最後に、チャンピオンズCの回顧。
サンビスタは、スタートを決めてすぐに好位に付けられたし、インコースを通って一切ロスのない競馬ができていたね。そして、何より良かったのが直線でのコース取り。包まれないように躊躇なく外へ持ち出すあたりは、さすが(ミルコ)デムーロ。調教の動きからして順調に来ていたみたいで状態が良かったにせよ、完璧な競馬ができていたように、デムーロの好騎乗も結果につながったんじゃないかな。去年のこのレースでも4着に来ているぐらいで、もともと牡馬と遜色ないほどの力がある馬。そろそろ繁殖入りが近いらしくて現役生活は残りわずかみたいだけど、また大レースを勝つチャンスは十分あると思うよ。
ノンコノユメは、後ろでジックリ構える自分の競馬に徹していたし、直線でも最内を突いてロスのない競馬ができていたように、この馬とすれば最高の競馬ができていたんだけどね。ただ、いつも以上に勝負所の3コーナーあたりからモタついていたあたり、エンジンの掛かりが遅いこの馬には、カーブがキツい中京は合わなかった感じ。あそこでスムーズに上がって行けていれば、結果は違っていたかもしれないよ。サンビスタとはコース適性の差が出ただけ。力負けとは思わないし、3歳馬でこれから力も付けていくだろうから、全然悲観することはないんじゃないかな。
テンからペースが速かったうえに、向正面からローマンレジェンド、ホッコータルマエらが早め早めに動く展開。いつも通り後ろからの競馬になったサウンドトゥルーにとっては、お誂え向きの流れになってくれたね。直線では良く追い込んで来たけど、あくまでも前崩れの展開が味方してのことだからなぁ。ここに来て力を付けているとはいえ、いかんせん終い一手で自分から競馬を作れないのはネック。これからも流れに左右されてしまいそうだし、アテにしづらいタイプだね。
ロワジャルダンも後ろからジックリ行っていただけに、前崩れの展開が味方したクチ。コーナーでは外へ出さずに内寄りで我慢できていたし、最後の直線でも馬群を捌いてロスを最小限に抑えられている。不利な大外枠なりに最善の競馬ができて、終いも良く伸びていたんだけど、上位3頭にはそれ以上の脚を使われたということでしょう。完敗だったとはいえ、キャリアの浅い4歳馬だけに、これだけやれればむしろ上等。まだまだ力を付けてくるだろうから、来年はもっと良さが出てくるんじゃないかな。
ホッコータルマエは、先行勢を見ながらレースを進めて、ペースが速いにもかかわらず、向正面から早め早めに動いている。4コーナーでも自分からコパノリッキーを捕まえに行っていただけに、さすがに最後は苦しくなってしまったね。まぁ、勝ちに行く競馬をしただけに仕方がないし、相当キツい展開でもバタバタにならなかったあたりは立派。伊達にGIを9勝していないといった感じで、改めて力のあるところは見せてくれたんじゃないかな。いくらでも巻き返せると思うから、悲観することはないと思うよ。
ワンダーアキュートは、中団からジックリ構えて終い勝負。直線ではしぶとく伸びて来ていただけに、4コーナーで外へ持ち出す羽目になったのが痛かったね。ただ、後ろから行けばロスは出やすくなるもので、どの馬もノンコノユメのように最内を突けるとは限らないし、こればかりは仕方がないだろう。追い切り診断でも触れた通り、状態は良かったみたいで、この馬なりに頑張っていると思うけどな。
コパノリッキーは、1コーナーで先手を取れたんだけど、外のクリノスターオー、ガンピットに突かれたうえに、3~4コーナーでも後続に早め早めに来られている。息を入れられるところがなかっただけに、この結果は仕方がないだろうなぁ。他馬の出方に臨機応変に対応できて、揉まれる競馬もこなせれば、こんなことにはならないんだろうけど…。それに、調教ではいくらか重い感じがしたし、当日もプラス10キロの馬体重。その辺も少なからず影響したんじゃないかな。
ローマンレジェンドは、中団からの競馬。向正面から早め早めに動いていたにせよ、最後はちょっと止まり過ぎ。調教ではしっかりした走りをしていたように、状態面はいいと思っていたんだけど…。走る方に馬の気持ちが向いていなかったのか、それぐらいしか考えられないね。
ガンピットは、積極的に先行したんだけど、4コーナーではアラアラの手応え。香港のオールウェザーでは無敵の馬で、いくら香港のオールウェザーがダートに似ているとはいえ、日本のダートには合わなかったんだろう。調教でも、前駆の動きに力強さが欠ける感じだったからね。
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