月曜恒例の重賞回顧を始めるよ。日本ダービーからいこう。
マカヒキの川田は、ダービーを勝てる乗り方をしていたよ。フルゲートが30頭近かった時代は、後ろからの競馬だと馬群を捌くのに苦労するから、「ダービーポジション(1コーナー10番手以内)」というのがあったんだ。今はフルゲート18頭だけど、今回にしてもペースが落ち着いただけに前で競馬をするに越したことはないよね。スタートを決めて中団あたりに付けられたし、インコースを通ってロスのない競馬ができている。馬が素直で変にムキになるところがないぶん、皐月賞よりも前で積極的な競馬をしてもスムーズに折り合えたんだろうな。最後の直線で窮屈な所をこじ開けて抜け出せたのは、ここに来て力を付けているから。調教でも前回に比べて力強い動きをしていたしね。馬が力を付けていたうえに、川田も最高にうまく乗っていた。ダービーの大一番でこれだけ最高の競馬ができれば言うことはないよなぁ。これだけ折り合いがつけば距離が延びても大丈夫だろうから、この秋はどこへ向かうにしても楽しみだよ。
サトノダイヤモンドは、3コーナーからもインでジッとしていたマカヒキに対して、外へ持ち出していたね。おそらくルメールは馬場の傷んだ所を避けたかったんだろうけど、最後は外を回ったぶん、距離ロスの差が出てしまった感じかな。サトノは比較的馬場状態のいい所を走って楽をできたとはいえ、馬場の傷んだ所を走っていたにせよマカヒキはインにいたぶん、距離ロスを抑えられたから。まぁ、馬のことを考えて大事に乗ったわけで、ルメールは責められないよ。距離ロスがあったうえに、落鉄もしていたんでしょ? それでいてハナ差の勝負に持ち込むんだから、“負けて強し”の2着だね。皐月賞も強い競馬をしての3着だったし、もうGIを勝てるだけの力は付いている。あとは微妙なコース取りとか、ほんのちょっとのことだけ。いずれにしても、全然悲観することはないんじゃないかな。
ディーマジェスティは、マカヒキ、サトノダイヤモンドと同じような位置、中団のいわゆる「ダービーポジション」にいたんだけど、いつもよりも前で競馬をしたぶん、終いの切れが鈍った感じだね。皐月賞の時のような脚を使えていれば、最後の直線でサトノに内から寄られる前に抜け出せていたかもしれない。でも、いつもより前で競馬をしたのは勝ちに行ったからで、こればかりは仕方がないでしょう。切れが鈍って寄られる羽目になったとはいえ、ゴール前では2頭と差のないところまで詰めて来たんだから立派な3着だよ。皐月賞勝ちがフロックじゃないとを証明できたし、これから力を付けていけばもっと良くなるだろうね。
エアスピネルは、スローペースと読んで前々で運んでいたし、折り合いもピッタリとついていた。最後の直線でも目一杯に追わずに、自然と抜け出す感じ。この競馬ができたのもコーナーをそれぞれ距離ロスなくスムーズに回って来たからで、(武)豊は最高にうまく乗っていたと思うよ。それでいて負けたんだから、前の3頭が強かったとしか言いようがないなぁ。これだけ折り合えるようになったのは、今まで豊が根気強く競馬を教えてきたからだろう。気性面が成長した今なら2400mでも長いということはないし、あとは肉体面でもっと成長して力を付けてくれば…といったところだね。
リオンディーズは、これまで競馬を教えてこなかったツケが回ってきた感じだなぁ。弥生賞、皐月賞では馬の気分に逆らわず好き放題に走らせてきたのに、いきなり我慢をする競馬をしてうまくいくわけがないよ。スタートから頭を上げて折り合いがつかず、位置取りが悪くなった。おまけに最後の直線でもゴチャついた所に入って、終始チグハグな競馬になっちゃったから…。普通の馬ならどこさもないところなのに、ここまで詰めて来るんだから大したもの。やっぱりこの馬は相当強いね。今回で苦しみながらも我慢させたんだから、次も同じよう乗り方をしてほしい。競馬を覚えさえすれば、かなりの活躍をする馬になると思うよ。
スマートオーディンは、中団でジッとできていたんだけど、ペースがペースだけにハミを噛んでいたね。戸崎は何とかごまかしながら乗っていたとはいえ、うまく息を入れられなかったぶん、直線で切れる脚を使えなかったんだろう。まぁ、前回(京都新聞杯1着)に続いて我慢する競馬が形になりつつあるから、そう悲観することはないよ。こういった競馬が板に付けば距離もこなせるようになるんじゃないかな。
レッドエルディストは、後ろからジックリ行って終い勝負。調教を見てもまだ緩くて芯が入っていない感じだから、ゲートの出がイマイチだったこともあるけど、四位は馬に負担が掛からない競馬をしたんじゃないかな。さすがに前には届かなかったとはいえ、1秒も負けていないんだから。全体的に馬がパンとしてくれば走ってくるでしょう。まだまだこれからの馬だよ。
プロディガルサンは、休み明けの前回(青葉賞4着)よりも落ち着いて走れていたし、ペース的にも前々で積極的な競馬をしたのは良かったと思うよ。それほど切れる脚を使う馬じゃないから、溜めるだけ溜めても限界があると思うしね。自分の競馬ができても粘れなかったとなると、この距離は長いということじゃないかな。
ヴァンキッシュランは、マカヒキ、サトノダイヤモンドあたりと同じような位置にいたのに、直線でサッと離されちゃったね。切れ味勝負だと分が悪いみたいだし、これまで戦ってきた相手と今回の相手は全然違うから…。まぁ、大舞台で強い馬たちに揉まれた経験を糧に、これからどう変わってくるかだろう。
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