2016年11月28日月曜日

チャンピオンズカップ 2016 出走予定馬:ラニ、アメリカ3冠皆勤は立派も…追走に苦労する現状で一線級相手に1800は短いか

2016 12/4(日)
第17回 チャンピオンズカップ(GI) 中京ダ1800m
予想用・出走予定馬一覧
チャンピオンズカップ2016の予想用・出走予定馬一覧


 今年はUAEダービーを制覇し、日本馬として史上初のアメリカクラシック三冠皆勤、そしてベルモントステークスでは3着と開拓精神で結果を残してきたラニがチャンピオンズカップに出走予定。秋は日本に戻ってきたものの、前走のみやこステークスでは13着と結果を出せずに終わってしまった。兄アウォーディーが1番人気に支持されそうだという中で、弟ラニはあくまでダークホースの一頭。ここで番狂わせとなるか。


 アメリカでも距離を延ばすこと、頭数が少なくなるごとに結果を出してきていて、流石に基礎スピード面での不安は払拭できていない。正直今回のメンバー構成でこの条件でとなると苦しいかなと思っている。


UAEダービー(GII)1着 7頭3番  
メイダンダ1900m良 1:58.4 50.44-50.21H(概算)
26.49-23.95-23.70-24.76-19.51(1.5F)

 
 初重賞制覇となったレース。頭数も少なかったし日本馬が3頭もいてペース的にも上がってこず、海外なので前半に1秒程度の補正をして、大体49.4-50.2としてもややハイ程度で収まった。ラップ推移的には向こう正面地点が一番速い、という感じ。ラニとユウチェンジが動いたというのも影響したかな。ある程度の基礎スピードとポテンシャル面が問われたと。スタートでのめってしまって、ゲート自体は悪くなかったが置かれて最後方となる。1~2角では最後方のままという形だったが、向こう正面ストレート地点で外に持ち出して押し上げていきながら、ちょうど前にいたユウチェンジとモレイラも上がっていったのでその外から一気にリカバーして、3角までには2列目外で入っていく。3~4角でも積極的に勝負に行き、ユウチェンジに並びかけながら4角で鞭が入って直線。序盤でモレイラとユウチェンジに置かれ気味になるのだが、L1で前が甘くなったところできっちりとバテ差して捕えての勝利、快挙となった。日本馬初の快挙ではあったし、内容的にも向こう正面で動いて力でねじ伏せる競馬。もちろん捲り自体ができた展開ではあったが、向こう正面で緩んでいたわけではないので勿論地力で動いていくしかなかったわけで強さの一端は間違いなく見せていたといえる。


アメリカ3冠ダイジェスト

 アメリカ3冠を完走したこの馬だが、どのレースでも言えたのは決してばてていたということはなかったということ。ケンタッキーダービーでは22.58-23.14-24.68-50.91(FA12.73)と強烈な前傾ペース、基礎スピード特化戦の中で後方でついていけず、ばてた馬がどうしても3~4角で邪魔になるので勢いを削がないように外々を回して直線だがなだれ込んできただけの9着。プリークネスSでは距離が1900mと短くはなったが頭数が11頭に落ち着いた。22.38-24.18-25.41-26.22-20.00(FA13.33)とこのレースも前半が異常に速いアメリカンな基礎スピード戦。頭数が少なくなったことで最後方からの競馬も頭数が減ったことで3~4角で割と内内を立ち回って直線で狭いところを突いてジリジリと伸びてくる、最後はバテ差しで5着と良化してきた。基本的に基礎スピード的に苦労するのは仕方のないことで、ただそれでも脚を消耗せずに最後までポテンシャルを引きだせたというのは良い材料。距離延長で楽しみが一番あったベルモントS。73.38-75.13とペースバランスでも初めて日本馬でも対応できる程度…それでも実質2秒以上でかなりのハイだが。24.09-24.39-24.90-24.58-25.10-25.45と流石に減速戦だが、それでも平均で12.7ちょいまでで収めている。出負けしたがそこまで悪くなく、最後方での競馬にはなったが集団から離されずについていく。向こう正面でじわっと押し上げながら3~4角で中団外々、直線でしぶとく伸びて2列目に食らいつき勝機をうかがわせたものの前の2頭に対して後一歩及ばずの3着だった。とはいえ勝負になったという点では距離延長が噛み合ったのもあるし、ここ2走と比べて明らかに前半が楽になったことが勝機を見出す競馬を展開することができた要因だろうと思う。アメリカ競馬に対して日本馬がどう戦うべきか、まだ試行錯誤の域は出ないが、一定の方向性を見せてくれた3冠だったといえる。


