローなら切れる脚を非常に長く使えるから溜める分だけというのも欧州と合いそうな気はするんだけど…と思ったらよく考えたら来年はシャンティイだったなあ…。
4着ジャングルクルーズは五分には出てそこから無理のない範囲で中団の最内を確保、ラストインパクトと近い位置で進めていく。道中もラストの直後をぴったりマークしてしっかりと進めて3角。3~4角でも最内を立ち回りながら4角でも最内を我慢。直線でラストがインを突いたのを見て決め打ちで内を狙う。道中は壁になっていたがL1で最内を確保すると最後までジリジリとは伸びて大健闘の4着に入り込んだ。まあびっくらこいた、というのが率直な感想で、まあ最内を完璧に立ち回ったのは確かだが、それにしても最後までジリジリと伸びてきたように結構やれたなあというところ。ワールドオールスタージョッキー戦ではモレイラが完璧に進めたのもあるし今回のメンバー構成で超一級はいないにせよ厳しいだろうと思っていたんだが、これはやられたなあ。極端なトップスピード戦ではないがTS持続戦ではあったと思うし、まあ今の府中は内が伸びていたからね…。そういった面も噛み合ったとは思うがそれでも大健闘と言っていいでしょう。ジャンポケの仔は結構こういう時の府中で怖いんだよなあ。
5着サウンズオブアースは五分のスタートからじわっと先行争い、好位列ぐらいから進めていく。道中1角の厳しい先行争いの中で好位の外をしっかりと取り切って進めていく。向う正面では上手くラブリーデイを意識できる位置を確保しながら3角。3~4角ではラブリーの外から並びかけに行くような感じで仕掛けて直線。序盤でラブリーと一緒に喰らいつきたかったが坂の上りで離されてしまう。そのまま出し抜きを喰らってL1でラブリー比較ではジリジリと差を詰めようとしていたがそれでもショウナンやラストには伸び負けして5着完敗だった。京都だと直線入りの最速地点では結構対抗出来ていたしキレ負けする感じの馬ではなかったんだけど、やっぱりネオの仔なわけで府中の上り坂で加速していく中ではラブリーのギアチェンジに見劣った感は否めないかな。やっぱり府中の直線は上り坂で加速するというファクターが追加されることが多いし、ある程度適性としてあるんだろうなと思う。恐らく実質的にもL2最速が明確だと思うし、直線半ばでもトップスピードに載せなきゃいけない状況で、前を向いて完璧にイメージで来たけどそこでラブリーに置かれちゃったかなあという感じ。悪くはない内容なんだけど、結局勝ち切るにはこれといった武器がないというのも確かなので、この辺が上手く噛み合わないといつまでたっても善戦マンのままという感じはあるかな。結果的に女系世代だったんだろうな4歳は…。悪くない競馬から何かしら強烈な武器を引き出してもらわんとなかなかなあ。有馬記念の方がそういう意味では総合的な良さを引き出せそうではある。ポジションを取れたし流れを上手く作ってコーナー勝負に持ち込む方がいいかもしれんね。
6着イラプトはこちら
8着ミッキークイーンはこちら
10着ゴールドシップはこちら
see more info at 敗因分析のバイブル~競馬をやって何が悪い。