2016年8月1日月曜日

ベルカントはスピードが生きる新潟の軽い芝が合う

次は、アイビスサマーダッシュだね。

ベルカントは、スタートを決めて、抑えたままで外ラチ沿いまで持って行けている。ネロをマークするような形で、デムーロが思い描いていた通りの競馬ができていたと思うよ。追われてモタモタしたのは交わしに入った時にラチ沿いを離れたから。右に張る癖を出したからだろうけど、結局は併せ馬の形になったのが良かったんだろうね。ネロのしぶとさに手を焼いてデムーロが慌ててムチを入れていたとはいえ(ムチの使用法で30,000円の過怠金を課された)、ネロも併せ馬の形になったのは良かったと思うから、最後にキッチリ抜け出すあたりベルカントが一枚上だったということだろう。この時季、それに直線競馬は本当に走る、というよりも、スピードが身上の馬だけに、新潟の軽い芝が合っているのかもしれないね。スピードが生きる条件なら次も期待できるんじゃないかな。

ネロは、スタートを決めてハナを切ると、早め早めに動いて押し切ろうとする競馬。ウチパク(内田博騎手)はベルカント1頭だけが相手と思っていただろうし、ワンパンチ足りないところのある馬だけに、早め早めに動いた判断も良かったと思う。有利な大外枠を利して理想的な競馬ができても敵わなかったんだから、こればかりはどうしようもない。相手が強かったと素直に褒めるしかないんじゃないかな。まぁ、強気に積極的な競馬をしても最後までバタッと止まらないんだから立派。ワンパンチ足りないとはいえ、もう少しジックリ構える競馬をすれば、追っての伸び脚も変わってくるんじゃないかなぁ。千二あたりに距離が延びても2~3番手ぐらいでジッとできれば、いい競馬ができると思うけどな。

プリンセスムーンは、スタートを決めた後に控えようとしたところで、ベルカントに前へ入られたのが痛かったね。ただ、窮屈な走りになってしまったにせよ、直線競馬でこの着差は決定的。たとえスムーズでも3着は3着、結果は変わらなかったんじゃないかな。とはいえ、調教でも硬さがあって前肢が開いてバラバラの走りをする馬だけに、これだけやれたのには正直驚いた。この走りだとコーナーのあるコースだと競馬がしづらいはずだから、真っ直ぐ走るだけで済む直線競馬は合っているんだろうね。また直線競馬なら楽しみはあるけど、新潟開催、適鞍は数が限られているからなぁ。コーナーの角度がキツい小回り、直線が短いコースで使うとなるとちょっと心許ない、コーナーのあるコースで使うのなら、直線の長い東京とかの方がいいだろうね。東京で一番短いのは千四だから、あとは距離をこなせるかどうかがカギになるでしょう。

アットウィルは、序盤のレース運び、走りは良かったのに、周りが動いた時に一緒に動けなかった。スピード負けしている感じで、初めての直線競馬のペースに戸惑ったんだろうね。最後はしぶとく盛り返していたから、もう少し手綱を抑えてタメが利けば違っていたんだろうけど…。まぁ、初めてだったんだから仕方がないよ。一度経験したことで慣れるかもしれないし、コーナーのあるコースに戻ってタメが利けば…といったところ。そんなに悲観することはないと思うよ。

ローズミラクルは、内枠からでも外めに持って行けていたし、この馬の競馬をして力は出し切れたと思うよ。それでいて4着が精一杯だから、ここに入るとワンパンチ、いやツーパンチぐらい足りない感じ。スピード勝負になると、この辺が限界なんじゃないかな。

サトノデプロマットは、スタートの1完歩目から付いて行けなかったね。調教の動きからして体調は良かったと思うから、この条件が合わなかったとしか思えない。それに、コーナーのあるコースなら芝でも大丈夫だろうけど、スピード的はどちらかというとダートの方が良さそうな気がするよ。



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