ブラジルカップ(OP)3着 16頭8枠15番
東京ダ2100m良 2:09.4(+0.5) 59.8-63.2
7.2 - 11.0 - 11.7 - 11.9 - 12.0 - 11.9 - 12.0 - 12.5 - 12.5 - 12.9 - 13.3

 日本に帰ってきて初戦となったブラジルカップ。ここから鞍上は内田博幸に交代。ミツバが単騎で超ハイのペースを刻み切っての勝利だが、2番手以降で見れば61秒前半ぐらいかなという感じなので、恐らく離れた番手ぐらいで大体平均~ややハイぐらいだったかなと。ゲートはやや出負けしたかなという程度で意外といい感じに出た。そこから中団にはつけていくというような感じで思ったよりも流れに乗っていけたなという感じ。道中も流石にミツバとの差は大きかったが、それでも実質平均~ややハイぐらいと思われる2列目以降の中でもしっかりと中団で進められていたが、それでも終始手が動いたいたなという感じ。3~4角でも中団の後ろ、内目を通しながら
我慢して直線で外に持ち出す。序盤で窮屈で下げながら外に持ち出すというロスがあってやや置かれてしまう。それでもそこからL2の坂の上りで伸び始めると最後までしぶとく伸びてなだれ込んでの3着だった。ミツバはともかくとして、厳しい流れの中でついていけたのは一定の評価が必要だし、そこからスムーズさを欠く進路どりでも伸びていたのは全体が流れていたのもあったかなと思う。ただスタートも含めて、この馬は上り坂自体は合ってそうな感じはするかな。ここでもL2での伸びを見せたしね。


2016チャンピオンズカップに向けての展望

 ただ、結局2100以上でやっとついていけるという感じは拭えない。前走のみやこSなんかでも48.7-49.1と平均ペースで進められて基礎スピードを要求されたが、ゲートは良くても二の足から圧倒的に遅れていたし、ああなってしまうと自分の脚は使っても…という感じ。もうちょっと距離があればと思うが、二の足の遅さはかなりネックになると思う。また結局これまでの実績を見てもL1での消耗戦でバテ差して何ぼ、という域は出ていない。ドバイでは向こう正面で押し上げることができたが、あれも小頭数で前がそこまで引っ張れなかったこととユウチェンジが先に動いてくれたのもあった。まあチャンスがあるとすれば昨年のコパノリッキーを各馬が潰しに行くような形になって、ハイペースで仕掛けも早い、ズブズブの消耗戦の中でのバテ差しでどこまで食い込めるかというところだろうと思う。平均ペースまでで収まってしまうとポジションも悪いしトップスピード的に足りない、前もそう落とさないとなると苦しくなる。ポテンシャルの底知れなさだけは評価しないといけないポイントだが、あらゆる意味でアウォーディーが総合的に上位にいると思うので、そこと比べると好走するには条件が相当限定されるかなと思う。勢いを上手くつけること、そこからの進路どり…特に絶対にブレーキを掛けないという意識を持ってくれる武豊ならもうちょっとチャンスもあったと思うが、動かし方が雑なところがある内田というコンビも個人的には難しい面もあるかなと感じる。現時点ではやはり狙いにくい一頭になる。



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